カプコンの人気サバイバルホラーゲーム『バイオハザード』シリーズをベースにした映画が『バイオハザードII アポカリプス』です。
今回は原作ビデオゲームの二作目と三作目におけるラクーンシティでの惨事が描かれています。
前作同様、原作ゲームへのリスペクトにあふれた作品になっているのでしょうか?
主人公アリスを演じるのは前作同様ミラ・ジョヴォヴィッチです。
それでは、映画『バイオハザードII アポカリプス』のレビューを行っていきます。
あらすじ・作品情報
死の都市と化しつつあるラクーンシティから脱出を試みるアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)らは、街を荒廃させた元凶である“T-ウィルス”の開発者アシュフォード博士(ジャレッド・ハリス)の存在を知るが……。
引用元:Yahoo!映画
大ヒットとなった前作『バイオハザード』が公開されてから2年、正式続編となったので『バイオハザードII アポカリプス』です。
『バイオハザードII アポカリプス』の予告編
『バイオハザードII アポカリプス』の良かったところ
原作ゲームの隙間を埋める隔離措置と戦闘を描写
今作は、原作ビデオゲームの『バイオハザード2』と『バイオハザード3』をなぞっております。
そして、原作をただなぞるだけではなく、ゲーム内で描かれなかった感染対策の隔離措置と戦闘が描かれています。
原作では感染拡大の途中経過は描かれず、ラクーンシティが崩壊した状態から始まりますが、今作はそのすきまを埋めるべく感染拡大の過程や、警察や特殊部隊の奮闘を描いています。
原作ゲームの不足部分を補完するような作品なのです。
アンブレラ主導の隔離対策の無情さ、警察やアンブレラ特殊部隊が群がるゾンビと死闘を繰り広げるさまがきっちり描かれ、いかにしてラクーンシティが崩壊していったのか一部原作ファンが気になっていた部分を、ずばっと描いてくれる気味の良さが今作にはあります。
今回も大暴れ!原作登場クリーチャー
前作でも原作ゲームのクリーチャーが複数登場しましたが、今回もにぎやかです。
原作シリーズの1~3では主役として活躍するゾンビは、都市全体の感染により大量発生。
訓練を受けた武装集団でも制圧しきれない量です。
前回は研究所勤務の人々がゾンビ化しましたが、今回は全ての市民なのでバリエーションはとても豊富。
感染系ノロノロゾンビのルールに従いながら、そのタフさと量で人間を圧倒するのです。
初登場の子供ゾンビは倫理的に抵抗しづらいという強みを備えており、まんまと主人公の仲間をしとめます。
前作ではまさかのボス待遇だったリッカーも、今回も脳みそ丸出しボディを披露してくれます。
今回は三体も同時に出現し、原作ファンなら「ハンドガンしかないの?ショットガンないと三匹はきついって!」と言いたくなる暴れっぷり。
特にゴキブリのように壁や天井を這うシーンは、ぞわっとする気味の悪さ。
超人的な力を得たアリスの活躍がなかったら撃退は難しかったでしょう。
ゾンビ犬も再登場し、その素早さで主人公たちを苦しめます。
その巨躯に見合った巨大兵器を操るネメシスについてはあとで詳しく触れますね。
大規模になったアクションシーン
舞台が地下の研究所からラクーンシティ全体に広がった影響か、アクションシーンの規模が大きくなり、より娯楽性の高いものに仕上がっています。
ホラー要素が強かった古い教会のシーンを、一気にアクション映画に引き戻すバイク突入シーン。
迫り来る追跡者ネメシスのチェーンガンとロケットランチャーをかわしながらの逃亡、ビルの壁を垂直に走って降りるという荒業、ヘリの一斉掃射を疾走してかわすシーンなど、気合いの入ったものばかり。
バイオ2と3のキャラがどんとこ登場
設定や名前、キャラクターにいくらかズレがあるものの、ビデオゲームシリーズ『バイオハザード2』と『バイオハザード3』の登場人物が今作でも活躍します。
カルロス・オリヴィエラは原作と多少雰囲気が異なるものの、アンブレラの特殊部隊という設定やそのナイスガイぶりは相変わらずです。
同じく特殊部隊であるニコライは一瞬だけ輝きました。
打ち上げ花火のように・・・。笑
科学者のアシュフォード夫妻は父親だけ登場。
GウイルスではなくTウイルスの開発者で、娘おもいのキャラクターに変更されています。アシュフォード夫妻の娘シェリーはアンジェラと名を変えて登場。
レオンとクリアは登場しないため、一緒に行動する相手はアリスとなります。
ジル・バレンタインは『バイオハザード3』でお目見えする悩殺コスチュームで登場。
髪の色や性格などいろいろ原作と異なりますが、服装のお色気さだけは健在なのです。
ただのクリーチャーで終わらないネメシスの存在感
原作シリーズの『バイオハザード3』に登場する追跡者ネメシスは、その姿形や兵器、無類のタフさでプレイヤーに強烈なインパクトを与えました。
今作でもネメシスは存在感抜群!
