主人公がゾンビ化する過程を生々しく描いた『スリーデイズ・ボディ』の正統な続編が本作です。
前作登場キャラであるラウリーが、前作主人公亡きあとの物語を引き継いでいます。
前作は主人公サマンサの変化にフォーカスした内容でしたが、今作も同様のスタイルで進むのでしょうか?
あらすじ・作品情報
絶世の美女サマンサが、生ける屍と化して街を混乱に陥れた事件の翌日。
サマンサと性交渉をして病原菌をうつしたとされる男BJは、警察から性的暴行の容疑で指名手配となっていた。
一方、サマンサがかろうじて意識を保っている時に関係を持ったライリーは、病院で性病の検査を受けるが、その結果は陰性だった。
安堵するライリーだったが、その翌日からサマンサと同様に体に異変が起き始める・・・。
引用元:Amazon
2015年に公開された映画です。
『アフターデイズ・ボディ 彼女がゾンビと化した世界』の予告編
『アフターデイズ・ボディ』の良かったところ
きっちりとその後を描く
冒頭でも述べましたが、前作『スリーデイズボディ』の完全な続編となっており、前作主人公サマンサが残したもの(ゾンビウイルス)がどのように広がり、周囲の人間にどのような影響を与えていったかが描かれています。
サマンサの検視がオープニングに組みこまれているので、ゾンビ化した前作主人公の死と、それが事件として扱われていることが示されています。
前作でサマンサの知人程度の扱いだった男性のラウリーが今作では主人公をつとめていて、自身がゾンビ化する恐怖に苦しめられます。
ゾンビ化の特殊メイクは前作よりも派手に行われていて、感染者の中には目玉が抜け落ちる者も・・・。
前作と異なる刑事ドラマ的な味つけ
前作はサマンサの日常をとらえ、一人の女性がゾンビ化の恐怖を味わう様子をじっくりじっとり描いていきました。
今作では味つけががらりと変わっていて、サスペンス風に仕立てられています。
サマンサにゾンビウイルスを感染させ、そもそもの発端を作った男をラウリーは追っていきます。
サマンサとその周辺に起きた事件を担当する女刑事クリスタルが、捜査を進めていく様子はまんまサスペンス映画です。
この女刑事はラウリー同様感染源を追っていて、ラウリーの協力要請にも応じてくれる働き者。
仕事のできる女性の魅力を放っています。
美しさ一点突破であった前作主人公サマンサとはえらい違いです。
サスペンス映画としての要素もありながら、感染パニックとしての側面もそなえていて、ラウリーの周りにどんどん感染が広がっていきます。
サマンサと関わったことによって、ラウリーとその周りの人間たちはひどい目にあっていくのです。
明かされる犯人(感染源)の目的
前作では謎の人物がサマンサと絡むことによって感染が広がっていきました。
今作では感染源となった人物に迫り、その目的にまで踏みこんでいます。
BJと呼ばれるその男は、感染した人間に関する情報を集めており、ターゲットを選んで感染させていたことが明かされます。
前作でサマンサがゾンビ化したのは偶然ではないのです。
自分が世界の終末を告げる使者のようにふるまう男は危険な思想をもっていて、警察からマークされていたことも明かされます。
カルト教団的考えと行動力をもつBJは厄介で、感染させてゾンビ化をもたらすほか、自爆テロも辞さない精神構造をもっています。
話せば分かる人間でも、利益につられる分かりやすい理由で行動する人物でもなく、ひたすら危険な存在なのです。
なぜ彼がゾンビ化ウイルスを獲得するに至ったか、なぜ彼自身に影響がないのかは残念ながら描かれていません。
前作よりもずっと好感がもてる主人公
ラウリーは前作で簡単に誘惑され感染してしまう好色な一面をもっていますが、基本的にフレンドリーかつ常識人で、自分のことしか考えないサマンサとは異なる人物として描かれています。
美女に弱いナイスガイというだけではなく、犯人を自分で捜す気概ももっていて、感情移入しやすいキャラとなっています。
祖母を気づかったり、姉へのラストメッセージを送るシーンには愛情がこめられており、人間としての成熟度を感じさせます。
そして最後はゾンビ化し、女刑事を助けるがごとくBJに襲いかかります。
