予知の力で生命の危機から逃れた人々が「死の運命は変えられない」とばかりに、偶然が連続する、考えられないような死に方をしていくのがファイナルデスティネーションシリーズです。
本作はその三作目に当たります。
果たして死に神の鎌から逃れた高校生たちはその命を全うできるのでしょうか?
あらすじ・作品情報
「ファイナル・デスティネーション」「デッドコースター」に続き、“死の運命”から逃れようとする若者たちを描くサバイバル・ホラーの第3弾。
ハイスクールの卒業記念に訪れた遊園地で、予知夢によってジェットコースター事故から逃れたウェンディたち。
しかし、死を免れたはずの10人は、次々と恐ろしい死を遂げていく……。
引用元:映画.com
2006年に公開された映画です。
監督はシリーズ第1作目の「ファイナル・デスティネーション」でもメガホンを取ったジェームズ・ウォン監督です。
『ファイナル・デッドコースター』の予告編
『ファイナル・デッドコースター』の良かったところ
個性あふれる高校生(とそのオマケ)集団
学校のイベントで遊園地にやってきた高校生たち。
たまたまきていた主人公の妹や、無駄に首をつっこんできた卒業生と一緒にジェットコースターの事故に巻きこまれます。
主人公の予知により事故死をまぬがれた面々はなかなか個性的。
それぞれ顔と性格もことなり分かりやすいです。
おしゃれ命の日焼け少女二人に、卒業生かつゲスキャラのフランキー、いかにも脳筋といった体育会系の黒人少年に、ゴシック風で身をかためやや不気味な感じの男女に、アクティブな妹、ガキっぽいけど次第にいい奴になっていくケヴィンに、不安そうな表情が似合う主人公ウェンディ。
偶然ジェットコースターから降りたグループなので、いろんな個性が集まり、キャラがかぶっているのはフランキーとケヴィンのゲス要素ぐらい。
ファイナルデスティネーションシリーズはコンスタントに登場人物が消されていき、ゆっくり登場人物を把握する時間が短いので、やはりキャラクターはわかりやすい方がいいです。
似たような外見や性格のキャラばかりいると、死の伏線とのかねあいで「この人の伏線と順番ってどうだったっけ?」と視聴者の頭を悩ませることに。
その点本作は親切なのです。
今回もみせます!「こんな死に方アリ?」のユニークな死にざま
ホラー映画の犠牲者は「どれだけインパクトのある死に方をするか」競っている感がありますが、ファイナルデスティネーションシリーズは奇妙な死にざまを追求という点で最高峰ともいえる作品ですね。
死に神に魅入られた登場人物が奇想天外で個性的な死にざまを見せつけてくれます。
ホラー映画の中では凶悪なアイテムとして使われがちなネイルガンに後頭部をゼロ距離射撃されたり、トレーニング機器にはさまれて頭がつぶれたり、動いていないはずのスクリューに後頭部を切り裂かれたり、異常な高温とロック状態になった日焼けマシンで包み焼きにされたりされます。


世の中危険だらけ?フェイクもある危険描写
個性的な事故は突然やってくるのではなく、いくつもの偶然が積み重なる形で発生します。
劇中ではその過程がしっかりと描写されており「この仕掛けがどうつながるの?」とピタゴラスイッチならぬピタコロすスイッチと化して、視聴者の想像力をかき立てます。
憎いのは、この過程や危険な場所、道具に関する描写にフェイクもまじっていて、シリーズになれてきても「こっちはフェイクかも知れないな……」と深読みを楽しめる点です。
ユニークな死にざまといい、フェイクがまじっていることといい、死に神や制作陣はかなり遊んでおります。
器具が勢いよく動き、いかにも危険そうなトレーニングルームでも、ほとんど危険がなさそうな日焼けサロンでも、死はするすると近づいてきます。
ホームセンターは「ゾンビ発生時どこに立てこもるか」の議論になった際、話題にのぼるほど武器になりそうなアイテムが豊富で、これまた死に神がスタンバイするのに格好な場所です。
ピタコロすスイッチや危険物のフェイクのほか、死ぬ順番のフェイクもあり、ウェンディとケヴィンの二人組を狙っていると見せかけておいてから、フランキーのところにやってきます。