ターゲットを狙う際の「スターズ!」という発言もしっかり再現なのです。
チェーンガンとロケットランチャーをぶっぱなし、銃弾の雨を浴びても意に介さず、油断してると壁をぶち抜いて登場してきます。
そして映画シリーズでは、前作の登場人物であるマットが変異させられた姿という背景もあって、独特の悲劇的要素が盛りこまれています。
ネメシスとの対決を強いられたアリスが泣きそうな表情で攻撃したり、その後いくらか記憶を取り戻したネメシスが主人公を援護したりと、原作ゲームにはない独自の展開が用意されています。
アリスの人間性や描写や、ドラマチックな展開に寄与する存在がネメシスなのです。
天国と地獄?両極端なセクシーさ
おちゃらけ要員のLJが遭遇した女ゾンビが、「腐っても巨乳」と言わんばかりのセクシーさをさらしたあと、主人公アリスが少年と見間違うような控えめバストをさらしてくれます。
その極端ぶりは天国と地獄といったところ。笑
どちらが天国なのかは視聴者の趣味に依存するのです。笑
たとえ両極端であっても、両手をあわせて拝んでおきましょう・・・。
『バイオハザード2』のイマイチなところ
原作ジルのイメージ大破壊
原作シリーズで培ってきたジル・バレンタインのイメージがだいぶ破壊されております。
アンブレラの破壊工作にでもあったのでしょうか?
ジル・バレンタインは原作シリーズの1、3、5に登場する主要かつ人気の女性キャラクターです。
知性と戦闘能力をもちあわせた女性で、ベートーヴェンのピアノソナタ『月光』を弾くこともできる品のあるキャラです。
栗色の髪をもち、原作ゲームの5ではややたれ目がちに描写されています。
されど映画『バイオハザード2』では、服装こそ原作ゲーム3のセクシーさを忠実に再現しているものの、やたらと勝ち気でヤンキーっぽい雰囲気を醸し出しています。
髪の毛は黒く、きつい印象を与えるつり目です。
戦闘能力はばっちりですが、キーピックを駆使したりピアノを弾いたりする印象はないです。
原作ゲームだと自分が操作するプレイヤーキャラですし、あんまり性格の味付けが濃いと、「ゲーム内における自分の分身」要素が減ってしまい没入感が失われます。
ゆえに、自分が操作するゲームの主人公は性格が薄くなりがちです。
使い捨てキャラ多すぎない?
前作でも親切かつイケメンの隊長がいいように使い捨てされましたが、今作もその傾向があります。
特に見せ場のないレポーターは特に見せ場もなく、証拠として使われるビデオカメラを残すための係、ジルの同僚である隊員ペイトンはいくらか活躍するものの、ドラマチックな展開もないままあっさりゾンビ化します。
原作の3で登場したニコライは一瞬だけすさまじい射撃能力を見せますが、花火のようにそこで燃え尽きます。
原作ゲーム主要キャラとの格差がひどいです。
この使い捨てスタイルはアンブレラの経営陣に通じるものがありますね。
制作陣がまさかのロールプレイ?
ハンドガンの制止力高すぎでは?
