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哀愁漂う恋愛!映画『ONCE ダブリンの街角で』のネタバレと評価!

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今回は映画『ONCE ダブリンの街角で』の評価をしていきたいと思います。

前回まで『シング・ストリート』『はじまりのうた』とジョン・カーニー監督の作品を立て続けに鑑賞し、満足のいく作品だったため、本作『ONCE ダブリンの街角で』も勢いで観てしまいました。

製作年代順としては、この『ONCE ダブリンの街角で』の方が、同監督の先の2作より古くなっています。

それでは、本作の評価をしていきます。

なお、本記事はネタバレを含んでおりますので、あらかじめご了承ください。




 

あらすじ・作品情報

ONCE ダブリンの街角で

ダブリンの街角で毎日のようにギターをかき鳴らす男(グレン・ハンサードは、ある日、チェコ移民の女(マルケタ・イルグロヴァ)と出会う。

ひょんなことから彼女にピアノの才能があることを知った男は、自分が書いた曲を彼女と一緒に演奏してみることに。

すると、そのセッションは想像以上の素晴らしいものとなり……。

引用元:Yahoo!映画

2008年アカデミー賞の歌曲賞を受賞した作品です。

当初はアメリカの映画館のうち、わずか2館でしか上映されていなかったそうです。

しかし、公開後徐々に人気を博していき、最終的には140館で上映されるようになりました。

 

『ONCE ダブリンの街角で』の予告編

 

『ONCE ダブリンの街角で』の良いところ

手ブレ満載のカメラとダブリンのちょっと寂しい街並みの絶妙なマッチング

この映画が始まってすぐに「あれ?何かおかしいぞ?」と気がつくことでしょう。

まるで、ホームビデオで撮影したのかと思ってしまうほど画面の暗さや焦点の合わなさが気になります。

 

この独特のカメラワークは終盤まで一貫して続きます。

これは狙ってそうしたのか、はたまたこれまでのジョン・カーニー監督作品のキャラクター達がそうであったように、本当に低予算で手探り感全開でそうするしかなかったのかは定かでありません。

 

しかし、この手ブレ満載のカメラワークとダブリンの少し寂れた街並みが絶妙にマッチングしていて、見ている私達にこの上ないリアリティを感じさせてくれます。

同監督の作品である『はじまりのうた』の舞台であるニューヨークとは全く違い、ケバケバしていない素朴な街並みとそこに住むダブリンの人達の空気感がより実感できます。

 

建物の中の会話シーンでもそのホームビデオ風のカメラワークは健在で、そのおかげで見ている私も、まるで彼らと同じ空間にいるかのような臨場感を味わえました。

 

とある勇者
時折役者の顔がズームされるけど、アップになっても役者達がしっかりと目の表情まで演技している姿が伝わり、その場に入り込んだかのような空気感を共有できるね!
映画全体を通して、この撮影方法は非常に画期的だったね!
はらちゃん

 

主人公を演じるグレン・ハンサードの柔らかな演技

この映画のレビューを書こうと思っていたら、とんでもないことに今更気がつきました。

この映画の主人公であるグレン・ハンサード演じるキャラクターには名前がありません。

また、ヒロインにも名前がありません。

 

とある勇者
2人がダブリンの街ではごくありふれた一般の人であるという意味が含まれているのかな?
意図はわからないけど、こういう試みはとても面白いね。
はらちゃん

 

さて、グレン・ハンサード演じる主人公の“男”。

彼は本当にどこにでもいそうな優しくて少し儚げな好青年で、日々ダブリンの街角でなんとなくギターを弾いて生計の足しにしています。

かつて愛した女性にフラれた過去があり、刺激のない日々を送っていましたが、ヒロインである“女”に出会い、感化されたことで音楽への興味が再び蘇ります。

音楽を通して彼は日々のバイタリティを取り戻し、過去の女性への思いを再確認することで旅立ちを決心します。

 

彼は決してダメ男ではないんです。

金銭泥棒にあってもお金を分けてあげたり、困っている人を見たらなんだかんだで放っておけないイイやつなんです。

しかし、なんだか今一歩人生を踏み出せない、人生に張り合いがない・・・。

そういった微妙で繊細なキャラクターをグレン・ハンサードは良く表現できていると思います。

誰しもこの主人公を見たら、「あれー?この人前にどこかで会ったような・・・。」と思ってしまうほどよくいる感じの“一般的な人”をごく自然に演じています。

オンボロすぎるギターも彼の素朴なキャラをよく表していますね。

 

とある勇者
これだけ普通な感じを出すのも難しいだろうね。
一見簡単そうだけど、普通と視聴者に感じさせるのを演じるのは難しそうだね。
はらちゃん

 

辛い状況でも凛として生きる女性ヒロイン

当たり障りのないイイヤツである“男”に対して、この映画のヒロイン“女”は結構突っ込んでいくタイプです。

街角でギターを弾いている男に対して積極的に声をかけたと思いきや、音楽に対して、人生に対して、過去の女性に対して・・・。

女は一切の遠慮なくズケズケと男に質問を浴びせます。

そんな猛進的な一面がありながらも、男からの誘いには遠慮がちです。

女には女の事情があり、結婚して子供はいるが旦那とは別居状態という問題を抱えています。

そういう意味では女も男同様に、簡単に現状から抜け出せない毎日を送っているのです。

 

この凜としていながらも前に進めず、時折憂いを見せる女が妙に説得力があって心に残ります。

男のことを好きなのか、旦那との生活をどうやっていくか、様々な不安を抱えながら彼女もまた音楽を通じてポジティブに変化していく姿に、見ている私も言いようのない希望を感じました。

