サバイバルホラーというジャンルを開拓した日本産のビデオゲーム『バイオハザード』シリーズを原作にもつのが、CG映画『バイオハザード ディジェネレーション』です。
レオンとクレアという、原作二作目の人気キャラが登場します。
全編CGで描画されているので、制作年を考慮しつつ視聴しないとフェアにならない作品ですね。
公開されたのは2008年で、コンピュータ関連の発展を考えると、この原稿を書いている2019年と隔世の感があります。
果たして、原作シリーズの雰囲気をきっちり表現できているのでしょうか?
あらすじ・作品情報
アンブレラ社が開発したT-ウィルスを手にしたテロリストが、7年前に政府が隠ぺいした“ラクーンシティ消滅事件”を大統領自らがすべて公表するようにと脅迫する事態が発生する。
ホワイトハウス直轄のエージェント、レオンは事態鎮圧の特別指揮官として空港へ向かい、ゾンビを撃退をしながらバイオテロの鎮圧に尽力する。
引用元:Yahoo!映画
『バイオハザード ディジェネレーション』の予告編
『バイオハザード ディジェネレーション』の良かったところ
実は貴重なレオンとクレアの再会
ずっとリメイクを期待されてきた人気作『バイオハザード2』の主人公であるレオンとクレアは、二人ともかなりの人気をもっており、以降の原作シリーズにちょくちょく登場します。
実写映画シリーズやCG映画シリーズにも姿や名前が出てくるのですが、二人が顔をあわせて協力し合うケースはなく、外伝的なゲームシリーズで『バイオハザード2』の状況を再描画されているくらい。
別のストーリーとして二人が再会する今作は、なにげに貴重です。
貴重なレオンとクレアのそろい踏みだけでも嬉しいのに、原作ゲーム『バイオハザード2』時代に関するちょっとした描写や、レオンがエージェンとして行動していることを示すハニガンの存在、原作ゲームシリーズ『バイオハザード5』につながる設定も出てきて、原作ファンにとってはかなりお得感(?)が強い作品です。
光と闇の対比多し
夜をまたいで行われる空港での救出劇や研究所での脱出劇では、光と闇の対比がよく行われます。
風景的な対比だけではなく、キャラクターにもそれは及んでいます。
分かりやすいのはアンジェラとカーティスの対比。
元々正義感が強かったであろうこの兄妹の歩む道は、ラクーンシティでの大惨事によって分かたれ、一方は人命をとうとぶ特殊部隊員、一方は目的のためには手段を選ばない運動家となります。
二人の表情や姿もまた対照的に描かれ、恨みにこりかたまったカーティスは、乱れた黒い髪を振り乱し、よどんだ目つきの険しい顔をしています。
アンジェラも武力を行使する特殊部隊員だけあって、戦闘中は険しい顔をしていますが、役目から解放されたラストシーンでは、金色の髪を日光の中に漂わせ穏やかな顔つきをしています。
また、はっきりとした光と闇ではないものの、表舞台に立たず、エージェントして大統領の意向に従い続けるレオンと、民間人として善意のボランティアに仲間と生物災害の問題と向き合っていくクレアもまた対照的です。
ただのドタバタで終わらぬ仕組まれた展開
パニック映画的なドタバタを描きたいのであれば、序盤に登場した空港でのゾンビ発生で終わっていたのでしょうが、原作シリーズの間と間をつなげる作品でもありますので、思わせぶりかつ原作の世界観を補足するような作りになっています。
いかにも強欲で保身にはしりそうな上院議員を使って視聴者のあやまった判断を誘いながら、黒幕は別にいるという仕掛けです。
多少の伏線を回収しながら、ラストで黒幕が判明します。
原作シリーズでも希少?Gウイルスによる変形シーン
この作品では、原作の『バイオハザード2』で登場するGウイルスにより変化した元人間が強敵として立ちはだかります。
Tウイルスによるゾンビか寄生体がはばをきかせる原作シリーズの中で、Gウイルス関連の話は希少です。
原作の『バイオハザード2』は制作年の関係から、Gウイルスによる変形シーンが時代を感じさせるものになっています。
その点、今作は最新技術には及ばないものの、2008年当時としてはかなり気合いの入った描写がされており、特徴である巨大な目玉もばっちり描かれています。
「目が大きければ大きいほどかわいい」という日本の定説(?)をくつがえす、リアルな巨大おめめなのです。笑
成長したレオンの姿
原作の『バイオハザード2』では一応警官ながらクレアやエイダに振り回される、ちょっと情けない姿をレオンがさらしていましたが、クレアと再会を果たした今作では成長した姿を見せております。
グレネードランチャーによる頭脳プレイで敵の動きを封じてますし、的確な避難指示も出しています。
今回は女性陣に振り回されてペースを乱されることなく、任務を遂行していくのです。
『バイオハザード ディジェネレーション』のイマイチなところ
クレアの不自然な赤髪と唇
当時の技術の限界なのでしょうか、どうもクレアの不自然な赤い髪と唇が目につきます。
原作クレアは赤がイメージカラーではありますが、一部染めたような赤い髪をもっているわけではなく、特徴的な唇をもっているわけではありません。
やけにぷりぷり感のある唇といい、ポニーテールといい、日本語吹き替え版の声といい、別の人気ゲームシリーズ『トゥームレイダー』のリブート版ララ・クロフトを連想させる姿です。
お茶に誘われたフレデリックにほいほいついていくなど、性格もいくらかチャラくなり、原作ファンがのぞむクレア感とは少しずれている印象です。
ブラザーコンプレックスをこじらせているので、元々年上好きのようですが・・・。
人相悪すぎレオン
原作シリーズ四作目で見せたレオンのイケメン感はかなり薄まっております。
目元が暗く描かれ、眼光もきつめに。
エージェントとして修羅場をくぐりぬけてきたすごみを表現したかったのでしょうか?
