『バイオハザード3』で原作から離れた独自路線を歩んでから今作ではや五作目。
Tウイルス拡散による終末感は演出できているものの、原作要素の薄さが懸念されているタイトルです。
今回は原作ファンも納得できる原作要素とアクション性を両立させているのでしょうか?
それでは、レビューを行っていきます。
あらすじ・作品情報
大企業アンブレラ社が開発したウイルスがまん延した地球は、アンデッドであふれ返る状況に陥っていた。
生き残ったアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)はアンブレラ社への潜入調査で、自らの驚がくの過去を知ることとなる。
さらに、アリスと仲間たちは滅亡の危機を引き起こした人物を捜し、東京、ニューヨークと世界中を追跡。
そんな中、すべてを覆す新事実が明らかになり……。
引用元:Yahoo!映画
大人気シリーズ映画『バイオハザード』の第5弾です!
本作品はPG12指定となっています。
『バイオハザードV リトリビューション』の予告編
『バイオハザードV リトリビューション』の良かったところ
状況説明も兼ねる巻き戻しオープニング
俳優紹介などのオープニングは前作エンディングからの状況説明も兼ねています。
速度を落とした巻き戻し演出を使い、主人公アリスが海中に落下するまでのくだりを描写。
つかみとしてのアクションシーンも兼ねています。
前作までの「VSアンブレラ所属のウェスカー」とは構図が異なり、今回はややこしい設定になっているので、少しでも説明的な台詞を減らすためアクションシーンで状況を描くのはよい手段です。


なにが現実?目まぐるしく変わるシチュエーションの謎
冒頭のアルカディア襲撃のあと、いつも(?)のごとくアリスが独り目覚めるシーンで物語が再開します。
そして、状況がわからずうろたえるアリスに様々な災難がやってくるのですが、全てのゾンビ発生や襲撃シーンが伏線として機能しており、安易な夢オチや幻覚オチへ逃げないのは良かったです。
研究所、東京、郊外……、各部隊でのシーンが独立しているようで全てつながっています。
その巨大すぎる仕掛けは、冗談じみた規模を誇るアンブレラの面目躍如といったところです。
原作キャラと過去作キャラが目白押し
原作ゲームシリーズ登場キャラのほか、過去作登場キャラがどんどん出てきます。
人気キャラのレオン・S・ケネディとエイダ・ウォンのコンビ、雰囲気の変わったジル・バレンタイン、アメリカで人気が高いと言われているバリー・バートンが登場します。
原作シリーズ一作目から六作目まで漏れなくキャラが登場しています。
ちなみにジルは一、三、五作目、レインとエイダコンビは二、四、六作目に登場します。
ほとんど映画オリジナルキャラになっていたカルロス・オリヴィエラも再登場し、アリスの心を揺れ動かします。(カルロスは原作シリーズ三作目に登場)
どうもアリスの好みはカルロスのようにあたたかみのあるナイスガイタイプの模様。
ちなみに原作カルロスは長髪でもうちょっとチャラいキャラです。
そして、映画シリーズの一作目からは男前すぎる女性特殊部隊メンバーレインと、イケメン隊長が再登場。
前作からはルーサーがその長身姿をのぞかせています。


ぴっちり変態スーツジルの再現度とエロさ
映画シリーズ『バイオハザード2』でも、原作に基づくエロい格好を披露してくれたジル・バレンタインですが、今作でもぴっちりとした特殊スーツ姿がきっちり再現されており、原作ファン及び男性陣が喜ぶ完成度なのです。(特殊スーツ姿は原作ゲーム五作目より)
主人公アリスのスレンダーボディも魅力的ながら、一部の視聴者は物足りなさを感じていたと思います。
その物足りなさを埋めるがごとく、ジルの胸元はゆったりと開いており、視聴者の視線を釘付けにしてくれます。
ちなみに前作搭乗時から髪の色が変わったのはウイルスの影響で、おしゃれに目覚めたわけではありません。
髪の色と同様に、前回にあったヤンキーっぽさも抜けています。
キャラクター設定を見直したのかな?
原作クリーチャーの凶暴性を独自にアップ
原作ゲームシリーズの二作目からはリッカーが、五作目からは処刑マジニが登場し、主人公たちを苦しめます。
リッカーは制作陣のお気に入りなのか、一作目から優遇措置がとられていて、ボスや中ボスみたいな扱いが多いです。
今回も巨大な黒い個体があらわれ、アリスたちを追いかけ回します。
むき出しの脳といい、鋭い爪といい、異様に伸びる舌といい、インパクト抜群なクリーチャーなので、かなりこき使われています。
原作ゲームではナンバリングの半分ぐらいしか出てないので、映画版で出世したといえるクリーチャーですね。
原作ゲームの四作目以降に登場するプラーガやマジニと呼ばれる寄生体は、映画シリーズにおいてゾンビが進化したものとして扱われており、根本的なズレがあります。
ただ、知能や俊敏性があるためゾンビとは違った嫌らしい攻撃を仕掛けてくるため、それが良いアクセントになってますね。
バイクに乗って襲ってくるのは原作シリーズの五作目、銃をさらりと使ってくるのは六作目を彷彿とさせます。


