今回は音楽もの映画『オーケストラ!』のレビューを行います。
予備知識も何もなくパッケージの荘厳な雰囲気と高評価レビューにつられて選んでしまいました。
見るからに音楽要素満載の映画かと思いきや、見始めると意外な展開のオンパレードでした。
コメディ?ミステリー?感動もの?
ロシア人の意地を見せつけた映画となっています。
なお、本記事はネタバレを含んでおりますので、ご注意ください。
あらすじ・作品情報
かつてボリショイ交響楽団の天才指揮者だったアンドレ(アレクセイ・グシュコフ)は、今はさえない劇場清掃員として働いていた。
ある日、出演できなくなった楽団の代わりのオーケストラを探しているというFAXを目にした彼は、とんでもないことを思いつく。
それは、いまや落ちぶれてしまったかつての仲間を集めて楽団を結成し、コンサートに出場するというものだった。
引用元:Yahoo!映画
笑える・泣ける・楽しめる、様々な要素が揃った作品です。
『トランスポーター』シリーズに出演している「フランソワ・ベルレアン」など、豪華キャストも見どころです。
『オーケストラ!』の予告編
『オーケストラ!』の良いところ
斬新なストーリー展開
この映画のジャンルって難しいですね。
サスペンス?
ドラマ?
私は見る前から勝手に音楽映画だと思い込んでいたのですが、実はまともに演奏されるシーンは後半までほとんどありません。
物語中盤まではパリの劇場に乗り込むためのドタバタ劇が続いていて、「あれ?思ってた映画と違うのかな?」と思っていた矢先に衝撃の展開が待っています。
下記謎の全てが、ラストのオーケストラのシーンで一気に明かされます。
謎
- 主人公アンドレイがソリストにパリの若手ヴァイオリニストのアンヌ=マリー・ジャケを指名した理由
- バラバラだったオーケストラがジャケのソロが始まった途端に最高の演奏ができた理由
- アンドレイがチャイコフスキーにこだわり続けていた理由
正直いってしまうと中盤までの展開に「???」な部分が多く物語に一貫性がないのかなと思っていたのですが、それは大きな間違いでした。
ストーリーに散りばめられた断片はラストへの細かい伏線となっていて、アンドレイが30年間思い続けてきた全てがそこにつながっていくのです。
個性豊かなロシア人達
この映画の中盤まではロシアが舞台です。
またオーケストラ団員もロシア人が多く、自然とロシアの人達の魅力が伝わってきます。
正直日本に住んでいる私からすると、ロシアもフランスもヨーロッパの人達も見た目にそんなに違いはないし、何か特別な国民性があるとは思っていなかったのですが、この映画ではロシア人ならではのクセを存分に見せてくれます。
団員達はみんなどこか粗野で品がなく、デカイ声で大騒ぎします。
お金にがめつい人や商売根性がきつい人などなど、妙にハイテンションな人達が目に付きます。
この映画では多分かなり意図的にフランス人とロシア人のカルチャーの違いを強調していたのではないかと思います。
メラニー・ロラン演じるジャケの美しさ
この映画を見てメラニー・ロランが好きにならない人はいません・・・。
絶対!!というくらい彼女は光り輝いています。
楽団のメンバーがゲテモノ感満載なせいもあるのですが、彼女のバイオリン演奏の立ち姿やステージの上での光り輝く立ち振る舞いは、観ている私達を確実に虜にします。
ラストは10分以上にわたる演奏のシーンが続きますが、セリフもないのに観ていて全く飽きさせません。
むさ苦しい脇役サーシャ
この映画に出てくる主人公の相棒、サーシャの活躍がカッコいいです!!
最初の方はとにかく叫んだり怒ったりで、なんだかやかましいキャラなのかなと思っていましたが、アンドレイが苦悩するたび彼を叱咤激励する姿勢が頼もしく見えました。
リハーサルにオーケストラが来ないというトラブルでも、彼は機転を利かせてアンドレイの信用を保とうと苦心してくれました。
そして、何と言っても彼の活躍は、終盤でたどたどしいフランス語を使いながら、ジャケにオーケストラに参加するように懇願するシーンです。
言いたいこと、言えないこと、言っていいこと、言ってはならないこと・・・。
これらの複雑な思いが彼の胸にこみ上げますがアンドレイの思いをくんで彼はジャケに必死で説得してくれました。
彼の活躍がなければ、間違いなく最後の演奏はなかったことでしょう。
主人公アンドレイの男前ぶり
この映画の主人公アンドレイは、30年前にある事件がきっかけで追放されてしまった元天才指揮者です。
彼は映画の冒頭では本当に冴えない掃除係という感じで魅力がないのですが、パリの音楽祭に参加するとなった瞬間に、その目の色や行動力がガラリと変化します。
オーケストラを結成するため、フランスに渡るため、そしてジャケと演奏をするため、苦悩しながらもありとあらゆる努力を惜しみません。
そして苦難の末にやっとジャケとオーケストラが一致団結した時、彼が30年間忘れられなかった思いが報われるのです。
無茶苦茶すぎる強引な展開の数々
この映画はコメディなんでしょうか?
