『ブレアウィッチプロジェクト』に端を発したPOV(主観カメラ)ホラーの一翼を担うのが、パラノーマル・アクティビティシリーズです。
日本の王道ホラー映画とは、少しテイストが異なるイメージですね。
今回はパラノーマル・アクティビティシリーズの第3作目の評価をしていきます。
なお、当記事はネタバレを含んでおり、作品を見た率直な感想をしています。
あらかじめご了承ください。
あらすじ・作品情報
1988年9月3日、ごく一般的な家庭ですくすくと育つケイティとクリスティ姉妹の姿をホームビデオがとらえる。
そして9月24日、2人の少女は鏡の前にカメラを設置し、部屋の照明を落とした中で「ブラッディ・マリー」と唱え始めた。
すっかり怖い遊びに夢中の彼女たちは気付いていないが、ある映像がカメラに残っていた。
引用元:Yahoo!JAPAN 映画
世界中で大ヒットを博した超常現象ホラー映画『パラノーマル・アクティビティ』シリーズの第3弾です。
公開は2011年ですが、今でも世に浸透している映画です。
『パラノーマル・アクティビティ3』の予告編
『パラノーマル・アクティビティ3』の良かった点
POVによる圧倒的なリアリティ
POVの利点はなんといってもリアリティ。
物語自体が昔のビデオテープを発見したという形で始まるので、何かしらのカメラによって撮影されています。
固定からカメラによる視点も多用されているので、他人の生活をのぞいているような錯覚にも見舞われます。
撮影者である主人公がカメラマンで、残りがほとんど固定カメラの映像なので、POVにありがちな画面の揺れが少なく、リアリティと観やすさを両立しています。
画面の揺れがひどいと気分が悪くなってしまう人もいるので、POVの中では見やすく親切な作品と言えるでしょう。
演出のためにカメラの視点が激しく上下動するシーンはほとんどありません。
子役が熱演
被写体として小さな姉妹が出てくるのですが、演技が自然で引きこまれます。
「リアリティを重視するなら、もう少したどたどしい方がいいのでは?」と思ってしまうレベル。
歯が抜けそうなシーンは狙ってやったというより、実際に子役がそんな状態になったので追加した感じでしょうか。
リアリティへのこだわりを感じます。
ちゃんと伏線がある
リアル寄りの衝撃シーンがPOVのキモなのですが、『パラノーマル・アクティビティ3』ではストーリー上に伏線が用意されています。
主人公であるカメラマンが追い詰められ、孤立するのも一つの伏線で、あの人が不気味な雰囲気を漂わせているのも伏線。
ドキュメンタリーのPOV作品であることを考えると、敷いた伏線をきっちり回収するのは立派の一言。
衝撃シーンを並べるだけのPOV作品では終わらないんですね。
せっかく伏線がちりばめられているので、じっくりと視聴することをオススメします。
そもそも『パラノーマル・アクティビティ3』自体が、過去作への伏線的な作品です。
シリーズを視聴している人にとっては、より魅力的な作品となるでしょう。
1980年代のセットが楽しそう
発掘されたビデオテープが撮影されたのが1980年代なので、映画の舞台もその年代となっています。
1980年代を知る者にはなつかしく、知らない者にとっては新鮮な光景が広がることでしょう。
ちなみに私は前者で、どぎつい配色の服がなつかしかったです。
髪型を含めたシルエットに、妙な膨らみがあるんですよね。
地味ながらも迫力ある○○軍団!
物語の最終盤、怪現象の元凶とおぼしき○○軍団がババァーンと出てきますが、この集団が地味ながらも不気味。
ムダな台詞や動きがないことが謎めいた雰囲気や不気味さの底上げをはかってくれます。
ちなみに、先ほど擬音として用いたババァーンは○○軍団のヒントとなっております!
『パラノーマル・アクティビティ3』のイマイチな点
展開が遅い
アクション寄りのホラー映画であれば、序盤から動きのある画を盛りこむことができるんですが、リアル寄りのPOVのため、どうしても話の展開が遅くなりがち。
また「発掘されたビデオテープ内の物語」という設定も、本編導入までワンクッションあるため、余計に展開が遅くなります。
物語が大きく動くのはラスト30分近くなのですが、伏線もあるためばんばん飛ばして観ると、作品の良さを損なってしまいます。
じわじわ系の怖さがあまり伝わらない
じわじわと真綿で首を絞めるような恐怖感はさほど伝わってきません。
ウェットな恐怖感で肝を冷やすジャパニーズホラーに比べると、この作品はドライであり直接的です。
作り手が意図するものが伝わらないのは、日米の文化的な違いでもあります。
悪魔崇拝や魔女、ブラッディメアリーなどの都市伝説は、日本ではあまり馴染みがありません。
じわじわ系の怖さをこちらがうまく摂取することができないため、次に紹介するホラー映画の要素を期待することになります。
びっくり系演出頼み
不意に大きな動きや音があれば、誰だってびっくりします。
このびっくり系演出と無関係でいられないのがホラー映画です。
POVである今作も例外ではありません。
視聴者の想像力を駆り立てるシーンも見られるものの、映像のもつ瞬間的な力に頼っている感じはあります。
そのびっくり系演出もさほどパンチがきいていないので、全体的に薄味の印象。
リアル系なので、インパクトと自然さのバランスをとらなきゃいけない弱点はありますね。
びっくり系演出シーン自体は、自然な仕上がりで違和感はありません。
アメリカのホラー映画は直接的と申しますか、物理的に迫ってくるパターンが多いです。
海外でリメイクされたジャパニーズホラーも、本家よりも物理的な攻撃が増える印象。
精神攻撃が多いジャパニーズホラーが例外的なのでしょうか?
全体的な感想
『パラノーマル・アクティビティ3』はドキュメンタリー風の作品です。
POVを採用している割にカメラの揺れは少なく、観やすい作品です。
話の展開は遅め。
動きのあるシーンが少なく、いくらか伏線があるので、じっくり視聴するのに向いています。
グロ描写はないので、スプラッタが苦手な人でも視聴しやすいです。
1980年代の雰囲気や、欧米のオカルトが好きな人はより楽しめる作品ですね。
もちろん、パラノーマル・アクティビティシリーズ好きにもオススメです。
『パラノーマル・アクティビティ3』を視聴できるVOD
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『パラノーマル・アクティビティ3』のまとめ
『パラノーマル・アクティビティ3』のレビューについて書いてきました。
『パラノーマル・アクティビティ3』はじっくり視聴に向いたリアル寄りのホラー映画です。
POVですが、カメラの揺れは少なく酔いやすい人でも安心。
シリーズ視聴者、グロ描写が苦手な人でも楽しめる作品ですよ。
特に、私はホラー映画が好きですが、グロ描写は苦手なので、非常に楽しんで観ています。
皆さんもぜひご覧ください。
最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事の著者の執筆作品
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