原作リスペクトなシーン多し!
原作ゲームにあった要素が様々な箇所にぶっこまれております。
爆弾セットによる定番のタイムリミット、スパイ映画のツールじみた眼鏡、エイダの代名詞になりつつあるフックショット、バリーがこよなく愛するマグナム、ジルのぴっちりスーツと谷間、エイダに軽くあしらわれるレオン、バイクゾンビ(?)による追撃シーン。


アクション映画としての新要素もあり
五作目となるとマンネリ化しそうなところを、今作はあれこれアクションシーンに工夫しております。
ガンアクションに身近なアイテムである鎖をまぜこんだり、カーアクションを追加してみたり、フックショットでぴょんぴょん登ったり、ピッケル二刀流でトゲ付きの棍と戦ったりと、アリスをいい意味で酷使しています。
そして、他のアクション映画でもなかなかお目にかけられない要素として、潜水艦による敵の追撃があります。
雪上車かスノーモービルかヘリコプターでアンブレラの追撃がくるものかと思ったら、氷をぶち割って潜水艦が出て来るシーンはインパクト大!
筆者は思わず「そう来たか!」と叫んでしまいました。笑
文明崩壊後の世界を描いた三作目や四作目に比べると、アクション要素を強化している気がします。
『バイオハザードV リトリビューション』のイマイチなところ
原作キャラの再現度に格差アリ?
洗脳(?)されたことにより、顔つきがきつくなった原作ジルに、映画内ジルはかなり近づいています。
髪の色もあわせてきているので、そのあたりの違和感がなくなっています。
あの変態的な紫色ぴっちりスーツが似合うだけでも相当なものです。
ジルの再現度はかなり上がったものの、レオンとバリーは服装と髪型でごまかしている感があります。
レオンの服装は原作ゲーム四作目に準じているのですが、老け具合や汚れ具合は六作目のものを採用しており、原作に詳しければ詳しいほどモヤッとする感じに。
筆者は原作六作目でヒゲがちょろちょろ生えイケメン感が薄くなったレオンをヨゴレオンと勝手に呼んでいますが、今作が再現しているのは間違いなくこのヨゴレオンですね。笑
バリーも服装と髪型、ヒゲから予想できるものの、年齢や体格、顔の造作はうまいこと再現されておらずキャラの寄せ方が中途半端。
名前とマグナムと赤いベストを借りただけのなんちゃってバリーとなっています。
キャラの寄せ方が雑なので、物語内での扱いも雑。
一矢を報いる姿は描かれているものの、質がいる状態で相手を撃っているので、降参のふりをした意味がなくなり、何がしたいのか分からないキャラになっています。
ジルの十分の一でも気にかけて欲しかったです。
説明長いよウェスカーさん
生物兵器シミュレーション用の疑似エリアがあったり、クローンがわんさかいたりするので、状況を説明しないと話が混乱したままになるのはわかるのですが、説明が長すぎなのです。
主人公アリスの自己紹介的な説明もありますし、ビデオメッセージや通話的な状況説明がやたら多い印象。
アクション映画にあるまじき説明の量なのです。


いきなり始まる体内破壊演出
アリスたちとジルたちの戦闘が始まってから、今までなかったスローモーションを使った体内破壊演出が盛りこまれます。
最初こそ新鮮でしたが、無駄に痛そうな上に演出が入るためスローになるので、テンポが悪くなります。


