溶岩(ラヴァ)とクモ(タランチュラ)を組み合わせたモンスターであるラバランチュラが大暴れするパニック映画『ラバランチュラ』の続編です。
番号もふられておらず、シリーズの二作目であることが分かりづらいタイトルになっていますね。笑
もちろん、灼熱をまとったようなクモと主人公コルトンは健在です。
それでは、レビューを行っていきます。
あらすじ・作品情報
フロリダ州マイアミで、突然火山活動が発生。
火山弾から出現したのは、溶岩を吐く巨大な蜘蛛。
1年前にロサンゼルスを壊滅させた怪獣“ラバランチュラ”だった。
ロスを救い英雄になったB級映画スターのコルトンは、マイアミでパニックに巻きこまれた娘を救出するため、再びモンスターに戦いを挑むことになる。
だが、コルトンたちの前に立ちはだかったのは、さらに凶暴になった火山蜘蛛の大群と、体長100メートルを超える巨大怪獣蜘蛛の猛威だった!!
引用元:Amazon
2017年に公開された映画です。
『ボルケーノ・スパイダー』の予告編
『ボルケーノ・スパイダー』の良かったところ
今度は東。地形を生かしたマイアミネタ
前作の舞台は映画産業とも縁が深いアメリカ西地区のロサンジェルスでしたが、今回は東地区のマイアミでラバランチュラが発生します。
マイアミだけあって最初の襲撃地はビーチ。
もちろん水着姿の女性が多く、視聴者サービスを意識したシーンとなっています。
義理の娘であるレイヤがラバランチュラの襲撃に巻きこまれることによって、主人公コルトンと物語は動き始めます。
紆余曲折を経て訪れる有名なエバーグレーズ国立公園では、前作のロサンジェルスではついぞお目にかかれない大湿地帯が登場し、自然の雄大さとワニ、及びラバランチュラの恐怖を演出します。
ここでは、ワニが登場するロケーションを生かした、映画『クロコダイルダンディー』ネタが炸裂します。
コメディ映画『ポリスアカデミー』登場の出演陣といい、1980年代~1990年代によく映画を観ていた層を喜ばせようとする作りになっています。
マイアミ市民に向けた演説では、前作同様地元のスポーツチームが引き合いに出されます。
今回いじられるのはNBAのチームであるマイアミヒート。
「レブロンが優勝を果たしたのは?」「マイアミ!」とマイアミ市民のテンションが上がるところで、「クリーブランド……」と言ってしまう人が出てきます。
まるでマイアミ市民の中に、クリーブランドの住人がまぎれこんでいるようなやりとりです。
前作より科学的なラバランチュラ対策
コメディ寄りのモンスターパニック映画は科学的な根拠が無視されがちですが、前作より科学的なアプローチでラバランチュラに対処しています。
厄介なモンスターの再出現を見越していたのか、ラバランチュラ対策の冷凍銃を開発しており、そのSF的なデザインは少年(と少年マインドの人)の心をくすぐります。
今作では低温状態だとラバランチュラに感知されないという設定が加わり、武器がないレイヤが隠れるシーンでその設定が生かされています。
モンスターパニック映画らしいかくれんぼが行われるわけです。
また、最後に立ちはだかる超巨大モンスターであるガルガンチュラは、その体から放たれる熱によってミサイルが命中前に爆発してしまうという特性をもっており、軍隊による攻撃を無効化しています。
熱によるミサイル暴発を防ぐため、コルトンが難燃剤を相手に当ててから軍が攻撃するというコンビネーションプレイが生まれることに。
モンスターの進化と巨大化
前作に引き続き、噛まれたら即アウトの卵を産みつける能力は保持されていて、今度は義理の娘レイヤの友人が犠牲になります。
元々モンスターとしての厄介さを高水準でもっているのに、今回は更なる進化と巨大化を遂げます。
今作では針のようなものを飛ばす攻撃が加わり、射程と危険度がアップ!
