「インパクトのある溶岩(ラヴァ)と巨大クモ(タランチュラ)をくっつけちゃえ!」という発想で作ったと思われるモンスターパニック映画が本作です。
同じくコメディ寄りのサメパニック映画である『シャークネード』シリーズと通じるものがあります。
自然災害の中でもなじみが薄い溶岩(ラヴァ)が、作中でどのように使われているのでしょうか?
それでは、レビューを行っていきます。
あらすじ・作品情報
20年前、主演作が大ヒットして一気にスターダムにのし上がったコルトン(スティーヴ・グッテンバーグ)だが、今やB級作品くらいにしか出演できないほど落ちぶれていた。
過去の栄光にすがる彼はまたしてもスタッフと衝突し、撮影現場を後にする。
頭に血が上ったコルトンがハイウェイを暴走中、突如サンタモニカ山が噴火し……。
引用元:Yahoo!映画
2015年に公開された映画です。
『ラバランチュラ 全員出動!』の予告編
『ラバランチュラ 全員出動!』の良かったところ
噛まれたら即アウト?ラバランチュラの厄介さ
溶岩(ラヴァ)+巨大クモ(タランチュラ)というインパクト抜群のラバランチュラは、見た目通りの厄介な存在です。
巨大なクモが灼熱の溶岩で構成されているような外見をしており、クモが苦手な人の嫌悪スイッチをぐいぐい押してきます。
そして、所々赤く輝くゴツゴツとした体は、生き物というよりロボットに雰囲気が近く、独特の格好良さを放っています。
熱を帯びているのでうかつに近寄れず、炎を吐くため中距離でも危険という攻撃力の高さをもっている上、噛まれると同時に卵を産みつけられ、体内でふかした子グモが被害者の口から出てくるという、登場人物のみならず視聴者の精神にもダメージを与える能力をもっています。
このグロテスクなシーンが、主人公の息子ワイアットの女友達であるジョーダンの身に起きるのが特徴的。
息子の友達なおかつティーンという年齢ながら、作品内で一番むごたらしい死に方が降りかかるという容赦のなさです。
一回でも噛まれると卵を産みつけられ、残酷な死に方が待っているというスタイルは、噛まれると感染して一発アウトのゾンビにも似ていますね。
そして、ラバランチュラのボスキャラ的存在である女王グモは巨大さと攻撃力をあわせもっており、主人候補正がなければ勝てそうにない雰囲気をもっています。
コルトンVS女王グモは物語の幕をしめるのに相応しい派手な戦いなのです。
お祭り感あり?家族以外も団結しテンションと攻撃力アップ
似たようなコンセプトの映画である『シャークネード』シリーズは、強烈な主人公および家族補正があり、他のキャラクターは添え物扱いでした。
しかし、本作では主人公と血縁関係がなくても、活躍の場が与えられています。
1980年代のコメディ映画である『ポリスアカデミー』に登場した面々が姿を現し、活躍していきます。
他にも有名俳優がカメオ出演したりと、全体的にお祭り感があり、テンションが高いまま終盤までなだれこむ流れになっています。
また、旧知の仲でなくとも、たまたまバス運転時に知り合ったクリスと意気投合し相棒化するなど、家族以外のキャラを迎え入れ、その能力を高める素晴らしい主人公ぶりをコルトンは見せています。
家族仲の良さもしっかり描かれています。
そもそも、最初の目的が息子ワイアットを救うこと。
同じように息子を捜していた妻オリビアとも途中で合流し、見事ワイアットの元へたどり着きます。
家族が一同に介してからは、LAを襲う未曾有の災害に対応するため市民と団結し、演説をかまして皆のテンションを上げながら、その対処にあたります。
テンポよく放りこまれるネタ
パニック映画の中でもだいぶコメディ寄りの作品なので、所々でネタを放りこんできます。
同じテイストを持つ『シャークネード』シリーズからは主人公フィンが登場し、本作の主人公コルトンから助力を求められるも、「サメ退治が忙しい」と断ります。
『ポリスアカデミー』シリーズでもおなじみの声帯模写が本作でも炸裂。
芸達者ぶりを見せつけてくれます。
個人の能力を生かした芸だけではなく、ど直球の下ネタも家族の中で行われる始末。
息子の前で「母さんはでかいのが好きなんだよ」「そうよ」というやりとりは、アメリカの底抜けにオープンな感じが出ております。
