男子小学生の発想に基づく「ぼくが考えたサメのすごい映画」であるシャークネードシリーズもはや三作目です。
今回はエクストリームミッションとあり、リアリティを求める視聴者に相当な頭痛をプレゼントする可能性が高いです。
シャークネードと悪ふざけにより、真面目一筋に生きていた人の常識を容赦なく破壊してくれるのでしょうか?
それでは、レビューを行っていきます。
あらすじ・作品情報
無数の人食いザメを巻き込んだ巨大竜巻「シャークネード」の恐怖を描くアサイラム社製モンスターパニックのシリーズ第3弾。
ロサンゼルス、ニューヨークと2度に渡ってシャークネードから人々を救ったフィンは大統領から勲章を授与されることになり、ホワイトハウスを訪れるが、またもや出現したシャークネードがワシントンD.C.を直撃。
ホワイトハウスは崩落し、街中が壊滅してしまう。
一方、フィンの妻エイプリルたちが訪れていたユニバーサル・スタジオ・フロリダにも大量のサメが襲来。
フィンはエイプリルのもとに駆けつけるが、これまでの規模をはるかに上回る最大級のシャークネードが彼らに迫る。
引用元:映画.com
2015年に公開された映画です。
『シャークネード エクストリーム・ミッション』の予告編
『シャークネード エクストリーム・ミッション』の良かったところ
冒頭から吹き荒れる悪ふざけの嵐
映画のつかみとしての冒頭部が、悪ふざけでいっぱいです。
以降の方向性を指し示し、ついていけない人に視聴を切り上げてもらい、悪ふざけテイストが好きな方のハートをわしづかみにする効果的な冒頭部になっています。
まず、知る人ぞ知る目立ちたがりの億万長者、NBAのダラスマーベリックスのオーナーであるマーク・キューバンが大統領役で出演しています。
主人公フィンと一緒にノリノリでサメ退治をする彼は果たして出演料をもらったのでしょうか、それとも支払ったのでしょうか?
ホワイトハウスで主人公フィンが授与されたものに黄金のチェーンソーの爵位というものがありますが、アメリカに爵位なんかない気がしますし、そもそも黄金のチェーンソーの爵位ってなんですか?
銅とか鉄のチェーンソーの爵位もあるの?
そして、授与された黄金チェーンソーが稼働するってことは、後で使わせる気まんまんですよね?
定番と化しているランドマークの破壊も冒頭に行われます。
ワシントンDCに有名なオベリスクがシャークネードによりぽっきり折れ、嵐によって舞い上がり飛来、ホワイトハウスのど真ん中に突き刺さります。


再登場キャラの活躍
シャークネードシリーズを視聴している人にとって嬉しいのが、過去作キャラの再登場です。
今まで全ての作品に登場している主人公夫妻は、妻エイプリルが妊婦になるほどのラブラブ状態。
エイプリルが一作目で見せたワガママぶりは微塵もなく、まるで夫の癖が伝染したかのように人助けのことを考えています。
第一作で対サメの女コマンドーと化していたノヴァは、パワーアップして再登場。
シャークネードを執拗に追いかける専門家となっています。
さらにジェット機まで操縦し、同じく対シャークネードのスペシャリストになっているフィンをがっちりサポート。
戦闘力だけでなく、セクシーな戦闘衣装も見せつけてくれます。
娘クラウディアも、一作目のただ騒いでいるだけの存在から脱却、父親の作戦を援護します。
両親と違ってチェーンソーには頼らず、アサルトライフルを使用しています。



