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工夫された伏線!ホラー映画『ジェーン・ドゥの解剖』のネタバレと評価!

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火葬場兼死体安置所兼検死室が舞台となるのが、映画『ジェーン・ドゥの解剖』です。

まるで刑事ドラマのような導入部から、予想できない展開が視聴者を待っています。

ちなみに「ジェーン・ドゥ」とは身元不明の女性遺体をさす警察関係の業界用語(?)です。

男性の遺体は「ジョン・ドゥ」と呼ばれます。

今回はこの『ジェーン・ドゥの解剖』のレビューを行っていきます。




 

あらすじ・作品情報

ジェーン・ドゥの解剖

とある一家が無残にも殺害された家の地下で身元不明の女性の変死体が見つかり、検死することになったトミー(ブライアン・コックス)と息子オースティン(エミール・ハーシュ)。

死因を調べるため解剖を進めるにつれ、驚くべき事実が次々と明らかになる。

やがて、親子に不可解な現象が襲い掛かり……。

引用元:Yahoo!映画

「ライアン・コックス」と「エミール・ハーシュ」が親子役で共演した注目映画です。

なお、本作品はR15指定となっています。

 

『ジェーン・ドゥの解剖』の予告編

 

『ジェーン・ドゥの解剖』の良かったところ

大人向けの刑事ドラマのようなしっとり感

主人公たちが葬儀屋と検死官を兼ねている設定もあり、冒頭はまるで刑事ドラマのワンシーンのよう。

しかも銃をガンガンぶっぱなす派手なものではなく、しっかりと人物が描きこまれた推理ものドラマのような雰囲気。

開始数分で、この映画がもっている独特の雰囲気が、人物のたたずまいやシックな調度品から感じられると思います。

スターのようなイケメン刑事や、アイドルみたいな女性刑事はおらず、ひたすら渋い大人たちが画面を占有します。

 

とある勇者
渋い男の働く姿が好きな方のハートをがっちりとつかみそうだね。
そうではない視聴者にもリアリティと落ち着きを与えてくれるキャスティングですね。
はらちゃん

 

クラシカルな火葬場がもつ「場」の力

三代続いているという火葬場は新しい設備が導入されているものの、基本的な構造や外観はクラシカルなままです。

作業場は機能性を考えた無機的なデザインですが、運びこまれた死者ではなく生きている人間がメインとなる空間では、趣のある家具が配置されており、また構図や照明の当て方にもこだわりが感じられ、不気味なだけではなく独特の色彩や美しさも備えています。

薄暗い中、火葬場の廊下を進んでいると異世界や過去の世界にまぎれこむような錯覚に陥ります。

 

とある勇者
人物といい、火葬場といい、場作りがすごいね!
独自の雰囲気作りに成功している作品とも言えるね!
はらちゃん

 

あくまで主役は生者。全編通じて伝わる家族愛

事件の発端となったのは「ジェーン・ドゥ=名無し」の遺体が運びこまれてからですし、死者を使った恐怖演出がこの作品のキモですが、ただ怖いだけグロいだけの作品ではなく、全編を通じて家族愛が描かれています。

主人公は火葬場を家業とする青年、父親の指導を受けながら検死の仕事もしています。

家業をこなしているものの、大きな都市へ出て別の仕事につく機会を探しており、早くここを出ようと恋人のエマにもせっつかれています。

 

彼が自分の希望を優先させて都市に出ないのは、妻(主人公の母)をなくして落ちこむ父を支えたいから。

口では何ともないと言っているものの、父親の様子に危うさを感じています。

失って二年たつのにまだ立ち直れていない様子から、亡妻への愛情の深さがあらわれていて、やさしい性格の主人公の様子からも、家族仲が良かったことがうかがわれます。

息子→母親、娘→父親への愛情は他の映画でもよく見られますが、成人した息子→父親への愛情が描かれているのが特徴的。

 

とある勇者
ラストの父が身を挺して子供を守るのは、ベタながらも感動的なシーンだね。
怪奇現象続きの物語を感動で締めくくっているね!
はらちゃん

 

リアルな解剖シーン

実際の検死手順にのっとっている(と思われる)リアルな解剖シーンが、この映画の売りでもあります。

検死界の親子鷹は、身元不明の遺体「ジェーン・ドゥ」に内包される事実に戸惑いながらも職人的手際で解剖を進めていきます。

 

彩度をおさえたであろう解剖シーンはグロテスクではありますが、汚い感じや散らかった印象は受けません。

実際に検死を行っている人への敬意が感じられます。

 