私の感覚では少し分からないぶっ飛んだ展開がいくつか見られます。
アンドレイがパリのコンサートに参加するきっかけも、オーケストラメンバーが偽造パスポートでフランスに入国しようとする行為も、リハーサルを全くしないオーケストラが30年ぶりに演奏したのに一瞬で名人級のパフォーマンスができることも・・・。
『オーケストラ!』の惜しいところ
時代背景を知らないと理解するのが難しい
この映画では、序盤から共産党やデモの話題が出てきますし、アンドレイが30年前に演奏を止められてしまった原因もその辺りの時代背景にあります。
これはソ連のブレジネフ書記長の政権下にあるユダヤ人迫害という知識がないと理解できない部分が多いと思います。
ぶっちゃけ私もこういった知識がなかったので、アンドレイが30年前に追放された理由もよく理解できませんでした。
映画内ではそういった歴史的なワードもどんどん出てきますし、登場人物の名前もかなり多いです。
劇中次々と出てくる固有名詞が一体誰のことを指しているのか、何を意味しているのか分からなくなってしまい映画をスムーズに楽しめませんでした。
これからこの映画を観る人は、こう言った歴史的背景を少しでも学んでおくと格段に映画を楽しめると思います。
『オーケストラ!』はこんな人にオススメ
『オーケストラ!』は下記のような人にオススメできる映画です!
こんな人にオススメ
- 最後に感動的なシーンを楽しみたい人
- ミステリー要素がある音楽映画が好きな人
- オーケストラに携わったことがある人
- ソ連の歴史に興味がある人
- 美しいバイオリニストに恋したい人
- 大らかなロシア文化を楽しみたい人
この映画の魅力は、それまで断片的に語られていた全ての真相が音楽シーンに一気に集約されているところです。
焦れて焦れて最後にスカッとした気分になりながらも、感動したい人にオススメです。
『オーケストラ!』の口コミ
音楽は人を成長させてくれる。
ときには、答えをくれる。
言葉は裏切るし、汚い。
美しいのは音楽だけ。#映画#オーケストラ!— Alto♭. (@Asx_523) 2018年5月4日
no.15
『オーケストラ!』
*
やはり仲間なのさ。そしてその仲間と音楽には言葉は不要という事なんだよ。最後の15分の演奏シーンは感動
*#映画好きな人と繋がりたい #映画好き #キメラキネマ座 #映画 #sendaimovie #movie #オーケストラ pic.twitter.com/PoVGJd6ybq— キメラキネマ座 (@chimerakinema) 2018年8月12日
共産主義をディスりつつ各国の国民性を笑いに昇華させる笑いあり、感動ありの作品だったと思います。30年のブランクが一瞬で埋まる描写にリアリティがぁぁぁなんて言うのは野暮ってもんよ。さぁ次は海外ドラマ探そう。#映画 #オーケストラ
オーケストラ! - Yahoo!映画 https://t.co/L7QcJkReZz— うえ@旅・モノ・食・酒 (@ue3ue3ue33) 2018年1月30日
『オーケストラ!』を視聴できるVOD
『オーケストラ!』が見放題対象となっているオススメVOD(ビデオ・オン・デマンド)は、下記の通りです。
オススメVOD
- Amazonプライム・ビデオ
- U-NEXT
Amazonプライム・ビデオ
Amazonプライム・ビデオは月額400円と非常に安価で、多くの映画やドラマ、アニメなどを視聴することができます。
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『オーケストラ!』のまとめ
映画『オーケストラ!』についてご紹介しました。
いい意味で期待を裏切られた作品でした。
音楽映画と思いきや少しミステリー要素もあって、そんな全ての謎が最後に一気に明かされる展開が痛快でした。
30年の時を経て多くの人達の思いが報われる瞬間がクライマックスに詰まっています。
予備知識と固有名詞を再確認した上で、もう一度視聴してみたい映画でもあります。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。