ハンドガンで、フル装備の特殊部隊をピンポン玉みたいに吹き飛ばすのはギャグにしか見えません。
いくらアリスが超能力をもっていても、ハンドガンの弾を変なオーラで包むわけではありませんし、ジルのハンドガンも吹き飛ばし仕様になっています。
もちろん、口径の大きなハンドガンなら相手が吹き飛ぶのはやむなしですが、反動が強い様子も、大口径の銃を使っている様子もありません。
原作ゲームも武器のベースがハンドなので、それに対するリスペクトなんでしょうか?
確かに主人公アリスの二丁拳銃姿は格好いいですが、多少銃に詳しい人にとっては違和感ありまくりの吹き飛びぶりなのです。
何でもありに?超能力を身につけた主人公
Tウイルスの影響で、主人公アリスは驚異的な身体能力の上に超能力まで身につけてしまいます。
確かに、ほぼ単身で大企業アンブレラが送り出すクリーチャーや特集部隊を相手にするのは大変なのですが、超能力による何でもあり状態が緊張感を台無しにしてしまいます。
アリスの超人的な設定によって、スタイリッシュなシーンや土壇場での逆転劇は演出できますが、それによってリアリティや、緊張感を失っているのは事実。
原作ゲームでは5まで誰もドーピングせずに戦ってます。
(6や7では主人公サイドがはからずもドーピングしています。)
制作陣のアリス愛が強すぎるのではないでしょうか?
『バイオハザードII アポカリプス』はこんな人にオススメ
『バイオハザード』は下記のような人にオススメできる映画です!
こんな人にオススメ
- 原作ゲーム『バイオハザード』シリーズが好きな方
- ど派手なアクションシーンが好きな方
- 都市壊滅レベルの災害ものが好きな方
- 勝ち気な女性が好きな方
- ハンドガンが好きな方
- 戦う女主人公が好きな方
『バイオハザードII アポカリプス』の口コミ
最近、ゾンビ映画にハマってる。
今日はバイオハザード2観る。— HINA (@HINA71447543) February 13, 2019
映画のバイオハザード2はね〜、ジル役の人、とってもゲームのキャラクターに似てたけど、あんなに似せることも無いじゃんとも思った。れっきとした人間の役者なのになんか作り物みたいに見えちゃって…。
— MAE (@CHE_M26_7) February 13, 2019
やっとバイオハザードの映画見返し終えた。やっぱおもろいのは2だよねぇ
— りくや (@chihamail) February 10, 2019
『バイオハザードII アポカリプス』を視聴できるVOD
『バイオハザードII アポカリプス』が見放題対象となっているオススメVOD(ビデオ・オン・デマンド)は、下記の通りです。
オススメVOD
- Amazonプライム・ビデオ
- U-NEXT
Amazonプライム・ビデオ
Amazonプライム・ビデオは月額400円と非常に安価で、多くの映画やドラマ、アニメなどを視聴することができます。
※2019年2月時点の情報です。
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『バイオハザード』シリーズのご紹介
映画『バイオハザード』はシリーズ化されており、全6作からなっています。
シリーズ一覧
- バイオハザード
- バイオハザードII アポカリプス
- バイオハザードIII
- バイオハザードIV アフターライフ
- バイオハザードV リトリビューション
- バイオハザード: ザ・ファイナル
他の作品もレビューしていますので、是非ご覧になってみてくださいね。
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『バイオハザードII アポカリプス』のまとめ
映画『バイオハザードII アポカリプス』について、ご紹介しました。
主要キャラのジル・バレンタインに変な味付けがされているものの、追跡者ネメシスとラクーンシティ崩壊までの経過をきっちりと描いた今作も、原作ファンも納得の出来だと思います。
アクションシーンの豪華さは前作を上回り、超能力まで身につけた主人公アリスは美しき人間兵器といったところ。
原作ゲームを知らなくても、高品質のアクションホラーとして楽しめる映画ですね。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事の著者の執筆作品
著書名:オブザデッドレビュー34発
電子書籍サービス:Kindle
紹介文:林立するゾンビ映画をひたすらレビュー!『○○オブザデッド』が多すぎて困っているホラー映画好きのあなたに送る一冊です。