自暴自棄によって周囲に迷惑とゾンビウイルスをばらまいたサマンサとだいぶ雰囲気が異なります。
好感がもてる主人公という点において、前作をはるかに上回っていますね。
感情移入しやすいキャラクターになっています。
『アフターデイズ・ボディ』のイマイチなところ
映画として娯楽度アップも個性を失う
通常のホラー映画よりも個性的なサスペンス的展開を含んでいるとはいえ、前作ほどのインパクトはありません。
前作では「もし自分一人がじわじわゾンビ化する事態に見舞われたら?」という独特の恐怖がありましが、今回はそれが薄めです。
アイデア勝負の前作に比べると、娯楽映画としての質は上がっているものの、個性は失われています。
感染初期を描いたゾンビ映画は山ほどありますし・・・。
前作にあった生々しさや「もし自分の身にそれが訪れたら」という身近な怖さが消えてしまいました。
量産されていくゾンビ映画の中で、前作の方が特殊な設定のため意欲作と呼べる作品でした。
本作は単品だとほかのゾンビ映画の中にうずもれかねない、目立たない作品となっています。
前作視聴ありきの「○日目」という設定
前作では体の変化と時間の経過をともに知らせる「○日目」というテロップがありました。
今作でもそれが継続使用されております。
前作の初日から起算しての「○日目」という説明なので、前作視聴ありきの設定となっています。
前作ではサマンサのゾンビ化が物語の根幹となっていて、時間経過を知らせる「○日目」という告知は重要でした。
しかし、今作では感染源に迫るもっと大きな話になっているため、体の変化と照らし合わせるための時間経過はそこまで重要ではありません。
前作未視聴者にとって「○日目」という表示は、親切どころか混乱を招く余計な要素になりかねません。
もちろん制作陣は前作も視聴して欲しいのでしょうが、過去作視聴ありきの説明やテロップは不親切かなと・・・。
ラウリーでは力不足?前作ほどの怪しげな魅力はなし
ラウリーは誘惑に弱いとはいえ常識人で、友人としてはなかなか良さげな人物ですが、前作に比べるとパンチが弱いです。
前作のサマンサは視聴者をイライラさせる要素があるものの、危うい魅力を放っておりました。
ホラー映画を視聴する人の大半を占めるのが男性なので、女性かつ美人という要素は大きいです。
女性型ゾンビの怪しい魅力を、男性のラウリーに期待するのはお門違いです。
今作でも女刑事がりりしい姿を見せてくれますが、前作でサマンサが放った魅力とはまた路線が異なります。
ハーパーも健気でいい子ですし、サマンサ同様ゾンビ化するのですが、健康的な魅力をもつハーパーとゾンビはあまりマッチしていません。
ゾンビ化の進行も早く、あっさり退場してしまいました。
サマンサのような魅力を発揮するのは難しいです。
『アフターデイズ・ボディ』はこんな方にオススメ
『アフターデイズ・ボディ』は下記のような方にオススメできる映画です!
こんな方にオススメ
- 前作『スリーデイズ・ボディ』を視聴済みの方
- 刑事ドラマ的展開が好きな方
- じわじわゾンビ化する恐怖を味わいたい方
- 女刑事クリスタルのりりしい姿を見たい方
- リアル寄りのゾンビパンデミック初期を視聴したい方
『アフターデイズ・ボディ』を視聴できるVOD
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『アフターデイズ・ボディ』のまとめ
前作と打って変わって、感染源である犯人を追うサスペンス的展開を採用しているのが本作です。
主人公であるラウリーがじわじわとゾンビ化していく様子を描きながらも、刑事ドラマのような捜査シーンも盛りこまれています。
前作よりも娯楽作品としての質は上がっておりますが、個性が失われてしまったのも事実。
また、ラウリーは性格がまともな常識人であるがゆえに、前作主人公サマンサのような怪しい魅力とは無縁の存在で、その点でも物足りなさを感じる視聴者がいるかも知れません。
前作視聴ありきの構成になっているのも誉められない要素です。
前作視聴者にとってはプラス1点となる作品ですね。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。