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ホラー映画『サマー・ヴェンデッタ』のあらすじ・ネタバレ・評価!

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フィンランドで1960年に起きた、謎多き殺人事件をもとに構想されたサスペンスホラー映画が本作です。

リアリティを重視した作りになっており、湖のそばに若い男女が集まった割には落ち着いた展開になっています。

静かなボンド湖に集まった訳あり男女四名は、どんな運命をたどるのでしょうか?

それでは、レビューを行っていきます。




 

あらすじ・作品情報

サマー・ヴェンデッタ

フィンランドのボドム湖。1960年の夏に、キャンプをしていた男女4人が何者かに襲われる事件が起こった。

3人は死亡。

生き残った1人も発狂。

犯人は未だ捕まっていない。

この事件の真相を解明するために、イーダ、ノーラ、エリアス、アッテの4人は事件現場へとキャンプにやって来た。

そして、当時と同じシチュエーションで事件を再現しようと試みるのだった…。

引用元:Amazon

2016年に公開された映画です。

 

『サマー・ヴェンデッタ』の予告編

 

『サマー・ヴェンデッタ』の良かったところ

リアリティ重視の落ち着いた展開

構想の元となったのは絵空事ではなく、実際に1960年に起きた未解決事件です。

フィンランドのボンド湖に来ていた男女四人のうち三人が死亡、一人が精神を壊し廃人になるという事件があり、仲間内で殺し合ったとも部外者がいたとも言われているものの、はっきりとしたことが分からず謎の未解決事件となっていました。

 

そもそも物語のスタートが、「当時の事件を推理してみたから検証しよう」というメガネ男子アッテの提案から始まるので、1960年のリアル事件が全ての発端なのです。

リアルに起きた事件を扱うだけあって、荒唐無稽な話ではありません。

超自然的な存在をいくらかにおわせつつも、物語は落ち着いた雰囲気の中、進んでいきます。

男女四人がバカ騒ぎしているところ、不死身の殺人鬼がチェーンソーで襲い来るなんてことはありません。

全てを人間ができる範囲内でおさめようとする制作陣の努力が感じられますね。

 

とある勇者
リアリティを重視している作品なんだね。
無茶苦茶な設定ではないところが、評価すべきポイントですね。
はらちゃん

 

限られた予算の中でも印象的なシーン多し

登場人物の少なさや限られた撮影場所から察するに、アイデア勝負の低予算映画だと思われますが、印象的なシーンが多く、こだわりが見られる作品となっています。

 

高圧的な父親がいるイーダの食事風景は、寒色系に色が統一され、寒々しい静物画のよう。

独特の美しさとともに緊張感が漂い、「この一家に何があった?」と視聴者の想像力をかきたてます。

日本では、食卓=一家団欒=あたたかい食事と連想がつながりますが、あたたかみが一切ない、なんとも無機的な食事風景なのです。

 

晩夏の美しさは、ボンド湖周辺のみならず、現場に向かう道中での空撮シーンでたっぷり楽しめます。

フィンランドの気候には詳しくありませんが、湿度の高い日本の夏に比べたらはるかに快適そうです。

この晩夏とおぼしき季節のほか、日没時に主人公たちが湖に向かう設定のため、生命の輝きの終わりを感じさせる移動シーンになっています。

若者四人がひとけのない湖に向かうという、通常のホラー映画なら大騒ぎが予想される設定の割に、妙なさびしさが漂っているのです。

 

深夜の水中シーンは、幻想的な光景として描かれています。

月明かりを頼りに深夜の湖にもぐるなど考えただけでも恐ろしいですが、ここでは恐怖より、死の世界に侵入した生者の生々しさみたいなものが描かれています。

ほんの数メートル先に異界が広がっているような印象です。

 

二人が乗った事故車が猛スピードで牽引されるシーンは、アクション性にとぼしかったそれまでの展開を打破する迫力のある映像となっています。

車の中にいながらも、自分でコントロールできないという状況が実にむごたらしいです。

「引っ張ってくれるなんて親切だなぁ」と思わせてからの落差も激しいです。

 

はらちゃん
現実ではありえないグロシーンなんかより、よっぽど精神的にこたえるシーンも多くあります。

 

徐々に明かされる謎と追加される謎

最初は湖に行く目的すら明らかにされず、断片的な情報しかないまま話が進みます。

1960年に目的地の湖で事件があったことだけは、事実として触れられています。

それから四人が1960年の事件を森に住む殺人鬼が起こしたものだと考え、その検証をするためにやってきたことが明かされます。

 

殺人鬼の存在をにおわせたところで襲撃がはじまるものの、中盤でイーダの復讐劇であったことが明かされます。

そして、復讐の原因となった写真の存在が、友人ノーラの流したデマであることが明かされ、謎が全て消えたと思いきや、今度は正体不明の男が登場し、新たな謎が生まれるという仕掛けです。

 