ホラー向き?ウェンディの陰ある魅力
ジェットコースターが事故にあう予知を見たものの、恋人のジェイを救えず、ウェンディは罪悪感に苦しんでしまいます。
少し陰があるその姿はホラー向きで、精神的な不安定さが主人公の魅力を珍しく引き出しております。
今作のウェンディはけらけら笑うより、すんすん泣いている方が可愛く見える不思議なキャラなのです。
女主人公が不安定になると、ヒステリックになりがちで、それに視聴者がへきえきするケースが出てきます。
しかし、ウェンディもいくらかケヴィンともめるもののギャンギャン叫ぶようなことにはならず、静かに涙するその姿は、男性を「守ってあげたい」と思わせる魅力を放っています。
昨今のホラーヒロインはアクティブなキャラが多いので、ウェンディみたいなしっとり系はかえって新鮮ですね。
『ファイナル・デッドコースター』のイマイチなところ
たまに疑問が生じるピタコロすスイッチ
ファイナルデスティネーションシリーズでは、「ありえないほどの偶然が積み重なった死」が名物となっています。
この偶然の積み重ねぶりが絶妙で「べらぼうに確率は低いが、決して不可能ではない」感じなんですね。
この偶然の積み重ねによる死への連鎖を、私は勝手にピタコロすスイッチなんて呼んでいるのですが、今回その物騒なスイッチに関して疑問が生じる点がいくつかありました。
それは、仲良し日焼けギャルズが包み焼き状態におちいるシーンです。
飲み物容器から生じた水滴により、機械の電圧が上がるシーンがありましたが、水を浴びてショートもせず、ただ電圧だけが上がるなんてことあるのでしょうか。
日焼けサロンでのW包み焼きシーンは、かなりインパクトが大きいので、そのためにわずかばかりに残っていたリアリティをぶん投げてしまった気がします。
もう一つはフランキーの頭にスクリューが刺さるシーンです。
スクリューが回転していたのならともかく、静止した状態であそこまで深く刺さるのは疑問です。
トラックの追突がかなりの衝撃なのは想像できますが、スクリューがうまいこと後頭部にめりこむ前に、首の骨が折れて頭が前に傾く気がします。
これもインパクトのある死にざまのため、物理や人体の仕組みを無視していますね。
ホラー映画的にインパクトのある画がファイナルデスティネーションの醍醐味とはいえ、あんまりやりすぎるとギャグみたいになってしまいます。
この二人に関してはやりすぎだったのではないでしょうか?
ケヴィンの初期ゲスキャラ必要あった?
登場人物が個性的なのが本作の魅力なのですが、メインの登場人物であるケヴィンのキャラクターだけ、やや迷走感があります。
そもそも事故前のゲスキャラはフランキーとかぶり、事故後の真面目キャラは友人のジェイとかぶるという、スタート地点から迷走まったなしの重複ぶりなのです。
事故後に真面目キャラのジェイがぬけてしまったので、その穴を埋めるべくゲスキャラ軍から真面目軍へトレードされた感じです。
そう考えると、悲劇の主人公はウェンディより、キャラまで変更されたケヴィンなのかも知れませんね。
ケヴィンは真面目キャラになっても、途中まではウェンディにうざがられるという悲しい人物でもあります。
単に死にざまを暗示する写真を撮るために、序盤だけゲスキャラ要素が必要だったのかも知れません。
しかし、事故後にウェンディの真面目な恋人ジェイの霊が憑依し、彼女を守ろうとした可能性もピタコロすスイッチ同様ゼロではありません。
とはいえ、ジェイの存在を示すようなオカルト要素もなく、描写も見られません。
制作陣や物語の都合により、振り回されたと見るのが妥当でしょうね。
五ヶ月後まで無事だったのはなぜ?
主人公を含む三人が五ヶ月後まで無事だったのがどうも納得できません。
高校を卒業して離ればなれになったため、順番通りの「死すべき運命」が作用されなくなったと考えるべきなのでしょうが、そうなると死に神には担当エリアがあり、そこを対象の人物が離れしまうと仕事ができなくなるという設定に。
遠くへいけば助かるような描写はなかった気がするのですが……。


『ファイナル・デッドコースター』はこんな人にオススメ
『ファイナル・デッドコースター』は下記のような人にオススメできる映画です!
こんな人にオススメ
- ファイナルデスティネーションシリーズが好きな方
- 工夫されたユニークな死にざまが見たい方
- ゲスキャラ→真面目キャラへの変貌が見たい方
- 日焼けギャルズのおっぱいが見たい方
- アクティブ系よりしっとり系ヒロインが好きな方
- 「そんな偶然ありえない!」とツッコミたい方
『ファイナル・デッドコースター』を視聴できるVOD
『ファイナル・デッドコースター』が見放題対象となっているオススメVOD(ビデオ・オン・デマンド)は、下記の通りです。
オススメVOD
- Amazonプライム・ビデオ
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『ファイナル・デスティネーション』シリーズのご紹介
映画『ファイナル・デスティネーション』はシリーズ化されており、全5作からなっています。
シリーズ一覧
- ファイナル・デスティネーション
- デッドコースター
- ファイナル・デッドコースター
- ファイナル・デッドサーキット 3D
- ファイナル・デッドブリッジ
他の作品もレビューしていますので、是非ご覧になってみてくださいね。
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映画『ファイナル・デッドコースター』について、ご紹介しました。
死にざまのインパクトが何よりも重視される『ファイナル・デッドコースター』は、登場キャラがきっちり描き分けられ、主人公にホラーヒロイン的な魅力のあるシリーズ作品です。
シリーズ作品といっても、順番通りに視聴する必要はなく、本作だけ単品で視聴しても十分楽しめます。
セクシー要素も多めで、シリーズの中でもサービス精神に富んだ一本ですね。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事の著者の執筆作品
著書名:オブザデッドレビュー34発
電子書籍サービス:Kindle
紹介文:林立するゾンビ映画をひたすらレビュー!『○○オブザデッド』が多すぎて困っているホラー映画好きのあなたに送る一冊です。