封印された記憶と特殊能力をもつ主人公が、昏睡状態の息子のため死者の世界に潜るオカルト映画『インシディアス』の正統続編が本作です。
続編ありきの終わり方だった前作のフリは、きっちり回収されているのでしょうか?
それでは、レビューを行っていきます。
あらすじ・作品情報
3人の子どもたちを狙っていた悪霊も去り、ジョシュ(パトリック・ウィルソン)とレネ(ローズ・バーン)夫妻にようやく平穏な日々が訪れたように見えた。
だが、息子を救うために幽体離脱したジョシュは、自分と共にこちら側の世界にやって来た何かに取りつかれていた。
実は彼には幼い頃から、幽体離脱してあちら側の世界とつながる特別な能力が宿っており……。
引用元:Yahoo!映画
2013年に公開された映画です。
「ワイルド・スピード」や「ソウ」を手掛けたジェームズ・ワン監督がメガホンを取りました。
『インシディアス 第2章』の予告編
『インシディアス 第2章』の良かったところ
前作ときっちりつながる謎解きのような展開
子供時代の主人公ジョシュと霊能力者エリーズの関係は、前作でも言及されていましたが、今作ではしっかり映像化されており、幼き頃のジョシュの言動が一つの鍵となっています。
幼少期のジョシュが出ているシーンは、若き日の母親ロレインやエリーズ、そして現代編でも活躍する霊能力者カールも出てきて、現在とのつながりを感じさせる内容になっています。
前作にも登場した、子供ジョシュの写真内でじわじわ近づいてくる老婆の誕生とその秘密が、パーカークレインという男にまでさかのぼることによって明かされます。
彼が異常者になる原因も、男性不信に陥った母からの虐待であることが示されています。
前作では謎を放置したまま消化不良のような形で終わりましたが、今回はジョシュに関する事柄はきれいに片付いてエンディングを迎えるのです。
忘れてはいないホラー要素
本作はオカルトホラーなので、幽霊に関するホラー演出が盛りこまれています。
前作同様、死者がつけ狙ってくる闇の世界は幻想的に描かれ、そこを探索する際の心細さは健在です。
パーカークレイン関連の事件で出てくるヴェールをまとった大量の死体も、ゴシックホラーのような雰囲気を醸し出しています。
ジョシュがどんどん変化し、暴力的になっていく様子も、歯が抜けるという地味ながらも生理的な嫌悪感をもよおさせる描写をふまえて、演出されています。
オカルト要素以外にも、パーカークレイン親子の話が通じないサイコパス的な怖さが描かれており、連続殺人鬼がそれなりのペースで誕生するアメリカのリアリティがそこにあります。
そして、母親に追い詰められてしまったパーカークレインが殺人鬼のメンタリティをもったまま悪霊化し、幼いジョシュに付きまとうことになります。
生きてても死んでても厄介という、手のつけられない存在がそこにいるのです。
また、廃病院探索という、一般人にも可能なゆえにリアルな恐怖も描かれています。
真っ暗な廃墟の上にいわくつきの建物なので、怖さ倍増なのです。
子役を含めた質の高い演技
若い女性が悲鳴を上げてばかりのホラー映画が多い中、本作は子役を含め、質の高い演技が味わえる映画になっています。
若き日のエリーズは、現代編で出てきた彼女の癖を踏襲する形で演じられており、たとえ名前が伏せられていても鋭い人であれば、「あれ?この感じみたことある」と勘づく演技となっています。
ジョシュは、本人と憑依バージョンの切り替えを見事に演じて、狂気と善良さをたくみにスイッチさせています。
前作のラストから元気な姿を見せたダルトンは、子供らしい活発さと無邪気さを発揮しています。
妻のルネは夫のジョシュを信じたいが、本能的に危険を察知して戸惑う姿を熱演。
信頼と不信の間で揺れ動き、「夫を愛しているが、子供たちのためにもしものことを考え、行動しなければならない」姿は、悲壮感にあふれ気の毒なほどです。
いい味を出しているキャラが多いので、俳優陣の演技に抜かりがないのはありがたいです。
困難に立ち向かう人々の愛情
前作でも息子ダルトンのために危険をおかすジョシュの姿が描かれていましたが、今作でも愛情あふれる人々の姿が視聴者に感動を与えてくれます。
霊能力者エリーズは、ジョシュと関わったことによって殺されてしまったのに、死しても彼を導きます。