とある勇者
興味本位ではない様子がうかがえるね。
ホラー映画を構成する要素の一つとして真摯な姿勢で取りこんでいる印象がするね。
はらちゃん

 

史実をふまえた怖さ

日本ではあまりなじみがありませんが、アメリカ映画ではよく「セーラムの魔女」というキーワードが出てきます。

簡単に説明すると、「セーラムの魔女」は入植者たちが起こした魔女狩り事件で、オカルト史にその名を残しています。

 

活版印刷による確かな情報の伝達経路があり、カトリックほど神秘や奇跡を重用視しないプロテスタント中心のアメリカ移住者の中で、文明に逆行するかのように起きた魔女狩り事件はアメリカ史にその爪痕を残し、しばしばホラー映画の素材として登場します。

アメリカ史の汚点となった事件を反省するかのように、新しい解釈が加わることも。

文明によって新大陸を開拓していったアメリカ人にとって、迷信によって多数の犠牲者を出した魔女狩り事件は弁慶の泣き所なのかも知れませんね。

 

作品内では、運びこまれた名無しの遺体「ジェーン・ドゥ」が「セーラムの魔女」と関連づけられ、超常的な力によって主人公親子に災厄を見舞います。

主人公がやたらと「セーラムの魔女」に詳しく、父親を差し置いて解説係になるのはご一興です。

 

不気味なラジオ演出

地下に設けられた検死室は静かなもので、唯一ラジオだけが耳をにぎわせてくれます。

しかし、そのラジオから謎の歌が流れてきたら話は別です。

お役立ち情報を流し、音楽で心を楽しませ、仕事の退屈さをまぎらわせる役のラジオが、不吉なメッセージをプレゼントしてきます。

 

中盤は地上への道がふさがり地下が閉鎖空間と化します。

電話も使えず、情報がラジオ頼みになる状況で、悪魔に関する歌がたびたび流れてきます。

かわいらしいはずの子供の声と、不吉な内容の歌詞が、逃げられない状況とマッチし「得体の知れない何かが確実に迫ってくる」シチュエーションを演出します。

 

音声にはノイズも混じっているから、それが不安をあおる効果を増幅させているね。
とある勇者
地味ながらも効果的な演出ではあるね。
はらちゃん

 

工夫された伏線とミスディレクション

物語が進むうちに、無名の遺体「ジェーン・ドゥ」の正体がじわじわと判明していきます。

当初は犯罪に巻きこまれた犠牲者と予想され、犯罪組織の存在をにおわせるサスペンス的な流れが発生します。

このミスディレクションがさらりと決まっていて、冒頭から続く雰囲気から一部の視聴者をサスペンスものと勘違いさせるような出来なのです。

 

そして、サスペンスものと思わせてから怪現象が続き、その原因が「ジェーン・ドゥ」の正体にあると判明する良く錬られたストーリーです。

また、最後まで原因である「ジェーン・ドゥ」が起き上がったり喋ったりしないのが良かったです。

 

とある勇者
これで中途半端に目覚めて魔力など使おうものなら、一気にB級感が出てしまって、これまで積み上げてきたものが台無しになっていたかもしれないし良かった!
最後までミステリアスであり続けたね。
はらちゃん

 

セクシーどころか内臓ぽろりもあるよ!

服を着たままでの検死解剖があり得ないため、身元不明の遺体は検死台の上にその裸体をさらしています。

遺体にしては柔らかそうな曲線や肌の質感をキープしていて、生気のない青白い体ながら奇妙なほどのなまめかしさをもっています。

青少年が妙な性癖に目覚めないか心配になるほどきれいなままなのです。

とはいえ、きちんと解剖はされていくんですけどね!

 

『ジェーン・ドゥの解剖』のイマイチなところ

苦手な人もいるリアル寄りのグロ描写

首がぽんぽん飛んだり、体が爆発するギャグと紙一重のグロ描写と違い、解剖シーンは実際の検死にもとづいている(と思われる)ので恐ろしくリアル。

各種用具を使って体の中を開けていく過程は、通常のホラー映画とはちがった、じっとりとした気持ち悪さがあります。

「オカルトもサスペンスみたいな展開も大好きだけど、リアル寄りのグロは苦手だ!」なんて人には惜しい作品となります。

リアル、B級の路線を問わずグロ描写が苦手な人にもオススメできない作品です。

 