これまでにも炎による中距離攻撃はありましたが、針攻撃はぐっと射程が伸びており、「遠くから銃撃すれば安全」という全米ライフル協会が喜びそうな設定ではなくなりました。
そして、とどめはゴジラサイズのモンスターガルガンチュラの登場。
マイアミ市民に絶望を与える巨大さと攻撃力をもっていて、空軍によるミサイル攻撃を無効化する熱をまとっています。
ちなみに、ガルガンチュラというネーミングは、巨人が登場する小説『ガルガンチュア物語』からきているようです。
家族以外も活躍する視聴感の良さ
同じテイストのサメパニック映画『シャークネード』シリーズでは、主人公の家族以外は使い捨てのような扱いですが、こちらのシリーズではみんなに活躍のチャンスが与えられています。
最初は映画『ポリスアカデミー』に出演した三人組で、義理の娘レイヤを救いに行くという目的があるものの、その目的を果たしてからはマイアミ市民のために戦います。
レイヤの友人TJの一家はギャグ的にもシナリオ的にも活躍し、主人公一家以外でも脚光を浴びることができる良い見本となっています。
冴えない感じのカイルも、アシスタント的な立場ながら相棒のような活躍を見せますし、独りよがりであった軍人とも結局はタッグを組み、困難に立ち向かいます。
最後は義理の娘レイヤとの和解もあり、視聴感の良い作品に仕上がっています。
『ボルケーノ・スパイダー』のイマイチなところ
意外と真面目?続編としては大人しい設定
同系統のコメディ寄りのサメパニック映画『シャークネード』シリーズは、続編になるごとにぶっとんだ設定になり視聴者を楽しませてくれますが、こちらのシリーズはガルガンチュラというゴジラサイズのボスは登場したものの、全体的に大人しい設定となっています。
むしろ科学的な側面を前作よりも強調しているため、前作よりもリアル寄りの作品になっています。
遠距離攻撃の追加や巨大化もモンスターパニック映画としては想定できる範囲で、視聴者の度肝を抜く感じではありません。
そこまでリアリティを求められる作品ではありませんので、もっと小学生的な発想を利用した、斬新かつコミカルな路線でも良かった気がします。
妻オリビアと息子ワイアットはどこへ?
前作のキャラが引き続き登場して活躍するのは、シリーズものの魅力なのですが、いいキャラをしていた妻オリビアと息子ワイアットが今作では登場しません。
義理の娘レイヤは出てきますが、救助されるだけで一緒に戦う胸の熱い展開はなく、アメリカ人が好きそうな家族パワーは低下しております。
『ポリスアカデミー』出演陣は再登場していますし、家族の再登場と活躍も見たかったですね。
ほぼ同じパターン。二作目にして進むマンネリ化
二作目にして、かなりマンネリ化が進んでおります。
特に物語の流れが前作と一緒で、新鮮味がありません。
最初は子供を助けに行き、子供は生存のために逃げ回るが友人がクモに卵をうみつけられグロテスクな死に方を迎え、さえないぽっちゃり系が主人公の相棒になり、現地市民の前で演説し、最後は特攻のような形で主人公コルトンがボスと戦う…………。
という、大筋が前作と同じなのです。
基本的に同じ展開なので、察しの良い視聴者ほど飽きてしまいます。
主要キャラがそうそう死なないため安心感がありますが、そのためモンスターパニック映画に重要なドキドキ感が失われております。
コメディ寄りの作品なので元々緊張感は薄めの作品なのですが、ドキドキを味わえるのはごく一部のシーンで、あとはダラダラと話が進行します。
体を低温状態にしてのかくれんぼなど、かなりモンスターパニックとして光るものもあるのですが……。
『ボルケーノ・スパイダー』はこんな方にオススメ
『ボルケーノ・スパイダー』は下記のような方にオススメできる映画です!
こんな方にオススメ
- 前作を楽しめた方
- 1980年代および1990年代の映画が好きな方
- 同じような展開でもめげない方
- ゴジラサイズのガルガンチュラをチェックしたい方
- 多少なりとも科学的なリアリティが欲しい方
『ボルケーノ・スパイダー』を視聴できるVOD
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『ボルケーノ・スパイダー』のまとめ
映画『ボルケーノ・スパイダー』について、ご紹介しました。
前作同様、映画『ポリスアカデミー』登場の面々が、さらに攻撃力を増したクモ型モンスター相手に活躍するのが本作です。
今回は科学的な側面が強化されており、ラスボスと化したゴジラサイズの超巨大ラバランチュラは、さすがの迫力を備えています。
しかし、前作とほぼ同じような展開の割に、前作キャラの家族は登場しないという、シリーズものとしてちぐはぐな作品となっています。
次回作でどういう路線をとるのか、その舵取りが注目されますね。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。