更なる予算更なる規模
三作目となる今回の舞台は、ワシントンDC、オーランド、そして宇宙です。
ついに、空気と重力がないところまで行ってしまいました。
人間もサメも。
どんどん予算が増しているのか、冒頭のホワイトハウス大破壊も派手、オーランドにおけるエキストラ大量動員のUSJパニックも派手、最後にスケール感だけはやたら大きいロケット打ち上げと宇宙進出が待っています。
スペースシャトルと宇宙飛行士はロマンたっぷりの要素なので、リアリティがないとは分かっていてもテンションが上がるシーンです。
他にもテンションが上がる要素として、古代からいるサメのラブカ登場があります。
いかにも人食いザメといった流線型のホオジロザメとは、また趣が異なる不気味なフォルムをしており、古代の生物や深海魚が好きな視聴者は該当のシーンで、「おっ!」と目を輝かせるはずです。
もはやコメディ映画?各所に仕こまれたパロディとネタ
映画007シリーズのパロディで幕を開ける本作は、気前のいいタイ焼きが頭からしっぽまであんこでぎっしりなのと同様、最初から最後までパロディとネタでいっぱいです。
「どこかで見たことある」ものがあふれています。
ホワイトハウスが襲撃された時、巨大な星条旗でサメを迎撃するシーンにはわざわざ壮大なBGMをつけられ、『父親たちの星条旗』的なプレイがなされています。
また、女性軍人役で出ている俳優が、ゾンビもののテレビドラマシリーズ『Zネーション』に出演していることを幸いに、「(サメの方が)ゾンビよりマシ」と言わせたり、サメパニック映画の祖とも言える『ジョーズ』のアトラクションをまぜこんでみたり、劇中の映画にトリプルヘッドジョーズっぽいのものを流してみたりと、やりたい放題です。
極めつけは、スターウォーズのライトセーバー的な刃の光るチェーンソーのお出ましです。
もちろん、ただの飾りではなく宇宙に進出したサメ相手に威力を発揮します。
清々しいほど全力でふざけにきているのです。
ここまで色々なパロディネタを放り込んでくる映画も珍しいね。笑
『シャークネード エクストリーム・ミッション』のイマイチなところ
まだまだ健在家族補正
一作目二作目に続き家族補正が全開です。
主人公フィンの家族以外は高確率で死亡します。
展開が読みやすく、親類以外の登場人物が生き残るかどうかのハラハラ感がなくなる悪しき伝統と化しております。
家族や親類以外ほぼ全滅の中、一作目の人気キャラだったであろうノヴァは例外的に活躍および生存。
ノヴァの相棒的なポジションのルーカスは、これでもかとばかりに無残に殺されています。
一作目のノヴァのように「家族とつきあうことで生存」というルートもあるので、娘のクラウディアと仲良くなったビリーにも生存のチャンスがあったのですが、襲撃を切り抜けたと思いきや、クラウディアをかばって見事な死を遂げました。



人によっては拷問?小学生レベルのエクストリーム悪ふざけ
とりあえずビールならぬ、とりあえずサメ的なひたすらサメが襲撃してくる劇中の世界は、様々な法則や理屈を無視して、ひたすら主人公の活躍を描き続けます。
リアリティ重視の作品が好きな視聴者にとって、本作の強制的な視聴はちょっとした拷問になるかも知れません。
ノヴァの相棒ルーカスが、対シャークネード専用車に取り付けた自爆装置。
あんな屋根の上に安全装置もカバーもなく設置したら、何かの間違いでやがて爆発しますよね?
ルーカスくん本当に頭脳派なの?
ジェット機の不時着状態から姿を現したフィンとノヴァの二人、きれいに服が脱げすぎじゃないですかね?
落下中に服を脱いでいる描写ありましたっけ?
大気圏をなめすぎではないでしょうか?
サメが焦げるぐらいの摩擦熱しか生じない大気圏だったら、もっといろんなものが地上に衝突して大惨事になっていると思います。
サメの体内で大気圏突破と出産をこなすのは、いくら何でも欲ばりすぎでは?
せめてどちらか一つにしてもらえませんか。
真面目につっこんでいたら、軽めのダイエットになるぐらい無茶苦茶な部分が多いです。
このエクストリーム悪ふざけテイストが体質に合わない人は、シャークネードシリーズを視聴しない方が身体のためですよ!
思ったより他力本願なストーリー
一作目も二作目も主人公のフィンがリーダーシップを取り、ガンガン物語を引っ張っていきました。
今回は巻きこまれ感が強く、フィンは対シャークネードの戦闘要員みたいな位置づけになっています。
戦闘機の操縦はノヴァ頼み、宇宙での作業は父のギルバート頼みという状況。
どちらも専門性が高いものなので、技術がある人に託すのは当然なのですが、そのため冒頭におけるホワイトハウスでの無双ぶりに比べると後半は大人しく、尻切れトンボといった印象です。


『シャークネード エクストリーム・ミッション』はこんな方にオススメ
『シャークネード エクストリーム・ミッション』は下記のような方にオススメできる映画です!
こんな方にオススメ
- シャークネードシリーズが好きな方
- 悪ふざけが好きな方
- 様々な作品を視聴している方
- スペースシャトルや古代種にロマンを感じる方
- NBAのダラスマーベリックスを知っている方
『シャークネード エクストリーム・ミッション』を視聴できるVOD
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『シャークネード エクストリーム・ミッション』のまとめ
映画『シャークネード エクストリーム・ミッション』について、ご紹介しました。
順調に(?)悪ふざけの度合いを増やしているシャークネードシリーズの三作目は、映画やテレビ番組のパロディも飛び出すコメディ色の強い作品です。
真面目なサメのパニック映画を期待して視聴してみるとがっかりするものの、エンターテインメント性の高さはシリーズで一番です。
アメリカの映画、テレビ番組、スポーツチームに詳しいとより楽しめる作品になっています。
いろんな意味でアメリカの底力を感じさせてくれる一本です。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事の著者の執筆作品
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