プエルトリコの美しい海で、多頭のサメが大暴れするパニック映画が本作です。
複数の頭をサメによるパニック映画のシリーズも今作で三作目。
マンネリ化からはうまく逃れられたでしょうか?
それでは、レビューを行っていきます。
あらすじ・作品情報
「ダブルヘッド」「トリプルヘッド」を陵駕する進化系サメが襲い来るモンスターパニック。
観光客で賑わうプエルトリコのパロミノス島で、人間がサメに襲われたという通報が地元警察に入る。
現場に残ったカメラには、頭が4つあるサメが写った写真が…。
引用元:Amazon
2017年に公開された映画です。
『ファイブヘッド・ジョーズ』の予告編
『ファイブヘッド・ジョーズ』の良かったところ
ファイブヘッド・ジョーズの異様さと暴れぶり
このシリーズでは多頭の上に、捕食のためというより殺戮のために暴れ回るサメが多大なインパクトを残しています。
今回も凶悪かつ異様で、予想以上の暴れぶりを見せてくれます。
まず「四つしか頭ないのにファイブヘッド!?」と見せかけておいてから、まさかのしっぽ頭です。
文章でしっぽ頭と書いてもピンとこないかも知れませんが・・・。


今作は前作と比べ、人間だけじゃなく、他のサメやザトウクジラまで襲って凶悪性アップをアピールしています。
極めつけは主人公たちを救助にきたヘリへの大ジャンプと撃墜。
ヘリへのアタックは過去のサメパニック映画でも見られますが、生存への希望にわく主人公たちを絶望の底に突き落とすヘリの墜落はやはり印象的です。
さらに本作の五つ頭は、スクリューを率先して壊しにいく頭脳プレイを仕掛けている可能性も浮上しており、実に厄介な敵として描写されています。


いままでにない合同作戦とテイスト
これまでのシリーズは、巻きこまれた人員が生存を目指すというシンプルな物語でしたが、今作は凶悪ザメの撃滅(できれば捕獲)を狙って出発します。
サバイバルものではなく、冒険ものに近いノリになっています。
特にサメハンターレッドへ助力を頼んだり、地元警察との合同作戦は、今までにない攻めの姿勢です。
一応科学的根拠にもとづく作戦も設定されています。
サメをどついて回るほど強いイルカの声(?)を利用して目標を追い詰め、爆雷で仕留めようというもの。
エンジンかみつきによる自爆や、汚染ゴミによる食欲アップによる自滅を狙った過去作と比べると、かなり真面目なのです。
追いこみ用音声が機能しなくなったあと、ハンターのレッドが特攻して仕留めるのはご愛敬です。
「結局は肉弾かよ!」と言いたくなりますが、物語中でレッドのタフさについては触れられていますし、策が尽きたあとなので仕方ないと思います。
レッドが生還したあとのハッピーエンド風の締め方も、過去作にはない味付けで、視聴後の爽やかさを演出します。
嫌われ者の館長がもり打ちに成功してドヤった後、きちんと死ぬのも良かったですね。
プエルトリコの美しい海
今作の舞台はプエルトリコの海です。
主人公が属する水族館グループ以外にも、地元警察やサンゴの保護団体、観光客がそれぞれの立ち位置から雄大で美しい海に接します。
自然描写はこれまでよりずっと強化されていて、特に夕陽が海原を朱に染める美しさは、定番だと分かっていても心洗われるものがあります。
保護活動のダイバーが海底でサンゴを調査するシーンでは、海中の様子がうかがえます。


