制作はもちろん、俳優も超メジャーな感染系アポカリプスホラー映画が『アイ・アム・レジェンド』です。
アイデアとホラー映画愛で制作されるB級ホラーが多い中、その豪華さは群を抜いています。
果たして予算と怖さが正比例する作品になったのでしょうか?
それでは、『アイ・アム・レジェンド』のレビューを行っていきます。
あらすじ・作品情報
2012年。
人類が死滅してしまった地球でたった1人、有能な科学者のロバート・ネビル(ウィル・スミス)だけが生き残る。
彼は究極の孤独と闘いながら愛犬サムとともに3年間もの間、ほかの生存者の存在を信じて無線で交信を続け、人類再生の道を探ってきたが、彼に謎の敵が迫っていた。
引用元:Yahoo!映画
『アイ・アム・レジェンド』の予告編
『アイ・アム・レジェンド』の良かったところ
廃墟と化したニューヨークと秋の美しさ
我々はなぜか不気味なはずの廃墟に心ひかれます。
一部のマニアは自ら足を踏み入れるほどです。
本作では廃墟化したニューヨークが描かれ、不思議なほどの魅力を放っています。
文明で築きあげたものが朽ちていくさまは、人類の衰退や滅亡を暗示しているため見れば見るほど心が暗くなるはずなのに、なぜか我々は独特の美しさを感じてしまいます。
ひょっとしたら文明で自然環境を征服していったことへの本能的な後悔や、都市のなかで回復しつつある自然への憧憬が含まれているのかも知れません。
緑の鮮やかさを失いつつある晩秋の植物が、静まりかえった大都市の間を縫うように生えて、ひび割れたアスファルトの上をシカの集団がはね回っています。
持ち主と電力を失ったビル群は自ら輝くことなく、灰色の巨大な墓標となっていて、色づいた紅葉だけが鮮烈な赤や黄色を沈黙の世界に解き放っています。
効果的に描写される光と闇
この映画に登場する感染者は吸血鬼のように日光が弱点となっています。(正確には紫外線)
人を襲って食らう感染者は夜間我が物顔で地上を闊歩し、光の届かぬ建物の中も危険地帯となっています。
人間がもつ根源的な闇への恐怖と、感染者が闇の中にしか住めないという作品内の設定が相乗効果をうみ、濃厚な闇を作り出しています。
闇は死と絶望をはらんでいて、その対比として使われる日の光が黄金のように貴重で、あたたかみのあるものとして表現されています。
特に感染者の徘徊が始まる日没時、ビルの隙間から見え隠れする夕日は、とても淡くはかなくて、滅亡しつつある人間の命を象徴しているかのようです。
また、作品内に闇の中で主人公が全力疾走する珍しいシーンがあるのですが、人類滅亡の予定調和に全力で抗うような姿はとても印象的。
これが本当のシティーハンター?
廃墟となったニューヨークの街でシカを狩るシーンには、CGと分かっていても興奮します。
シカの集団による躍動感は墓場にも似た街を狩り場に変え、主人公はリアルシティーハンターと化します。
奈良市のように餌付けされていない野生のシカと大都市ニューヨークのミスマッチを味わったあとは、ライオンのご登場。
これも予算をつぎこまれたであろうCGで描画されています。
動きに妙なところは感じなかったので、あとは「臭そう」な感じが出せていれば完璧だったと思います。
絶望と孤独に耐える主人公
俳優のウィル・スミスが好きかどうかで評価が分かれるかもしれませんが、孤独と絶望に耐える男の姿を複雑な表情で演じています。
そんな中でも、不安と苛立ちの中に少しだけ希望がまじっているような表情を見せます。
顔面中心の演技は一定以上の効果をあげており、「自分がもし彼の立場だったらやっていけるだろうか?」と視聴者の感情移入を呼びこみます。
彼の演技以外にも、録画したテレビを観て日常感を得ようとしたり、マネキンに名前をつけてストーリーを設けたり、シュレックの台詞を暗記できるほど繰り返し観たりと、その行動で孤独に耐える男の姿を表現しています。
いざ生存者とあった時にうまく対応できず戸惑うシーンも、いかに彼が孤独に慣れ親しんできたかを示す象徴的なものですね。
メジャー作品の底力。その名は予算
予算があれば必ずしもいい作品ができるとは限りませんが、予算のない作品よりは予算のある作品の方が、映画の質が上がる可能性が高まります。
『アイ・アム・レジェンド』はがっつり予算をつぎこんだ作品なので、随所にその豪華さを感じることができます。
主演である大物俳優はもちろん、廃墟と化したニューヨークの描写や、空母でゴルフをするシーン、そして膨大なエキストラの数です。
いちいちスケールがでかく圧倒的です。
魅惑のシャワーシーン(ただし犬)
動物好きにとっては、この映画の良さのほとんどが相棒わんこであるサムの存在に占められているのではないでしょうか。
愛玩犬とはいえないシェパードという犬種ながら、その表情や仕草はかなりかわいらしく、孤独に耐える主人公を支えています。
主人公ネビルの孤独を癒やし、感染犬に襲われた時には身を挺して彼を守ったサムは表情自体が柔らかで、あどけなさが残る顔立ち。
別のわんこによる子犬自体もおそろしくキュートです。
その姿は絶望的な状況の中で生きる主人公の希望となっただけでなく、犬好き視聴者が本作を観る動機となったことでしょう。
そのくらい大切なパートナーとして活躍し、主人公からの愛情も描写されています。
感染後に起こるあのシーンは、つらくて観ていられなかった人も多いと思います。
『アイ・アム・レジェンド』のイマイチなところ
自室の設備はいつから?