日本の家族では考えられないような下ネタのやりとりですね。笑
LA市民を団結させるため演説をするシーンでは、都市を代表するマイナースポーツチームがネタにされています。
実際にNBAの中でも、「レイカーズじゃない方」の扱いを受けがちなクリッパーズがその餌食に。
市民から「クリッパーズ忘れないで」的な発言をされ、慌てて発言を訂正する流れはニヤリとさせられますね。
州兵出動による軍用車両の登場
本作では大都市を襲った危機に対して、州兵が出動しております。
そのあたりは意外なほどリアルで、真面目な作りとなっています。
そして、州兵出動時にあわせて軍用車両も駆り出されており、ミリタリー好きでなくとも、機能を最優先しながらも、どこか男性的な造形美を感じさせる車両の姿にテンションが上がります。
かなりリアルに描かれており、こだわりを感じさせる要素です。
『ラバランチュラ 全員出動!』のイマイチなところ
CGがいまひとつ
インパクトと攻撃力をあわせもつラバランチュラですが、いかんせんCG感が強いです。
ラバランチュラ単体で描かれている時はあまり違和感を覚えないものの、背景の中で動かすと途端に不自然さが出てきます。
予算をじゃぶじゃぶつぎこんだ超大作ではないので仕方ないとはいえ、ラバランチュラの造形自体はしっかりしているだけに惜しいです。
アクションシーンにおける動きの軽さも出てしまっています。
ポリスアカデミーを知らないと魅力ダウン
1980年代のヒット映画『ポリスアカデミー』シリーズを知らないと同窓会的な雰囲気を味わえないので、その世代でないと作品を100%楽しめない作りになっています。
また『ポリスアカデミー』シリーズの主要キャラが全員集まっているわけではないので、ミニ同窓会的な感じですね。
途中まで視点移動が忙しい
一家が合流するまでは、父コルトン、母オリビア、息子ワイアットそれぞれの視点を移動しながら物語が進んでいきます。
途中まで三人の視点をジャンプしながら物語が描かれるので、ラバランチュラによる災害の全体像は確かに把握しやすいものの、視点移動がせわしなく、一人のキャラに感情移入して映画を楽しむ人にとっては視聴しづらい作品となっております。
家族それぞれの奮闘ぶりは描かれているものの、慌ただしい印象は否めませんね。
銃撃で対処できるラバランチュラのもろさ
溶岩が冷え固まったかのような雰囲気の姿をもち、かなり防御力が高そうなラバランチュラですが、銃撃が通用する体のもろさを持っています。
銃撃が通用するのであれば、女王をのぞく一般のラバランチュラは訓練された軍隊で事足りるので、純粋な迎撃戦において冷却を武器とする主人公のアドバンテージはありません。
冷却系の武器しか通用しないのであれば、主人公グループのみが危機を打開し、ラバランチュラを撃滅できるのも納得なのですが、通常の弾丸が通用するのであれば主人公だけが活躍できる展開の説得力は減ってしまいます。
通常の弾丸がきかず、軍が役に立たないような設定の方が良かったのではないでしょうか?
『ラバランチュラ 全員出動!』はこんな方にオススメ
『ラバランチュラ 全員出動!』は下記のような方にオススメできる映画です!
こんな方にオススメ
- 『ポリスアカデミー』シリーズが好きな方
- ラバランチュラのいかつい造形を確かめたい方
- テンションが高い作品が好きな方
- 脇役が活躍する展開が好きな方
- アメリカの映画やスポーツチームに詳しい方
『ラバランチュラ 全員出動!』を視聴できるVOD
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『ラバランチュラ 全員出動!』のまとめ
映画『ラバランチュラ 全員出動!』について、ご紹介しました。
地面の亀裂やモンスターが炎を噴出するぐらいしかラヴァ(溶岩)要素がない本作ですが、噛んだ人間に卵を産みつける容赦のなさを、LAに突如出現したラバランチュラはもっています。
脇役もきっちり活躍するスタイルで、物語はテンションの高いまま進行します。
『ポリスアカデミー』が好きな視聴者なら+1点となるコメディ寄りのパニック映画ですね。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。