アクション多めのホラー映画として制作されたのが『ゴーストシップ』です。
しっかりと予算が組まれて作られた作品で、開始五分で起きる惨劇のシーンで視聴者の度肝を抜きます。
海洋ロマンを感じさせるスケールの大きさを感じさせながら、伏線もしっかりと仕込まれており、インパクトのあるグロ描写のほか、小技が光る作品でもあります。
今回はこの『ゴーストシップ』のネタバレと評価を行っていきます。
なお、本記事にはネタバレを含んでおりますので、ご注意ください。
あらすじ・作品情報
1962年春、イタリアが誇る豪華客船アントニア・グレーザー号は、アメリカに向けて大西洋を航行中に突如消息を絶った。
それからおよそ40年、ベーリング海を漂う謎の船が発見される。
さっそく調査に向かったサルベージ会社“アークティック・ウォリアー”のクルーたちは、この船が40年間消息不明となっていたアントニア・グレーザー号であることを知る。
さらに、無人の船内で大量の金塊を発見する。
海洋法では公海上でこうした船が発見された場合、所有権は全て発見者に属することになっている。
クルーたちは大喜びするのだったが…。
引用元:Yahoo!映画
タイトルからして幽霊船を匂わせますが、まさしく舞台は「船」です。
ホラー専門映画制作会社の「ダーク・キャッスル・エンタテインメント」が手掛けた第3作目です。
『ゴーストシップ』の良かったところ
インパクト大の惨劇シーン
『ゴーストシップ』を語る上で、甲板上の面々が一斉に分断されるあのシーンは外せません。
グロさと不吉さを与えると同時に、「生き残った少女はどうなるの?」と想像させるシーンでもあります。
カツカツの予算で作り上げるB級ホラーではないので、存分にCGを使い、迫力とグロさを両立させたシーンに仕上げております。
お宝探しというロマン
主人公たちはサルベージ船の乗組員で、お宝探し(のようなこと)をして暮らしております。
無限に広がっているような大海原の雰囲気もあって、少年が夢見るようなロマンが詰まっております。
乗組員は、それぞれ役割があり水中作業のシーンもあるので、ロマンばかりでリアリティ皆無の映画ではありません。
海事法に基づきながらも、主人公たちは一攫千金を狙い謎の失踪を遂げた漂流船を探します。
紅一点はメスゴリラ、だがそれがいい
『エイリアン』シリーズ主演のシガニーウィーバーにはじまる、戦う女性主人公の系譜を引き継ぎ、エップスもぐいぐい物語を引っ張ります。
泣き叫ぶ顔が一つの魅力であるホラークィーンの真逆ともいうべきベクトルで、サルベージ船クルーとしての力量を見せつけます。
りりしい眉に化粧っけのない顔、後ろで無造作にまとめた髪、女性にしてはごつめの体格、そして破格の行動力を備えたその姿はメスゴリラのよう。
泣き叫ぶだけのヒロインにへきえきしているホラー映画好きは、ぜひとも逞しき女主人公の姿をご覧あれ!
大がかりかつ凝ったセット
架空の豪華客船(の漂流船)に乗りこみ、お宝を探して主人公たちは船内を動き回ります。
半世紀近くの年数を経た船の不気味さ、不吉さがよく出ていますし、過去シーン(や幻覚シーン)で1962年当時の姿もきらびやかに描写されています。
水中作業シーンや爆破シーンもきっちり作られていて、オカルトものとしてはかなりアクション性、娯楽性に富んだ作品です。
精神的にくるホラー演出
かなりアクション性の高い作品ではありますが、ホラー演出も忘れていません。
印象的な血のプールに、大量の死体どんぶらこ、ちらちら現れる少女の幽霊と、コンスタントに演出をはさんできます。
地味にきついのが食事中のご飯が虫に変化するシーン。
世界的な人口の爆発から、昆虫食がもつ可能性に注目されていますが、あれを「おいしそう!」と感じるのは至難の業だと思います。
また、純粋に怖がらせるための演出ではないものの、仲間が悪霊に見えたり、元仲間が悪霊と化して襲ってくるのは厄介。
悪魔の狡猾さを体現するようなシーンです。
展開さくさくでオカルトものにありがちな中だるみなし
オカルト映画にありがちな中だるみはほぼありません。
登場人物の掘り下げがない代わりに、さくさく話が進みます。
展開は早いものの、きちんと伏線も仕こまれているので、一部アクション映画にあるような、いきあたりばったりのシナリオとも無縁。
伏線を回収しつつも、視聴者をあれよあれよという間にエンディングへ運んでくれます。
幻想的なラストシーン
冒頭の惨劇シーンが印象的な『ゴーストシップ』ですが、ラストシーンも幻想的で、それまで潜んでいた美しさが解放されています。
1960年代のショーが再現されるシーンは美しさというより、きらびやかさと妖しさで構成されていましたが、ラストシーンは幻想的な美しさをもっています。
「漂流船に閉じこめられ、天国へいくことも地獄へいくこともできぬ魂」が解放されるシーンはカタルシスを多分に含んでおります。
死後も苦しめられてきた少女の霊がようやく天国の父母の元へ行ける場面は、主人公に共感すればするほど感動的なシーンになるでしょう。
女性のサービスシーンあるよ!(ただし幽霊の)
主人公のエップスがメスゴリラとして君臨しているので、エロスは別の方が担当されたようです。
幽霊として船内に存在し続ける赤いドレスの歌姫が、サービスシーンを展開してくれます。
