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クラシック音楽映画『天使にショパンの歌声を』のネタバレと評価!

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今回は『天使にショパンの歌声を』のレビューを行います。

本作はカナダのケベック州にある女子専用の寄宿学校を舞台にしたカナダ映画です。

経営難に苦しむ学校と、それを音楽で乗り切ろうとする校長の悪戦苦闘の物語です。

美しいクラシック音楽と、カナダならでは荘厳な自然の景色が楽しめる映画です。

本作の監督はレア・プールです。

女性ならではの繊細で丁寧なドラマが独特の世界観を生み出しています。

それでは早速レビュー開始です。




 

あらすじ・作品情報

天使にショパンの歌声を

1960年代、カナダのケベックにある寄宿学校。

音楽コンクールの優勝者を輩出したこともあるが、修道院による運営が見直され閉鎖の可能性が出てきた。

校長のオーギュスティーヌは音楽の力で世論を動かし、学校を存続させようと考えていた。

一方、転校生でめいのアリスはピアノの才能がありながら、誰にも心を開かず問題ばかり起こす。

引用元:Yahoo!映画

2017年に公開された映画です。

なお、本作品はPG12指定となっていますので、ご注意ください。

 

『天使にショパンの歌声を』の予告編

 

『天使にショパンの歌声を』の良かったところ

寄宿学校ならではの生活が面白い

舞台となるのは、雪景色の中で埋もれたように存在する寄宿学校です。

修道院により経営されており、生徒はみんな女子です。

ここでの生活が私にとって馴染みのないものでかなり興味深かったです。

 

ベルの合図で起こされ、みんなで囲んで冷めた朝ごはんを食べ、音楽の授業を行い、お祈りをして寝る。

彼女達は厳しい規律のもと、謙虚さや自制心を教えられます。

しかし、そんな厳しい教育下でもやっぱり女の子は女の子。

男子に興味を持ったり、何か楽しそうなことがあるとキャッキャと騒ぐ姿がなかなか微笑ましかったです。

 

さらにおかしなシーンと言えば、夜生徒達が寝静まった後のシスター達の過ごし方。

彼女達は普段厳しい姿を生徒に見せてはいるものの、裏ではトランプをしたりクロスワードパズルをしたりしながら下世話な話をしています。

こういう姿を見ると、彼女達もやっぱり人間だし肩肘張らない部分もあるんだなとニヤリとしてしまいました。

随所に修道院、寄宿学校ならではの小ネタが散りばめられていて、なかなか興味深かったです。

 

孤軍奮闘する校長先生の戦い

本作の主人公は、寄宿学校の校長を務めるマザー・オーギュスティーヌです。

彼女は経営難の学校を救うため、学校の音楽教育に力を注ぎます。

彼女の赴任している学校は経営面で大変な苦労をしており、暖房代をケチったり食費まで節約をしています。

そんな中でも音楽にかける費用はしっかりかけようとするものですから、各学校を取りまとめる修道院の総長から疎まれるのは当然です。

 

学校の経営難、姪であるアリスの精神的トラブル、シスター達の精神面のケアに生徒達の教育と、頭を悩ませることばかりのオーギュスティーヌですが、彼女は凛として前を向き戦い続けます。

 

とある勇者
儚くも強い心を持った校長先生の奮闘ぶりに感動するね!
終始難しい顔で何かを考え、現状を打破する方法を思案している姿が印象的でしたね!
はらちゃん
とある勇者
しかし、このオーギュスティーヌ・・・すごい名前だね。笑
カナダにはこのような名前の女性が多いのでしょうか?
はらちゃん

 

転校生アリスの波乱万丈な人生

オーギュスティーヌの姪として転入してくる、少女アリスの複雑な心境も見どころの一つです。

彼女は母に見捨てられ、寄宿学校に転入させられたと信じているため、どこかグレてしまっています。

ちょっと斜に構えた彼女にとっては、寄宿学校の教えなんぞクソくらえといった感じで、隠れてタバコを吸ったり男と密会したりシスターに歯向かったりと、なかなかの荒くれ者ぶりを見せてくれます。

 

しかし、彼女のピアノの演奏技術だけは超一級!

