今回は映画『NANA2』のレビューを行います。
前作ではナナとハチの恋愛劇に主軸が置かれており、ハチの人生の描写が曖昧なまま終わってしまいましたが、本作はハチの人生に焦点を当てて物語が進んでいきます。
キャストに多少の変更がありますが、一番の違いは“ハチ”役が市川由衣に変更になったことでしょう。
前作の好評を得て制作された第2弾ですが、どのような内容になっているのでしょうか?
ちなみに私は原作未読で前作『NANA』を観た程度の予備知識しかありません。
それでは早速レビュー開始します。
あらすじ・作品情報
大崎ナナ(中島美嘉)率いるBLACK STONES(ブラスト)は、メジャーデビューに向けて充実した毎日を送っていた。
一方で、同居生活をしている“ハチ”こと小松奈々(市川由衣)はライバルのバンド、TRAPNEST(トラネス)のリーダー、タクミと関係を持ち、それをナナに打ち明けられずにいた。
そんな中、ハチの身に予想外の出来事が起きる。
引用元:Yahoo!映画
高い人気を博した前作『NANA』のシリーズものとなる映画『NANA2』です。
キャストが前作と変わっているので、そちらも見どころです!
『NANA2』の予告編
『NANA2』の良かったところ
前作とは全く異なる重いテイスト
私のように、原作を知らずに前作から引き続き観た方は、必ずその映画のテイストの変化に驚くことでしょう。
前作はよりハッピーで音楽シーンも割とあったため、サービス精神のあるエンターテイメント映画という感じがしましたが、本作では音楽描写は少なめになり、その分ハチの人生にスポットが当てられた内容となりました。
これとんでもない内容ですね・・・。
序盤は前作からのハッピー路線を受け継いでいるような印象を受けますが、中盤からあれよあれよとなし崩しに物語が暗く、陰鬱になっていきます。
流されっぱなしの人生だったハチは、結果子供を身ごもってしまったことで結婚する決意をします。
その結婚相手が、もう明らかに見てわかるチャラ男でダメなタクミ。
こんなのと結婚したら絶対ダメだよ〜と言いたくなるほどタクミのダメ男っぷりが描かれますが、あえなくハチはタクミと一緒になります。
これは間違いなく観てる人がもどかしくてイライラしちゃう展開だと思います。笑
私としては、タクミは勿論ダメなやつですが、飾り気がなく他人を騙そうとするキャラでもないので、むしろダメなのは何も考えずに日々過ごしていたハチの方に見えますが、みなさんはどう思うのでしょうか?
こういうところが少女漫画らしくて、女性の間でも意見が分かれるのかもしれませんね。
ナナの崩壊ぶりがすごい
前作はどちらかというとナナの話がベースになっていましたが、本作では完全にハチの人生にナナが振り回されちゃってます。
客観的に観てると、振り回される必要なんてないように思えるのですが、ナナは親友であるハチの人生が急転していくペースに取り乱し、自らの心も乱れていきます。
ナナにはハチに対する複雑な心境があり、独占欲があったり距離を取ってみたり、一体この2人の関係性はどうなってるんだ?と考えたくなるほどナナは狼狽して、キャラが崩壊していきます。
最終的に、彼女はやはり音楽をやっていくという決断をします。
ナナとバンドのメンバーは最後のシーンでゲリラライブしているのですが、これは実際にシークレットライブが行われた映像ですよね?
私は予備知識ゼロで観ましたが、このシーンはさすがに本物のゲリラライブだったんだろうなと分かるような、観客・パフォーマー達のライブ感がとても良かったです。
やっぱり仲間の大切さが分かる映画
前作でも感じましたが、NANAは仲間の絆を感じられる作品です。
特に本作では、ナナのバンド仲間との友情が描かれることが多かったです。
熱く素直なノブはハチをいい加減に扱うタクミに怒りをぶつけたり、傷ついたナナをいつもそばで支えたりと、メチャメチャいい熱血漢ぶりを見せてくれます。
タクミがダメ男なだけにこの対比はすごかったですね。
他にも、前作ではかなり地味だったシンもいい味出してました。
とにかく優しくて妙に気遣いのできるシン。
彼はナナにだけでなく、ノブやハチにまで優しい心遣いをいつもしてくれます。
妙に落ち着いた立ち振る舞いでバンドメンバーの中でも大人びて見えます。
そして、前作でもいいアドバイスキャラとして活躍したヤスが、本作でも大活躍です。
要所要所で現れ、渋くクールな立ち振る舞いを見せてくれます。
彼は本作で大きな見せ場がありましたね。
鬱陶しい記者を鉄拳制裁してナナを解放してくれました。
カッコ良すぎます・・・。
『NANA2』の惜しいところ
あまりにも共感できないストーリー
本作は漫画が基になっているだけあって、結構ストーリー内容がぶっ飛んでいます。
一見すると、ただの一般人だったハチのシンデレラストーリーのようにも見えますが、切り口がかなり残酷で、全体的に重苦しい印象を受けます。
特に観ていて、ハチのあまりに身勝手というか何も考えていない人生に、共感できないという人が多いのではないでしょうか?