 

とある勇者
ダブリンには離婚していないけれど、旦那とは馬が合わなくて別居しているという女性が意外に多いのかな?
そういう意味では彼女もまた一般的で、名もない“女”なのかもしれないね。
はらちゃん

 

寅さんを思い起こすようなほろ苦く爽やかなエンディング

この映画のエンディングにはなんとも言えない哀愁を感じます。

 

男は旅立ちを決心し、フラれた元カノに会うためにロンドンに向かいますが、男は“女”と出会い、彼女の魅力に気付き始めてしまいます。

彼女の人生も救いたいと思うようになり、一緒にロンドンに行くよう誘います。

しかし、その誘いも断られ、「最後にお茶だけでも」という約束をしますが、結局彼女は現れませんでした。

そして男は1人ロンドンに向かって旅立っていくのです。

 

これだけ見ると、男がまた別の女にフラれただけのように感じますが、これは別れではなく旅立ちなのです。

2人とも別れに対する寂しさを見せますが、どこか表情は晴れやかで彼らが自分たちの新しい旅立ちを喜んでいるような、そんなほろ苦くもあり爽やかさもあるエンディングなのです。

 

とある勇者
なんだかハッキリしないけど、でも2人はどこか満足しているようだね。
まるで「男はつらいよ」を観終わったかのような、なんとも言えない複雑な気分になるね。
はらちゃん

 

哀愁溢れるお父さんがいい味

この映画はダブリンの街並みも男と女の人間ドラマも、どことなく哀愁に満ち溢れています。

私はこの映画の独特の世界観をよく表しているのが男の父親だと思いました。

 

商売うまくいってないんだろうな~、と一目でわかるようなオンボロでレトロな修理屋を営み、なんとなく物腰が重そうな佇まいをしています。

しかし、息子のやりたい事には興味と理解を示し、最後には男の旅立ちを笑顔で送り出します。

この素敵なお父さんが、この映画全体を通して感じられる哀愁と優しさの象徴かなと感じました。

 

旅立つ男に「全力でやれ」「餞別をやる」「待ってたぞ」など、格好いい場面が多すぎます!

 

登場時間は多くないですが、すごくいい味を出していたので見終わった今でも彼の渋さが心に残っています。

ほんとに一瞬のシーンですが、男がバンドのメンバー達と楽曲制作をしている時に、お茶を持って現れる姿がとてつもなく郷愁感に満ちていて、なんだか無性に実家に帰りたい気分になります。笑

 

『ONCE ダブリンの街角で』のイマイチなところ

『ONCE ダブリンの街角で』のイマイチなところですが、特に思いつきませんでした。笑

私にとっては、このように映画の結論もキャラクターの行動もなんとなくスッキリしないような映画は、リアリティがあり非常に印象が良いです。

もしかしたら、男と女の関係性が見ていてじれったく感じてしまう方もいるかもしれません。

 

しかし、そんな微妙な距離感も現実的で良い味を出しています。

口に出さない、行動にしないことで生まれる繊細なドラマも魅力なのですから。

 

あえて挙げるとするなら、この独特のカメラワークから生まれるブレまくりの映像を気に入らない方が、もしかしたらいるかもしれません。

 

『ONCE ダブリンの街角で』はこんな人にオススメ

『ONCE ダブリンの街角で』は、下記の通りこんな人にオススメしたいです。

こんな方におすすめ

  • 単純なラブストーリーに飽き飽きしている人
  • 自然派な演技を楽しみたい人
  • 華美な映画を好まない人
  • 「男はつらいよ」が好きな人
  • 心に深く長く残る映画を探している人
  • 人生の不思議な出会いを楽しみたい人
  • 素朴な音楽を楽しみたい人

白黒つかないグレーな魅力を理解できる人にオススメです。

 

『ONCE ダブリンの街角で』の口コミ

音楽もさることながら、父親を魅力的に感じているという口コミが複数見られました。息子を見守る父親の偉大さが描写された映画ですね!
はらちゃん

 

シナリオ的には王道寄りかもしれませんが、味わい深いラストに高評価!
はらちゃん

 

ジョン・カーニー監督の作品は多くはありませんが、どの作品も音楽作品としては素晴らしい出来になっています!
はらちゃん

 

ジョン・カーニー監督の他の作品

本作品をはじめ、ジョン・カーニー監督は下記の作品を公開しています。

ジョン・カーニー監督の作品

  • はじまりのうた
  • シング・ストリート 未来へのうた

 

『ONCE ダブリンの街角で』の後に公開された作品で、非常に高い人気を誇っています。

それぞれの作品のネタバレ・評価は下記記事で行っておりますので、ぜひご覧ください。




 

『ONCE ダブリンの街角で』を視聴できるVOD

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『ONCE ダブリンの街角で』のまとめ

映画『ONCE ダブリンの街角で』のネタバレと評価を書いてきました。

街角で出会った男と女が互いに惹かれながらも、自分たちの人生を歩んでいく複雑なドラマ。

やっぱり人間ってこうなんだな〜、白か黒かじゃ分からない世界もあるよな〜、と感じる不思議な魅力のある映画でした。

見終わった後も、男の複雑な表情や作品全体の哀愁漂う空気感が心に残り続けます。

カメラワークも含めて気に入ったので、またこの世界観に浸りに戻って来たいと思います。

総合評価

4.5点 / 5.0点

最後までお読み頂きありがとうございました。




 

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