1960年代の衣装が独特の妖しさを醸しだし、視聴者を幻想(とエロス)の世界に導くのです。
『ゴーストシップ』のイマイチなところ
人物の掘り下げがなさすぎる
展開の早さとトレードオフとも言えますが、人物の掘り下げがなさすぎて、乗組員に感情移入しづらいです。
主人公のエップス、船長のマーフィー、幽霊の少女については多少人格面に触れられていますが、あとは別段語られることもなく惨劇に巻きこまれていきます。
特に勿体なかったのは、「陸に戻ったら結婚するんだ」とのたまい死亡フラグたちまくりのグリーア。
お約束を逆手にとって何か仕掛けてくると思いきや、トリッキーなことはありませんでした。
若干の出オチ感あり
開始五分のど派手な惨劇シーンで、これ以降もグロ描写が満載と期待した視聴者は肩すかしをくらいます。
そこそこグロいし、工夫した場面もあるのですが、冒頭のシーンほどのインパクトはなく、画面の派手さという意味では、最後に爆破があるぐらいで基本的には尻すぼみ。
ある人物の正体が明かされても、それに付随する衝撃的なシーンや背すじがゾクゾクするような不吉さがあるわけではなく、ホラー映画としては最後の一押しが足りない感じです。
三日以内に沈むという設定が生かされてない
漂流船の状態から「あと三日以内に修理しないと沈む」という情報が早めに提示されているものの、タイムリミットがあるという緊迫感を生かすことなく、ぐだぐだのまま話が終わってしまったのは残念。
タイムリミット以外の脅威(悪霊など)があるため、時間制限による緊迫感を描きづらいのはわかるんですが、あの終わり方だったら正直「三日以内」というタイムリミットは蛇足かと・・・。
沈没が進んでいるという描写はあるんですが、暗躍するものの方がはるかに危険な上、オカルト映画としても後者の方が大事なので、どうしても「沈没の恐怖」がおろそかになっています。
悪魔のすごみが感じられない
半世紀近く前から暗躍し続けていたはずの悪魔に、あまりすごみを感じません。
過去における乗員乗客皆殺しは壮絶ですが、現代に入ってからは大人しめ。
人の精神を惑わせる嫌らしい攻撃は仕掛けてくるものの、かえって小物感が出てしまい、圧倒的な絶望感や怖さは感じられません。
『ゴーストシップ』はこんな人にオススメ
『ゴーストシップ』は下記のような人にオススメできる映画です。
こんな方にオススメ
- アクション寄りの作品が好きな人
- 1960年代の雰囲気が好きな人
- 海洋ロマンが好きな人
- 戦う女主人公が好きな人
- 伏線を回収してくれるホラーが好きな人
- グロテスク描写ウエルカムな人
- 展開が早いホラーが好きな人
- 幽霊船という言葉にぐっとくる人
初っ端にグロテスクな描写が来るので、そのシーンが合わなければ視聴は避けた方が良いかもしれません・・・。
『ゴーストシップ』の口コミ
ホラー映画 #ゴーストシップ 観た!
冒頭のグロテスクなギミックにびっくり。
思わず目を覆いたくなる描写だった。
それ以外はグロは少なめで、ストーリー重視な感じ。
伏線とかも何となく先は読めるのだけけれど、起承転結やオチがしっかりしていて、おもしろかった!#GhostShip pic.twitter.com/CXNoUhVEK6— いわたか (@iwataka1325) 2018年7月14日
#ゴーストシップ
2002年の作品
1度観てた(笑)
のに、思い出すまで
時間がかかった
思い出すシーンが
ウジ虫うじゃうじゃのとこって
ないっしょ・・・(´▽`) '` '` '`
ホラーとして軽く観れる— まゆまゆ (@yoshino_Taka) 2018年2月8日
好きな映画のヤツやぁ~👻👻#ゴーストシップ#USJハロウィン pic.twitter.com/daAan0NdlL
— GatchaN (@a_dogs_purpose_) 2018年9月9日
『ゴーストシップ』を視聴できるVOD
『ゴーストシップ』が見放題対象となっているオススメVOD(ビデオ・オン・デマンド)は、下記の通りです。
オススメVOD
- Amazonプライム・ビデオ
- U-NEXT
Amazonプライム・ビデオ
Amazonプライム・ビデオは月額400円と非常に安価で、多くの映画やドラマ、アニメなどを視聴することができます。
※2019年2月時点の情報です。
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『ゴーストシップ』のまとめ
映画『ゴーストシップ』についてご紹介しました。
『ゴーストシップ』はアクション寄りのオカルトホラー。
漂流船を舞台に女主人公が1960年代に船が失踪を遂げた謎に迫っていきます。
お宝探しのようなロマンあふるる要素もあわせもち、そのアクション性も相まって、中だるみの多いオカルトホラーと一線を画す仕上がりです。
冒頭の惨劇、ラストの解放シーンが印象的な作品でもあります。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事の著者の執筆作品
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