作品のテイストが全くもって前作と異なるので、そこに面食らう方も多いかもしれませんが、私としてはストーリー性がしっかりしているので、本作の方が気に入りました。
ラストのライブシーンが少し残念
ラストにナナは新宿で、シークレットでゲリラライブを行います。
このシーンは本当にライブをやっているというリアル感があり、観客の盛り上がりもバンドのメンバーのリアクションも生に近くて、観ていて見応えがありました。
カメラも上空から撮影したり、色んなアングルからステージを捉えていて、クライマックスとして相当気合が入ったシーンだというのはよく伝わりました。
しかし、そのライブ自体のアイデアは良かったものの、果たしてストーリーの流れで本当にライブをする必要があったのかという点がそもそも気になってしまいます。
また、ライブで歌われた「一色」も楽曲としては良いかもしれませんが、映画のシーンとして長尺で使うにはあまりに盛り上がりにくいと感じました。
結果として、このライブシーン自体は見応えあるものの、映画の一連の流れの中で見るとかなり浮いたシーンとなっていました。
『NANA2』はこんな人にオススメ
『NANA2』は下記のような人にオススメできる映画です!
こんな人にオススメ
- 前作『NANA』が好きな人
- 少女漫画が好きな人
- 前作で描かれなかったハチのその後が気になる人
- 迫力のあるライブシーンが見たい人
- 仲間の大切さを実感したい人
- 女の子同士のアブナイ友情を見たい人
- 自分の人生について考えたい若い人
- 伊藤由奈をまた見たい人
- 花火に思い出がある人
本作は音楽映画ではなかったような気がします。
全体的にかなり重苦しいテーマで、観ていて爽快感も感じられません。
しかし、人生の冷酷さやそれに悩む若者達をしっかりと描いているので、リアリティのある映画を観たい人にはオススメです。
私としては、ハチに全く共感出来ずヤキモキすることが多かったですが、それでも現実を前向きに捉えて生きていく彼女の姿からは、学ぶことが多いのかもしれませんね。
『NANA2』の口コミ
Amazon primeに映画のNANAとNANA2あるやん…久しぶりに観ようかなぁ(๑´ㅂ`๑)💕
NANA2でかなりキャスト変わったのは苦笑いしたけど(笑)
シムズでナナとハチ作りたいって思ってたなぁ~😊🍀 pic.twitter.com/v04cpUptUR— あちゃ@TS4/3愛(雑多含) (@achaama2009) September 2, 2018
映画のNANAは世界観とかキャスト原作よりで個人的に好きだけど、NANA2はハチ役宮崎あおいじゃなくなって観てない……ハチの時の宮崎あおいめっかわ…… pic.twitter.com/oaMN8e3Ajl
— tks (@rikharuu) August 31, 2018
誰かのRTで回ってたNANAのツイートみて気になって漫画読んだらおもしろすぎて映画にまで手出しちゃったけどNANA2のシン役が本郷奏多なのはハマり役すぎたよ本当に!シン役とナナ役はもうハマりすぎてる!!!興奮する!!よし、寝る!
— すずき ゆうか (@k_amchoriii) December 13, 2017
『NANA2』を視聴できるVOD
『NANA2』が見放題対象となっているオススメVOD(ビデオ・オン・デマンド)は、下記の通りです。
オススメVOD
- Amazonプライム・ビデオ
- U-NEXT
Amazonプライム・ビデオ
Amazonプライム・ビデオは月額400円と非常に安価で、多くの映画やドラマ、アニメなどを視聴することができます。
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『NANA2』のまとめ
映画『NANA2』についてご紹介しました。
キャストの大幅な変更や重苦しいストーリー、興行成績など様々な問題点があったためか、映画『NANA』は本作で完結となっています。
確かに前作から比べて、そのテンションの差にガッカリしたという人が多いのも理解できますが、私個人としては本作の方が気にいる内容でした。
ナナとハチは、体は大人でもまだまだ心は未熟な子供のままです。
そんな彼女達が自分の心のままに動いた結果、とんでもないことになってしまったとしても、それはそれでリアルな彼女達の人生であり嘘偽りないものです。
人生の厳しさやダークな面を真正面から描こうとした本作は、かなりの意欲作なのではないかなと私は感じました。
どんな状況でもしなやかにタフに生きていけるハチはかなりの根性がありましたね!
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。