今回は映画『アンコール!!』をレビューします。
Amazonプライムでかなり高評価であり、紹介ページは見るからにノリノリで楽しそうな音楽映画だったので期待してみましょう!!
では早速レビュー開始していきます。
なお、本記事にはネタバレを含んでおりますので、ご注意ください。
あらすじ・作品情報
寡黙でとっつきにくい性格が災いし、周囲から筋金入りの頑固おじさんとして扱われ、息子とも溝ができてしまっているアーサー(テレンス・スタンプ)。
そんな彼が愛してやまない、性格の明るい妻マリオン(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)のガンが再発してしまう。
そんな中、彼女が在籍するロックやポップスの名曲を歌う合唱団「年金ズ」が国際コンクールの選考大会に出場することに。
治療などで練習に参加できないマリオンの代理で「年金ズ」のメンバーになるアーサーだが、個性豊かなメンバーや慣れない合唱に面食らってしまう。
引用元:Yahoo!映画
『アンコール!!』の予告編
『アンコール!!』の良かったところ
人生において大切な人との別れと出会い
この映画の主人公は老人アーサー。
彼はもう本当に徹頭徹尾ガンコで口の悪い嫌味なジジイなんですが、そんな彼でもなんとなく絆(ほだ)されてしまう“天使”のような存在がいます。
最愛の妻マリオンです。
物語中盤まではこのマリオンのおかげで映画全体が明るくポジティブな雰囲気に包まれています。
しかし、マリオンは病気の再発により命を落としてしまいます。
マリオンがいなくなってもぬけの殻のようになってしまったアーサーが、新しい出会いと自分の道を探していくストーリー展開に深く考えさせられるものがあります。


頑固で意地っ張りなアーサーの成長ぶり
この映画の主人のアーサーの憎らしさったらたまったもんじゃありません。
御歳72歳にもなるのに、とにかく口が悪いんです。
終始画面にアップで映される硬い表情に憎らしいまでの減らず口・・・。
冒頭からとにかく彼の悪態ぶりが目立ちますが、アーサーは妻の死をきっかけに劇的に人生が変わります。
嫌がっていた合唱団に興味を示し、敬遠していた息子との関係も修復しようと自分なりに精一杯努力します。
そんな不器用ながらもアーサーが変わっていく姿に胸を打たれます。
もちろん思い通りにいかないこともたくさんあり、おそらく彼は今まで人と関わってこなかった分、なかなかうまく他人との関係性が結べないんです。
それでも無骨ながら、時にモジモジしながら前に進もうと頑張る姿に、おじいちゃんながらキュンとさせられます。
型破りな合唱団“年金ズ”の活躍
この物語でアーサーや妻マリオンが所属する合唱サークル“年金ズ”の活躍が最高にアツいです!
年金ズは目標を見つけるためコンクールへ参加することになりますが、彼らのハチャメチャっぷりが見ていて痛快です。
単なる合唱用の曲だけでなく、ヒップホップやロボットダンスなども存分に取り入れ、会場をRock!します。
彼らは年金ズというだけあってかなり高齢なメンバーが揃っていますが、自分達なりに工夫しアイデアを出し合いながら歌に磨きをかけます。
その姿に視聴者も魅了されるでしょう。


お節介なもう1人の天使エリザベス
この映画には妻のマリオンとは別に、もう1人の“天使”がいます。
合唱団をまとめあげる音楽教師のエリザベスです。
マリオンもアーサーを変える大きなきっかけとなってはいますが、アーサーのみならず、年金ズ全てのモチベーションを上げ続けていたエリザベスの活躍も見所です。
はじめは無愛想で文句ばかり垂れるアーサーにキツイ事を言うエリザベスですが、彼女はアーサーが変わろうとしていることに全力で向き合い明るい言葉で励まします。
アーサーが息子とうまくいっていないのを知って息子をコンクールに誘うようにけしかけてみたりと、けっこうお節介な一面もあります。
しかし、頑固なアーサーにとっては彼女くらいグイグイ来てくれる人じゃないとダメだと思います。
アーサーを常に励まし続けるだけでなく、年金ズのメンバー全員を活気付けていくその健気な姿はまさしく天使のようです。
不器用だけどやっぱり家族は家族
息子や孫に対しても明るいマリオンとは違い、アーサーは彼らにどう接したらいいかわからず、つい悪態をついてしまいます。
そんなアーサーを見かねて、息子は彼の元を去ってしまいます。
しかし、マリオンが亡くなってからその冷え切ってしまった家族の絆を再び取り戻そうと奮闘するアーサーがとても素敵です。
息子は息子でアーサーに対して諦めの気持ちを持っていましたが、アーサーが必死に変わろうとする姿をみて彼に対する思いを改めます。
なんだかんだで家族はやっぱり家族。
喧嘩していてもどこかでお互いが気になってしまうシーンに胸を打たれます。
あとは、頑固なアーサーでも孫はやっぱり可愛いのか、彼女にだけは本心を語れるという不思議な関係性も面白いですね。
老夫婦の仲睦まじいラブシーン
本作品では、アーサーとマリオンの老夫婦ならではのラブシーンがよく観られます。
ずっと仏頂面のアーサーですが、かなり献身的にマリオンの介護をしていて、「キスをして」と言われればためらいなくその通りにし、二人仲よさそうに手を繋いだりくっつき合ったり・・・。
若者顔負けのイチャイチャぶりを見せてくれます。
特に、アーサーは普段周囲に悪態ついてる割に、妻には滅法弱く、そのツンデレっぷりがついつい憎めないんです。
最初はこんな正反対の2人がなんで結婚したのだろう?と考えていましたが、映画を観ているうちのその疑問はすぐになくなりました。
歳を取っても仲が良く、互いを信頼し合っている2人の老夫婦ならではのラブシーンが印象的です。