観光客はビーチやボートから海を眺め、地元警察は海岸やボートから海面を警戒、主人公たちもボートに乗って凶暴かつ異様なサメを追います。
海面、海中、浜辺と様々な海の美しさを描写していくのです。
どんどんサービス精神が増えるヨー博士
何かの罰ゲームなのか、それとも自慢のボディを披露したいだけなのか、どんどん主人公のヨー博士の露出が増えていきます。
最初は研究室内におさまるメガネ姿だったのが、海に出るとメガネを捨てて軽装になり、胸の谷間を見せつけてくれます。
冒頭にセクシーな水着モデルたちの撮影会がありますが、まるでそれに対抗するかのように物語が進むにつれ身軽になっていき、最後はアピールの激しい赤い水着になってます。
プエルトリコの海洋研究者は赤い水着を身につける決まりでもあるのでしょうか?
どうにもバカンスを思わせる格好です。
このヨー博士は「室内に閉じこもっているばかりの研究者にあらず!」と言わんばかりに、鍛えたであろう腹筋を披露してくれます。
博士なのにアスリート体型というギャップはとても魅力的なのです。
『ファイブヘッド・ジョーズ』のイマイチなところ
サメを追うボート小さすぎない?笑
研究用のデータ採取を目的とした水族館のボートならいざ知らず、サメハンターや地元警察のボート小さすぎませんかね?
麻酔で眠らせてから引いていくとハンターのレッドは言っていますが、ファイブヘッド・ジョーズの大きさが判明してからも、あのボートのサイズで行くのは無謀にも見えます。
地元警察も沿岸警備隊的な役割も担っているのなら、あのサイズは心もとないです。
パトロール中に密漁船と交戦する可能性もありますし、もっと頑丈な船で対応してもらった方が、リアリティも出ますし、映像としての迫力もアップします。
小回りがきく方が大事なのでしょうか?


船べりへの歩みは死への13階段
今までのシリーズも、頭の数だけ並ぶとサメに襲われるパターンがありました。
多頭アピールをするためのやむなき演出でもあります。
今作で暴れ回るファイブヘッド・ジョーズは最初こそ並んだ人間を一気に平らげたものの、以降は人数にこだわらない襲撃を見せております。
人間が並んだときに襲われるパターンは減ったものの、別パターンがうまれ、似たようなシーンが繰り返されます。
それは、乗員が不用意に船べりにいって、そのまま襲われたり衝撃で落下するケースです。
ファイブヘッド・ジョーズにやられる時はほぼこのパターンで、ふらふらと船べりに行ってはサメに殺されます。
船べりに向かってトコトコ歩いていく様子は、死への13階段をのぼっているかのよう。
すでに前例を目撃して危険なのを分かっているはずの人物も、大した理由もなく海をのぞきにいきます。
斬新でもユニークな死に方でもないので、このパターンはすぐ飽きがきます。


いくら何でもムチャクチャなしっぽ頭
序盤で多頭のサメについて、「こんなので生きていけるわけがない」と冷静なツッコミがされていましたが、常識にケンカを売るがごとく、今回のサメは五つ頭がある上にその一つがしっぽについています。
もう突然変異を通りこして妖怪化しています。
いましたよね、後頭部に口がある妖怪。
もう水木しげるワールドの仲間入りをしたらいいじゃないかな?笑


『ファイブヘッド・ジョーズ』はこんな方にオススメ
『ファイブヘッド・ジョーズ』は下記のような人にオススメできる映画です!
こんな方にオススメ
- 多頭サメシリーズが好きな方
- 美しい海の景色を楽しみたい方
- まさかのしっぽ頭を見てみたい方
- ヨー博士が身軽になる様子を確認したい方
- リアリティよりインパクト重視の方
『ファイブヘッド・ジョーズ』を視聴できるVOD
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『ファイブヘッド・ジョーズ』のまとめ
映画『ファイブヘッド・ジョーズ』について、ご紹介しました。
いくらか科学的な要素を持ち出すものの、結局はファイブヘッド・ジョーズの凶暴さとインパクトに頼ってしまうサメのパニック映画が本作です。
今までのシリーズに比べると、格段に映画としての構成が良くなっており、CGの質も向上しています。
ハンターを雇って自分たちでサメの追跡と捕獲を狙うところなどは、海洋ロマンを感じられる作りとなっています。
ハンターを雇う要素やヘリが撃墜されるところは、サメパニック映画の祖とも言える名作『ジョーズ』へのオマージュが感じられますね。
過去作に比べ、娯楽作品としてもだいぶレベルが上がっている印象です。
ヨー博士の鍛えられたボディも格好いいです。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。
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