不自然かつ残念な子供キャラ
クレアの優しさアピールのために登場したとおぼしき子供が、とある状況説明を行うシーンがあるのですが、よどみなく状況を説明しすぎていてかなり不自然。
幼児が一呼吸で話す内容じゃないです。
本当にその子供が大事だったらほいほいフレデリックについていくことはしませんし、どうも存在に不自然さしか感じません。
特殊部隊員の扱い格差
空港でゾンビによるバイオハザード(生物災害)が発生し、颯爽と登場する男女の特殊部隊員。
この二人の格差がとんでもないです。
女性隊員アンジェラは主役であるレオンといちゃつくなどヒロインの座をゲット。
対する男性隊員グレッグは、ゾンビをなめまくった行動によりさっくりと噛まれ、あえなくゾンビ化する始末。
態度が悪かったため、コンビだったアンジェラ以外に言及されることもなく、ゾンビ化したあとの哀れな姿も映し出されます。
アンジェラの添え物みたいな扱いです。
原作も実写映画も、バイオハザードの世界では特殊部隊員は使い捨ての存在ですが、ここまで雑な扱いなのも珍しいです。
この監督は小さい頃「グレッグ」という名前のゴリラみたいな少年にいじめられたのでしょうか?
その意趣返しに今作が使われたのかな?
フレデリックにそこまでやれる?
ソフトな物腰ながら、一連の事件の黒幕として存在するフレデリック、金銭目的のためにテロまで支援し、多くの人命を危険にさらします。
しかし、逮捕されるシーンのへたれっぷりからは、どうも大それたことが出来る人物のようには感じられませんでした。
数値としての死者数は気にもとめないものの、実際の流血沙汰や暴力的なもめ事には弱い面を描きたかったのでしょうか?
どうせ黒幕をやるのなら、もっとサイコパス気質の冷酷さを演出して欲しかったです。
『バイオハザード ディジェネレーション』はこんな人にオススメ
『バイオハザード ディジェネレーション』は下記のような人にオススメできる映画です!
こんな人にオススメ
- 原作シリーズの『バイオハザード2』が好きな方
- 珍しく女運のよいレオンの雄姿を見たい方
- トゥームレイダーシリーズのララ・クラフトが好きな方
- 空港や巨大施設が盛大に破壊されるのが見たい方
- 腹黒紳士が見たい方
『バイオハザード ディジェネレーション』を視聴できるVOD
『バイオハザード ディジェネレーション』が見放題対象となっているオススメVOD(ビデオ・オン・デマンド)は、下記の通りです。
オススメVOD
- Amazonプライム・ビデオ
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『バイオハザード ディジェネレーション』のまとめ
原作ゲームの『バイオハザード2』のレオンとクレアが、珍しく再会を果たすのが『バイオハザード ディジェネレーション』です。
女運が良かったり、真面目だったりとレオンが別の味付けをされています。
さらに、クレアも別ゲームであるトゥームレイダーのララ・クラフトみたいな雰囲気があり、原作人気キャラの再現度は高くありません。
原作ゲーム『バイオハザード2』の同窓会的な作品であるものの、原作ファンであればあるほど物足りなさを感じる一作です。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事の著者の執筆作品
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