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日本的ホラー要素多数!映画『残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-』のネタバレと評価!

更新日:

読者投稿の怪談話に作家が類似性を見つけ、その源流を探していくホラー映画が『残穢』です。

オカルト好きの面々が集まり、下手な刑事ドラマ顔負けの調査力を発揮していきます。

ちょこちょこと歴史をさかのぼって真相に迫る様子はホラー映画らしからぬ丹念さ。

調査の行き着く先には何が待っているのでしょうか?

それでは、ネタバレと評価を開始します。




 

あらすじ・作品情報

残穢

ミステリー小説家である私(竹内結子)に、読者の女子大生・久保さん(橋本愛)から自分が住んでいる部屋で変な音がするという手紙が届く。

早速二人で調べてみると、そのマンションに以前住んでいた人々が自殺や心中、殺人などの事件を起こしていたことが判明。

久保さんの部屋で生じる音の正体、そして一連の事件の謎について調査していくうちに、予想だにしなかった事実がわかり……。

引用元:Yahoo!映画

 

『残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-』の予告編

 

『残穢』の良かったところ

時代をさかのぼり究明していく面白さ

ただモンスターや幽霊、殺人鬼に追いかけられているだけのホラー映画が多い中、『残穢』は積極的に主人公たちが動き、取材という名の捜査をしていきます。

オカルト要素だけではなく、刑事ドラマ的な要素も濃厚なのです。

伏線が回収され、点と点であった情報が線となり、全体像がじんわり浮かび上がっていきます。

 

とある勇者
理詰めで謎を究明していく様子は、なんでもありのドタバタオカルトホラーとは一線を画しているね。
大人の味わいといったところだね。
はらちゃん

 

作家主人公によるリアリティ補正

主人公が作家であるため、ナレーションのような語りがあっても不自然ではありません。

映画内での語りが「一人称作品での記述」とも受け取れるからです。

また一般の人に比べて、取材にも手慣れているので人に話を聞く流れもスムーズです。

 

作家は作品ありきの存在なので、演じている俳優はあえて華やかさをおさえ、地味かつ理知的に物事を追う創作者を演じています。

 

リアリティについてはかなりこだわっている作品ですね!
はらちゃん

 

各時代を工夫しながら描写

現在起きている怪現象がいつ、どこから始まったのか、事故や事件の関係者への取材はもちろん、オカルト好き仲間の力を借りてひたすら調べるのが『残穢』のメインストーリーとなっています。

事故や事件をたどっていくうち、主役の一人である怪談投稿者に起きている怪現象が過去の出来事につながっている事が判明し、どんどん時間をさかのぼりながら調査していきます。

 

時間のさかのぼりは、数年前というレベルから大正時代にとぶものまであり、服装や家の内装はもちろん、外の風景まで当時に見えるよう工夫し、その時代に見合った映像効果(古いフィルムに似せる)も駆使しています。

 

「どれくらいの古さを感じさせるか」細かくコントロールしながら作品を手がけた制作陣には、頭が下がる想いです。

古いフィルムのような映像効果を当てはめると、時代考証の粗が見えにくくなるので一石二鳥ですね。

 

現代が舞台となっていても、部屋全体が明るくなるようなライティングは控え暗めにしているので、過去が舞台となっているシーンは余計に薄暗く、当時の湿度とにおいが伝わってくるようなじっとり感があります。

物理攻撃ばかり繰り出すからっとした雰囲気のアメリカ映画とは対照的なのです。

 

日本的ホラー要素大盤振る舞い

日本の怪談やホラー映画でよく使われる要素が、『残穢』の中で大盤振る舞いされています。

首つり死体の怨霊化、カッパのミイラ、びっしり貼られたお札、赤ん坊の泣き声、座敷牢、呪いの刀、ひっそりと顔がゆがむ人物画、訳知りのお坊さん、問答無用のテイクアウト、虚空を見つめる子供・・・。

 

満漢全席とはいかないまでも、ジャパニーズホラー要素のフルコースと言っていいでしょう。

一つ一つの要素がショートフィルムを作れるぐらい印象的なものなのに、それが集まっているわけですから、慣れてない人は「ホラー要素の胸焼け」を起こすかも知れませんね。

 

身近すぎる怖さの追撃

「どこかで聞いたことある」的な怪談要素のほかにも、身近なホラー表現がこの作品には詰まっています。

深夜にやってくるイタズラ電話の気味悪さ、なにかに反応する感知式照明の謎、文字化けする文書ソフトにクラッシュするパソコン・・・。

特にクラッシュするパソコンは、一日の仕事が無駄になったり、買い換えが必要になったりするので、心霊要素抜きにしてもリアルで怖いのです!