『アンコール!!』の惜しいところ
終盤のアーサーの激変ぶりに置いてけぼりになる
物語終盤でアーサーはビックリするほど変化します。
決別したはずの年金ズの元に突然現れ(しかもコンクールが始まる直前の控え室で)、出場出来ないと分かり意気消沈するメンバー達を先導し、いきなりステージに上がっちゃいます。
それどころか、大人数の観客の前で完成度の高いしっとりとしたソロまで披露してくれます。
このすさまじい展開には、流石に口が開いてしまいます。
前半から中盤までかなり丁寧にアーサーの頑固ぶりと、自分が変わろうと葛藤する姿が描かれてきただけに、この急激すぎる変化はそれまで保たれていたリアリティが一気に無くなってしまい、少し残念だったなと感じました。
エリザベスの意外な一面のシーンは必要だったか?
マリオンの死後、アーサーが合唱団に少しずつ近寄るようになり、これまで以上に合唱団を指揮するエリザベスと触れあうようになります。
2人が少し打ち解けたかなと思った次のシーンで、いきなりエリザベスが泣きながらアーサーの家に訪れます。
そこでエリザベスはわんわんと男運がない話をするのですが、これって必要だったの?と思ってしまいます。
もちろん、天使のように見えるエリザベスも「アラがある普通の女性なんだよ〜」、というのはよく分かるんですが、あまりに唐突に入り込んで来たこのシーンには「???」となりました。
物語を通してアーサーに主軸を置いてスムーズに流れていたので、この部分だけが浮いて見えました。


『アンコール!!』はこんな人にオススメ
『アンコール!!』は下記のような方にオススメできる映画です。
こんな方にオススメ
- リア充全開なおじいちゃんおばあちゃんがみたい人
- ハッピーでノリノリな音楽を楽しみたい人
- ツンデレおじいちゃんに興味がある人
- 人生の出会いと別れにジーンとなりたい人
- 不器用な家族ドラマを見たい人
- 楽しいだけではなく余韻を楽しみたい人
映画全体として明るい雰囲気ですが、最愛の人が亡くなったり、残された自分の人生をどう生きるかなど、高齢者ならではの老後の人生について考えさせられる映画でもあります。
『アンコール!!』の口コミ
店内で映画の予告が流れているのですが、『アンコール』予告編だけでも感動して泣いてしまいそうになります;;(セリーヌ・ディオンの主題歌もいいです!!)
今一番個人的に観たい映画ナンバー1です♪皆さんも大切な人とぜひ♪#映画 #アンコール— ギフト券と外貨両替のgalireo (@galireo_gift) 2013年7月15日

映画『アンコール/Song for Marion』をふとまた観たくなって観た。またずっと涙が止まらない。愛する人と一緒に在る世界の一緒の時間を素直に生きている2人。2人を見て自分の気くばりと気難しさを考える。劇中のビリージョエルさんの曲は心をえぐる。#映画 #アンコール #SongforMarion
— luzdelaluna 明恵・あきえ (@luzdelaluna_a) 2018年1月21日

『アンコール!!』を視聴できるVOD
『アンコール!!』が見放題対象となっているオススメVOD(ビデオ・オン・デマンド)は、下記の通りです。
オススメVOD
- Amazonプライム・ビデオ
- U-NEXT
Amazonプライム・ビデオ
Amazonプライム・ビデオは月額400円と非常に安価で、多くの映画やドラマ、アニメなどを視聴することができます。
※2019年2月時点の情報です。
また、30日のお試し無料期間が付いているので、まずは無料体験から始めてみましょう!
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※2019年2月時点の情報です。
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『アンコール!!』のまとめ
映画『アンコール!!』についてご紹介してきました。
個人的に非常に印象深い映画となりました。
まるで壮大な前フリであるかのように、アーサーがずーっと仏頂面でいてくれるおかげで、「彼が今後どのように変わっていくのだろう?」と期待しながら楽しんで観ることができます。
また、冒頭からすごく元気で可愛らしいマリオンが、いつこの世を去ってしまうのだろうかという切ない思いでもありました。
自分としては、アーサーが合唱に触れ合うことで変わっていく姿も魅力的でしたが、やはり1人で残されたアーサーが今後どうやって生きていくのだろうと思わせる絶妙なラストシーンが印象的でした。
1人寂しくベッドの片隅で寝ている姿が、なんだか哀愁感ありますね。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。