結局殺人鬼はいたのか、1960年の事件と同じように三人死亡一人廃人という結果になったのは故意なのか、謎に包まれたまま、新たに検証に来たとおぼしき集団を映して物語は終わります。

 

とある勇者
すっきり感はないかもしれないね。
ですが、リアリティは抜群ですし、一貫して視聴者にあれこれ想像させるスタイルをとってきているので、まるで事件がループするような終わり方は作品にマッチしています。
はらちゃん

 

繊細さを感じさせるメインキャラの演技

湖にやってきた男女四名は、ありがちなホラー映画のようにバカ騒ぎするでもなく、仲間内で微妙な緊張感を漂わせています。

この緊張感はきちんと伏線となっており、探るような視線や会話、複雑な表情で「雪崩が起きる前の静けさ」みたいな状態を表現しています。

 

そもそも多感な時期の男女ですので、不安がにじむような表情がよく似合います。

特に物語の中心であるイーダは繊細さと、傷つきやすいが上の美しさがよく出ていて、静けさと緊張感に満ちた物語の象徴的な存在になっています。

 

謎の男が現れてからの血まみれイーダは、秘められていた感情がほとばしってすさまじい形相。

悲劇のヒロイン感が一瞬でふっとぶインパクトがそこにあります。

 

はらちゃん
十代男女の繊細さと危うさは、かなり表現できているのではないでしょうか。

 

薄着ばんざい!

アメリカの殺人鬼ものホラーみたいな脱ぎっぷりはありませんが、後半の女子二人が薄着でいい感じなのです。

リアリティ重視の作品なので、ほんのりとしたセクシー要素がとても魅惑的です。

イーダが水中を下着姿で泳ぐシーンも、幻想的であると同時に躍動する姿態のなまめかしさを感じさせます。

不思議なセクシーさなのです。

 

『サマー・ヴェンデッタ』のイマイチなところ

展開がかなり遅い

徐々に情報を明かしていくスタイルの弊害で、どうにも展開が遅いです。

視聴者を冒頭からぐいぐい引きこむようなインパクトのある伏線もありません。

途中までは淡々と話が進んでいくので、殺人鬼が前半から暴れ回るアメリカンスタイルを期待して視聴すると、少し物足りないかも知れません。

 

迫力のあるシーンが少ない

迫力のあるシーンは牽引された車が爆走するぐらいで、あとは地味な画ばかりです。

いくらリアリティ重視の作品とはいえ、もうちょっと殺人シーンにこだわっても良かったかなと。

前半部は特に動きのあるシーンが少なく、ホラー映画的なサービスにも欠けています。

ホラー映画的な演出で使われるような効果音もほとんどなく、全体的に大人しいです。

 

はらちゃん
緊張感の醸成を俳優の演技と景色に頼っている印象ですね。

 

視聴者の想像にお任せする中途半端さとネタバレ邦題

視聴者の想像力を刺激してはいるものの、分かりやすい娯楽映画をのぞんでいた人にとってはすっきりしない作品となっています。

そもそも1960年の事件は殺人鬼の仕業なのか?

今回出てきた男はそれと関係するのか?

だとしたら年齢はどうなっているのか?

視聴者が気になること全てが投げっぱなしのまま、物語は終わります。

 

また、現代は『ボンド』とありますが、邦題は『サマー・ヴェンデッタ』です。

ヴェンデッタは復讐という意味なので、邦題タイトル自体がネタバレを含んでいます。

復讐は1960年の事件関係者によるものか、登場人物内のものに限定されます。

そして、1960年の事件に関する情報の少なさと年代の開きを考えると、メインキャラの男女四人が関係する復讐の可能性が高く「この四人の中で一悶着ありそう」と予想がついてしまいます。

 

はらちゃん
『ボンド湖』という直訳タイトルは確かに厳しいものがありますが、どうにかネタバレを含まないタイトルにはできなかったのでしょうか?

 

『サマー・ヴェンデッタ』はこんな方にオススメ

『サマー・ヴェンデッタ』は下記のような方にオススメできる映画です!

こんな方にオススメ

  • リアリティ重視の作品が好きな方
  • 落ち着いた雰囲気が好きな方
  • 美しいフィンランドの晩夏を見てみたい方
  • 想像力が豊かな方
  • 繊細女子から鬼の形相への変化を確かめたい方

 




 

『サマー・ヴェンデッタ』を視聴できるVOD

U-NEXT

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『サマー・ヴェンデッタ』のまとめ

映画『サマー・ヴェンデッタ』について、ご紹介しました。

リアリティを重視するため、ホラー映画的なサービス(演出)が大人しくなってしまったのが本作です。

雰囲気作り、画作りにはかなりこだわっており、ガチャガチャとしたアメリカンホラー映画とは趣が異なります。

スピーディーな娯楽作品ではなく、じっくり視聴に向いたこだわりの作品ですね。

総合評価

3.0点 / 5.0点

最後までお読み頂きありがとうございました。




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