まるで聖人のような存在です。
前作で救助される側だった息子ダルトンは、今度は父を救助に向かいます。
前作で死者の世界にとらわれ散々怖い目にあっているのに、ためらうことなく父を助けに向かう真っ直ぐな心と勇気をもっています。
そして、12年間毎日ジョシュの瞳を見続けたというルネの台詞からは、妻がどれだけ夫のことを愛し、その体調を気にかけ大事に想っていたのかがうかがえます。
ジョシュの異変を感じる力においては、彼の母ロレインを上回っているのです。
『インシディアス 第2章』のイマイチなところ
サスペンス要素強すぎてホラー要素にオマケ感あり
ミステリ小説をたしなむような謎解き好きには嬉しい展開ですが、サスペンス要素強すぎです。
過去をさかのぼり、ジョシュにつきまとう老婆について究明していくのは興味深いのですが、謎解きありきでホラー要素がオマケとなっています。
きっちり原因が分かることによって、怖さが薄れるというホラー映画としては逆効果な側面もあります。
また、パーカークレインのキャラが強すぎて、オカルトからサイコパス殺人鬼によるホラーへと作品の性質が変わっています。
悪霊化する女装殺人鬼おじさんなんて、キャラが濃すぎなのです。
あまりにもキャラが濃すぎて、『パーカークレインと秘密の部屋』『パーカークレインと死のおかん』というハリーポッター的なタイトルの作品ができそうなほど・・・。笑
彼のインパクトに比べるとジョシュ一家の存在は薄味すぎるのです。
過去の自分へ会いに行くややこしい設定
死したエリーズに導かれ、ジョシュが前作の自分を訪れたり、幼少期の自分にヒントをもらいにいく話の流れは印象的ではあるものの、時間軸がややこしいことになっています。
まず、幼少期を含む過去の自分を訪れるためには、エリーズの導きが必要で、そのためにはエリーズが死んでいなければなりません。
すると、幼少期のジョシュが現在ジョシュにヒントを与えていた時には、エリーズが死んでいなければならず、されど幼少期ジョシュの時代においてエリーズの死はあくまで未来のことで確定していないため、ここで矛盾が生じます。
一回目の幼少期ジョシュの時には、ジョシュとエリーズの未来はまだ存在していないはずなのですが・・・。
時系列で考えるのであれば、エリーズの死とジョシュの未来は決して変えられないものとして、存在することになります。
微妙な働きぶりの調査コンビ二人
前作でも微妙な活躍ぶりだったのですが、今作でもあれこれ試みる割にうまいこといかず、ほとんどにぎやかし要員となっています。
シリアスな展開が多いので、キャラが立っていてコミカルな二人の存在は貴重なのですが、もうちょっと活躍して欲しかったのが本音です。
エリーズやジョシュのように特殊な能力をもたない彼らは、いわば一般人代表。
その性質から視聴者も感情移入しやすいキャラであるものの、大活躍したとはいえません。
一般人の彼らが様々な器具を駆使して活躍するシーンがあれば、さらに気持ちの良い作品に仕上がったのではないでしょうか?
『インシディアス 第2章』はこんな方にオススメ
『インシディアス 第2章』は下記のような方にオススメできる映画です!
こんな方にオススメ
- 前作を視聴している方
- オカルトも好きだが謎解きも好きという方
- パーカークレインの濃いキャラとコレクションを確かめたい方
- ホラー映画の中にも人間ドラマが欲しい方
- 過去世界やもう一つの世界が好きな方
『インシディアス 第2章』を視聴できるVOD
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『インシディアス 第2章』のまとめ
映画『インシディアス 第2章』について、ご紹介しました。
前作ラストのもやもやした終わり方を、すっかり解消してくれたのが今作です。
続編としては、かなり出来がよい印象。
謎解き要素が強めで、それに比べるとホラー要素が弱めなので、前作の視聴がマストな作品となっています。
前作未視聴の方にとってのスコアは、6といったところでしょうか。
俳優の演技も良く、家族愛が描かれたシナリオを盛り立てています。
前作視聴者には猛烈にオススメしたい一作です。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。