眼鏡をかけてようやく科学者っぽく見える主人公は、秘密基地のような自宅を持っていますが、あの施設はいつからあるのでしょうか?
個人の家をアウトブレイク発生後から改修したとも思えませんし、軍がひそかに隠れ家兼研究所を作っていたのでしょうか?
作っていたとしたらウイルスを保管し、ワクチンを開発できる環境を一般市民が住む敷地に作っていたことになります。
多少の説明なり描写が欲しかったです。
感染者の設定
体毛が抜け肌が変質しているとはいえ、感染者がみな同じ顔と体格をしているのは手抜き感があります。
捕獲したものだけきちんと別物ですが・・・。
特に服の破れ方が似たりよったりなのが、ドラゴンボールのように「どんな激しい攻撃を受けても大事なところを覆う部分は決して破けない」感じでやっつけ感は否めません。
また、感染者は人を襲って食うとありましたが、生き残ったわずかな人類のためにあの量の感染者が動くのは不自然というか、消費カロリーと摂取カロリーのバランスが悪すぎる気がします。
ウィル・スミスの顔に頼りすぎ
顔の演技多すぎです。笑
あれだけ顔ばかり映していると、ウィル・スミスが苦手な人はほぼ視聴不可です。
光と闇の対比で絶望と希望を表現したように、顔の演技にこだわらず、その所作や配置、画角から孤独を演出して欲しかったです。
唐突すぎる生存者の存在
生存者との遭遇が唐突すぎませんか?
本当は外部に生存者がいるようなサインがあったのに、主人公のこだわりや絶望によってそれを見逃していたという設定なのでしょうか。
次第に感染が進んでいったようなので、途中までは通信機器が生きており、ある程度予測は立てられた気がします。
そうでないと、死亡率やダーク・シーカーへの変身率を把握しているのがおかしいです。
ラストスパートが激しすぎる
二年近く孤独な期間を過ごした後、生存者と出会ってからの展開が急すぎて驚きます。
生存者と出会ってから一日の間にいろいろ起きすぎて、ラストスパートにしても激しすぎる気が・・・。
生存者と出会って隠れ家が襲撃にあった日に、ちょうどワクチンができるなんて都合良すぎです。
『アイ・アム・レジェンド』はこんな人にオススメ
『アイ・アム・レジェンド』は下記のような人にオススメできる映画です!
こんな人にオススメ
- 廃墟が好きな方
- アポカリプスものが好きな方
- 秘密基地が好きな方
- 犬が好きな方
- ウィル・スミスが好きな方
- もし世界に自分一人だけだったらと想像したことがある方
- 嵐のような展開が好きな方
- たっぷり予算をかけた豪華作品が観たい方
『アイ・アム・レジェンド』の口コミ
あの犬が感染しちゃって
殺すシーン悲しいよな(´;ω;`)#アイアムレジェンド— 秀千代 (@hidetiyo666) October 3, 2014
犬のシーン、いつみても感動するわ。
犬飼ってるから余計やねんな。笑#アイアムレジェンド— のべ (@NobeSuper) October 3, 2014
やっぱり面白いなこの映画。 凄いドキドキするシーンが沢山だけど、泣けるシーンも沢山ある! ウィル・スミスってすごいよなぁ 是非みんな見てみて!! #アイアムレジェンド pic.twitter.com/t4YtLPdbJR
— えぬかっぱ (@reisan0813n) November 2, 2017
『アイ・アム・レジェンド』を視聴できるVOD
『アイ・アム・レジェンド』が見放題対象となっているオススメVOD(ビデオ・オン・デマンド)は、下記の通りです。
オススメVOD
- Amazonプライム・ビデオ
- U-NEXT
Amazonプライム・ビデオ
Amazonプライム・ビデオは月額400円と非常に安価で、多くの映画やドラマ、アニメなどを視聴することができます。
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『アイ・アム・レジェンド』のまとめ
映画『アイ・アム・レジェンド』についてご紹介しました。
内容は吸血鬼のような感染者がはびこるアポカリプスもののホラーですが、グロ描写が少なく、孤独と絶望、そして希望がテーマとなっているメジャー作品です。
ウィル・スミスの演技に依存しているきらいはありますが、廃墟となった大都市ニューヨークにおける孤独がよく描かれています。
あと、わんこかわいいです。
感染者はかわいくないです。笑
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事の著者の執筆作品
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