前触れがなさすぎる

登場人物をしぼって予算を抑えたいのかも知れませんが、わずかばかりの前振りしかない、唐突な死が多すぎます。

しかも、無駄死にと申しますか、ストーリーにうまく絡めたわけでもなく「ホラー映画だから」という理由で意味もなく退場させられた感じ。

飼い猫しかり、主人公の恋人エマしかり。

 

エマについては「主人公と一緒に都市へ出ていく」という死亡フラグを冒頭に立てているものの、とってつけたような死亡シーンで「今までどこにいたの?いつから地下にいたの?なんで返事をしないの?」と理解不能のことばかりです。

 

とある勇者
いくらオカルトの超常的な力を以てしても、かなり雑な再登場と退場ではあったかもね。
ここはもう少し説明的でよかったかもしれないね。
はらちゃん

 

主人公の推理が当たりすぎる

「セーラムの魔女」を背景に盛りこんだストーリーなので、誰かが解説役をしなければわかりづらいんですが、それにしても主人公の青年が不自然なほど詳しいです。

もし「セーラムの魔女」が一般常識なら父親の方が詳しくないといけませんし、主人公がオカルトに詳しいのなら、それをにおわせる描写を入れてないとうまく説明ががつきません。

 

「オカルト的な歴史ネタに詳しい」伏線をまかずにいきなり主人公に語らせているので、筆者は面食らってしまいました。

まるでラスト目前の名探偵のごとく、どんどん自分の推理を語り、それがことごとくヒットします。

それまで指導、推理する立場だった父親の影がうすれ、息子である主人公が名探偵みたいなノリでしゃしゃり出てきます。

サスペンス風の雰囲気から、元々の狙いであるオカルト路線へシフトするにしても強引すぎる展開なのです。

 

かわいいものがどんどん退場

登場人物が少ない、閉鎖された状況を描いているこの作品。

親子愛につらぬかれているのはいいんですが、華がなさ過ぎます。

身元不明の遺体「ジェーン・ドゥ」も怪しい魅力を放っているものの、生命力を感じさせるかわいい存在は飼い猫と、主人公の恋人エマのみ。

 

しかし、一人と一匹は途中で前触れなく退場してしまいます。

残されたのはあまり若々しい感じがしない主人公と、初老の父親と、遺体たち。

ホラー映画にどこまで求めるかにはなりますが・・・。

 

とある勇者
見ている側が心はずむようなキャラクターはいないね。
生き生きとしたものが力を失い、死者サイドのジェーン・ドゥが力を取り戻すという対比なのかな?
はらちゃん

 

『ジェーン・ドゥの解剖』こんな人にオススメ

『ジェーン・ドゥの解剖』は下記のような人にオススメできる映画です!

こんな方にオススメ

  • リアル寄りのグロ描写がへっちゃらな人
  • 親子愛に思わずほろりとくる人
  • クラシカルな雰囲気が好きな人
  • 渋い男性の働く姿が好きな人
  • オカルト好きな人
  • ミスディレクションなど、凝った展開が好きな人
  • 死美人にドキドキしたい人

 

『ジェーン・ドゥの解剖』の口コミ

グロさはありますが、ホラー要素だけでなく謎解きなども楽しめる作品ですね!
はらちゃん

 

説明があまりないのは賛否両論ありますが、説明がなくても直感的な怖さはありますね。
はらちゃん

 

確かに怪談的要素もありますね。ホラーとほぼ同じですが・・・。
はらちゃん



 

『ジェーン・ドゥの解剖』を視聴できるVOD

『ジェーン・ドゥの解剖』が見放題対象となっているオススメVOD(ビデオ・オン・デマンド)は、下記の通りです。

オススメVOD

  • Amazonプライム・ビデオ
  • U-NEXT

 

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『ジェーン・ドゥの解剖』のまとめ

映画『ジェーン・ドゥの解剖』についてご紹介しました。

サスペンス的な導入部からオカルトものへの切り替えの鮮やかさと、火葬場のクラシカルな雰囲気が特徴的なホラー映画が『ジェーン・ドゥの解剖』です。

身元不明の遺体「ジェーン・ドゥ」は生と死のはざまにいるような妖しさと美しさ、そしてアメリカ史に残る魔女狩り事件の謎を内包しています。

舞台となる地下の薄暗い検死室を照らす光として、親子愛が用意されていて、気が滅入る展開の中で清涼剤となっています。

人類共通の「死者のよみがえり」に関する根源的な恐怖もしっかりと活用している、工夫に満ちた作品です。

総合評価

4.5点 / 5.0点

最後までお読み頂きありがとうございました。




 

この記事の著者の執筆作品

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著書名:オブザデッドレビュー34発
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