ほとんどのシーンで捕まっている拍子抜けのエイダ
所属する組織をちょくちょく変えながら生物兵器が関わる事件に出没するスパイのエイダ・ウォンは、「女狐」という言葉がぴったりの美しくも狡猾な人物です。
原作ではかなりのしたたかさを見せるエイダも、今作では序盤に見せ場があったぐらいで、それ以降は敵の捕虜となって過ごします。
敵の裏をかくため囚われたフリをしているわけでもなく、原作のエイダが好きな人ほどがっくりくるのです。
俳優の顔も、かわいい系ではなくもっとミステリアスな雰囲気のつり目タイプの方がしっくりきたと思います。
ただ、服装によるセクシーさの再現はバッチリです!
AIが人類を滅ぼそうとするターミネーター的な展開
前作まで敵であったウェスカーがアリスの力を求めた理由は、レッド・クィーンと呼ばれるアンブレラAIによる人類抹殺計画に対抗するため。
元々SF色もある作品ですし、一作目で地下研究所の職員たちを皆殺しにしているので、人類を雑に扱う素地はあるのですが、「どうやってシリーズに決着をつけるか」を探し迷走している感じは否めません。
レッド・クィーンが人をたばかるような様子を、シリーズを通して描いていればこの流れも自然だったのですが・・・。
やっぱり欲しかったレオンの名台詞
イケメン的雰囲気を漂わせつつも、ひたすら女運が悪いレオン。
きつめのジョークもとばす彼の名台詞「泣けるぜ」を期待していたレオンファンは多かったのではないでしょうか?
救出したエイダの太ももから手を払いのけられる時に「泣けるぜ」をぶっこむ千載一遇のチャンスだったのに、華麗にスルーです。
今作は原作リスペクトのネタが多かったものの、ここ一番でチャンスを逃す制作陣にはもうひとふんばりして欲しかったです。
制作陣の中に、原作の『バイオハザード4』をレオンの台詞を暗記してしまうほど周回プレイしていれば……、と無念を禁じ得ません。
『バイオハザードV リトリビューション』はこんな人にオススメ
『バイオハザードV リトリビューション』は下記のような人にオススメできる映画です!
こんな人にオススメ
- 原作ゲームである『バイオハザード』シリーズが好きな方
- 変態的ぴっちりスーツで戦う美女を見たい方
- 映画シリーズを一作目から視聴している方
- SF的展開が好きな方
- ピッケル二刀流のような特殊格闘が好きな方
- いろんな舞台での戦闘を楽しみたい方
- ドジだけどかわいい系の女スパイが見たい方
『バイオハザードV リトリビューション』を視聴できるVOD
『バイオハザードV リトリビューション』が見放題対象となっているオススメVOD(ビデオ・オン・デマンド)は、下記の通りです。
オススメVOD
- Amazonプライム・ビデオ
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『バイオハザード』シリーズのご紹介
映画『バイオハザード』はシリーズ化されており、全6作からなっています。
シリーズ一覧
- バイオハザード
- バイオハザードII アポカリプス
- バイオハザードIII
- バイオハザードIV アフターライフ
- バイオハザードV リトリビューション
- バイオハザード: ザ・ファイナル
他の作品もレビューしていますので、是非ご覧になってみてくださいね。
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『バイオハザードV リトリビューション』のまとめ
独自路線を歩んだ三作目や四作目に比べると原作要素が増え、アクションにも新機軸が見られたのが『バイオハザードV リトリビューション』です。
再現度には格差があるものの、新加入と復帰の原作キャラがおり、全体的に原作愛を感じさせる出来です。
シリーズを通してクリーチャーとばかり戦っていたので、ラストの美女対決はかなり新鮮。
ホラー感はやや薄めなものの、アクションや物語の展開ではかなり工夫された工夫された作品ですよ。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事の著者の執筆作品
著書名:オブザデッドレビュー34発
電子書籍サービス:Kindle
紹介文:林立するゾンビ映画をひたすらレビュー!『○○オブザデッド』が多すぎて困っているホラー映画好きのあなたに送る一冊です。