 

祟りの理不尽さ

大正時代から連綿と続く祟りの、影響が出る人出ない人の違いがはっきりと描写されておらず、それが怖さの底上げに一役かっています。

もちろん祟られる境界線やルールがはっきりしている方がすっきりするのですが、祟りのもつコントロールできない、予測できない怖さを表現するなら、不明瞭のままで問題ありません。

 

作品内を何度もチェックすれば明確なルールがあるのかも知れませんが、それがわかったとしても多少のすっきり感が得られるだけで、『残穢』の面白さが二倍にも三倍にもなるわけではありません。

祟りのルールを探すため鵜の目鷹の目で、作品を何度も視聴する必要はないと思います。

 

『残穢』のイマイチなところ

スピード感に乏しい展開

論理的に怪現象の源流を探していくため、物語を進めていくためには情報が必要となっています。

推理の元となる情報が少しずつ判明していくため、物語もそのペースで進むことになり、展開は遅め。

アクション性もなく、リアリティ重視の地味な画が多くスピード感は皆無です。

 

時代をちょっとずつさかのぼるのは『残穢』の特徴であり、いいところでもあるのですが、時代が移るたびにテンポが悪くなる上、取材モードへの切り替えもあります。

「仲間内でぐだぐだやって話が全然進まない」タイプではなく、「話は進んでいるものの作品の構成上テンポが悪い」タイプ。

前者のぐだぐだタイプに比べれば上質といえるのですが・・・。

 

話の流れと時代切り替えについていくのが大変

怪談を素材としている割に、理詰めで話が進んでいくため、物語をきちんと理解するためには少しずつ判明する事実を拾っていく必要があります。

雰囲気たっぷりのホラー演出だけでも価値ある作品ですが、本来のポテンシャルを味わうためにはストーリーの把握が不可欠。

頭の中で情報をまとめながらの視聴が望まれます。

 

時代をどんどんさかのぼるので、「何の関連で昔の映像が流れているのか」把握していないと面食らうことに。

頼みとなるのは作家主人公による語りですが、リアリティ重視のためアナウンサーのようにハキハキ喋るわけではないので、大事な情報を聞き漏らす可能性もいくらか存在します。

よくあるハリウッド映画にように「頭からっぽにして視聴できる」作品ではないのです。

 

視聴後のカタルシスなし

主人公の作家中心にオカルト好き仲間が集まり調査を進めていくわけですが、怪現象を防ぐための解決を目指しているというよりは、好奇心に従っている形なので、おおよその原因が分かっても「すっきりと問題解決あと腐れなし!」とはいきません。

怪現象の投稿者はいくらか怪現象をひきずったものの、その後は息災なしと語られていました。

影響を受け続ける犠牲者たちと何が違ったのか描写されているわけでなく、「原因はわかった。解決法は不明。犠牲者と無事な人の違いもわからない。」とモヤモヤする状態のまま物語は幕を閉じます。

怖さだけを考えれば不明瞭のまま終わっても問題ないのですが、一部視聴者は影響の差をきちんと描いて欲しいと切に願ったはず。

ロジカルに物事を考える人にとっては「竜頭蛇尾」的な作品なのです。

 

『残穢』はこんな人にオススメ

『残穢』は下記のような人にオススメできる映画です!

こんな人にオススメ

  • 推理小説が好きな方
  • ジャパニーズホラーのじっとり感が好きな方
  • 歴史ものが好きな方
  • オカルト好きな方
  • リアリティを重視する方
  • 都市伝説が好きな方

 

『残穢』の口コミ

元々はホラー映画であった『残穢』ですが、中村義洋監督により映画化されました。
はらちゃん

 

身近な怖さでもあるので、そこがまた良いですね!
はらちゃん

 




 

『残穢』を視聴できるVOD

『残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-』が見放題対象となっているオススメVOD(ビデオ・オン・デマンド)は、下記の通りです。

オススメVOD

  • Amazonプライム・ビデオ
  • U-NEXT

 

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『残穢』のまとめ

ホラー映画『残穢』についてご紹介しました。

怪現象の原因となった出来事を理論的に調査しつつも、ジャパニーズホラー独特のじっとり感や、各種オカルト、都市伝説要素も備えているホラー映画となっています。

時代を少しずつさかのぼり核心に迫っていくスタイルはテンポの低下を招いておりますが、推理小説のように考えながら作品を追うのが好きな人にはたまらない一作。

各時代の描写に工夫をこらしリアリティを高めた作品でもありますね。

総合評価

3.0点 / 5.0点

最後までお読み頂きありがとうございました。




 

この記事の著者の執筆作品

オブザデッドレビュー34発

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電子書籍サービス:Kindle
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