転入当初から類いまれなる演奏技術を見せつけ、経営難で苦しむ学校の助けになるかもとオーギュスティーヌの希望となります。

結局アリスは母に見捨てられて寄宿学校に入れられたというわけではなく、母の死期が近かったためこうせざるを得なかったという理由を知り、彼女自身もオーギュスティーヌを頼り成長していきます。

 

そして、ラストの「別れの曲」の演奏。

素晴らしいの一言に尽きます。

自分が獲得したメダルを、オーギュスティーヌにかけてあげる彼女の成長が微笑ましいです。

本作は彼女の成長物語として観てもなかなか面白いです。

 

吹き替えなしの音楽シーン

本作での演奏・歌唱のシーンは、何と全て吹き替えなしで行われたそうです。

私はそのことを全く知らなかったので、そうだとしたら驚きを隠せません。

 

序盤でアリスが猛烈なアレンジを加えながらのピアノ演奏を見せてくれますし、中盤での生徒達の歌声も本当に綺麗で、心が洗われるような思いでした。

そんな演奏・歌唱全てを彼女達が行なっているなんて・・・。

いや~、天晴れですね。

元々音楽のスキルがある人を集めたらしく、そう考えると彼女達の演奏を褒めるより、むしろ彼女達の演技が上手いことを褒める方が自然なのかもしれませんね。

 

音楽映画といえば、俳優達の吹き替えなしの演奏などが定番となりますが、本作はそのジャンルの中でも飛び抜けて本物の音楽家が出揃っていました。

 

とある勇者
なんとなく大人として形成されていない彼女達の、完成されていない感じが音楽にも現れていたね。
その初々しさがとても良かったですね!
はらちゃん

 

修道服を脱ぐシーン

中盤頃にあるシスター達が、修道服を脱ぐシーンがかなり見どころです。

本部からの通達により、伝統的に着ていた修道服を脱がなければならないということで、シスター達はショックを受けます。

クリスチャンではない私にとって、その服を脱がなければならない苦しみはよく分かりませんが、彼女達が重々しい表情で時に涙を浮かべながら脱いでいくシーンがかなり丁寧に描かれています。

本シーンでは結構な尺を使い、一人一人の表情をカメラが捉えており、重厚感のあるシーンとして心に残ります。

このシスターの中にも悲しまずに意気揚々としている者もいて、こういった多様な人間を描いているのがリアリティがあって良かったです。

 

『天使にショパンの歌声を』の惜しいところ

校長がなぜあんなに情熱的なのか知りたかった

校長は経営難の学校を救うために、音楽を用いて最大限の抵抗をします。

彼女のバイタリティや根性は凄まじいものがあり、周囲のシスターや生徒たちをも巻き込んでいくわけですが、なぜ彼女がそこまで学校の存続にこだわるのか、そしてなぜそこまで音楽に情熱を注ぐのか、説明が欲しかったところです。

本作は彼女のタフネスあってこその物語だと思うので、彼女が今の人間に至るまでの過程をもっと丁寧に描いて欲しかったです。

 

全体的に淡々としている

本作のテンポというか、映像が何となく間延びしているような印象を受けます。

こういうテイストにしようとしたのかもしれませんが、それがあまりに多くなってくると、意味があるのかないのか考えるのが少し億劫になってきてしまいました。

ただ歩いているだけ、見つめるだけのシーンなどが妙に長いことがあり、全体的に淡々としている印象がありました。

 

『天使にショパンの歌声を』はこんな人にオススメ

『天使にショパンの歌声を』は下記のような人にオススメできる映画です!

こんな人にオススメ

  • ショパンが好きな人
  • クラシック音楽が好きな人
  • カナダの美しい景色が見たい人
  • 修道院の生活を垣間見たい人
  • 雪が好きな人
  • 出演者の吹き替えなしの演奏が見たい人
  • 男子に負けたくない人

本作はショパンの名前がタイトルに入っていますが、それ以外にもバッハやドビュッシーなどのクラシック音楽を楽しむことができます。

音楽を通じて、荘厳な自然の中を生きる女性達の人生を観たい人にはオススメです。




 

『天使にショパンの歌声を』を視聴できるVOD

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※2019年2月時点の情報です。

 

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『天使にショパンの歌声を』のまとめ

映画『天使にショパンの歌声を』について、ご紹介しました。

滅多に見られない修道院の生活や女子だけの寄宿学校の姿を垣間見ることができ、非常に興味深かったです。

音楽を通じて成長する生徒達とシスター達のドラマが良かったですね。

映画全体のテンポが冗長と感じる部分もありますが。全体的にはすごく丁寧で独特のリズムを生み出しているという印象を受けました。

カナダの雄大な自然と、その中でたくましく生きる女性達の奮闘劇を楽しむことができました。

総合評価

3.0点 / 5.0点

最後までお読み頂きありがとうございました。




 

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