多頭のサメがひたすら人間を襲う『○○ヘッドジョーズ』シリーズの二作目が本作です。
「頭がたくさんある方が強くね?怖くね?」というノリで作られたであろうサメのパニック映画は、科学的なリアリティがないがしろにされがちです。
今作は三つの頭をもつサメの誕生に、どのような解説がなされているのでしょうか?
それでは、レビューを行っていきます。
あらすじ・作品情報
3つの頭を抱えた巨大サメが迫り来るモンスターパニック。
海洋生物学を専攻するマギーは、水深800mに位置する研究所に入所する。
ところが到着早々、3つの頭を持つ巨大サメが施設に体当たりをし始める。
即座に緊急避難命令が出されるが…。
引用元:Amazon
2015年に公開された映画です。
ダブルヘッド・ジョーズと同様のシリーズ物になります。
『トリプルヘッド・ジョーズ』の予告編
『トリプルヘッド・ジョーズ』の良かったところ
前作より施設とサメが立派に
物語はゴミによる汚染を調べる海洋研究施設で始まります。
低予算ながらも工夫を凝らしており、海洋研究所もそれらしく見え、前作の無人島に比べるときっちり作られている印象です。
また、肝心要であるサメの質感も向上しており、生々しさと躍動感が感じられるようになりました。
元々サメは話が通じなさそうな顔をしているので、ややもするとマシンのようなつるつる感が出て、生き物らしさが失われてしまいます。
殺戮マシン的な有無を言わさぬ怖さに加え、今回は生物としての猛々しさもいくらか出ているのです。
いくらか科学的に?汚染と攻撃衝動
海洋施設に勤務する研究者がいる冒頭で、トリプルヘッド・ジョーズが誕生した理由が説明されています。
突然変異の一言で済ませた前作よりはリアリティがありますね。
国際的な問題にもなっている海の汚染による突然変異が誕生理由となっています。
また、汚染による攻撃性の上昇もあわせて語られ、トリプルヘッド・ジョーズが捕食のために人を襲うのではなく、施設への攻撃もふまえ見境なく暴れる理由も納得いくものになっています。
ダニー・トレホのマチェーテがきらめく
B級映画にも出演してくれる、インパクト大の風貌をもつダニー・トレホが見せ場を作ってくれます。
クエンティン・タランティーノ監督の作品『グラインドハウス』内におさめられたフェイクCMの映画『マチェーテ』が、嘘から出た誠状態で実際に制作された事実を知っている映画ファンは、トリプルヘッド・ジョーズに肉薄されたダニー・トレホがマチェーテをふるうシーンに狂喜すると思います。
私もテンション上がりまくりでした。
ありがとうメガネ。ありがとう谷間
前半限定ではありますが、メガネをかけた女教授が秘められた色気をふりまいてくれます。
いかにもエロそうな露出の高い人物ではなく、真面目でおかたそうなキャラからこぼれる色気は、独特の味わいがあります。
メガネの知的な女教授が、シンプルな白いシャツをぱっつんぱっつんにして着ているシーンからは、制作陣の性癖がうかがえます。
秘められたエロさばかりではなく、中盤以降はパーティー船が登場し、「薄味の料理だけじゃつまらないでしょ?」とばかりに水着女性がどんどこ出現します。
これぞサメ映画と言わんばかりに大勢の水着女性が登場してから、トリプルヘッド・ジョーズがパーティー船に突撃し、船はどんどん傾き沈んでいきます。
その過程で負傷者がうまれ、介抱するシーンがあるのですが、介抱のためにかがむためかやたらと谷間が拝めるありがたい流れになっています。
胸の谷間が好きで好きで仕方がない人にとっては、五秒ぐらい寿命が延びるんじゃないかと思うほどです。笑
趣のことなるサービスが用意されている、ある意味技巧派の作品ですね。
『トリプルヘッド・ジョーズ』のイマイチなところ
別映画になっちゃうよ。漁船に大量のアサルトライフル
主人公たちが無線で助けを求めた漁船に、なぜか大量のアサルトライフルが収納されています。
ハンドガンなら護身用、サブマシンガンでも警護用の武器、ライフルやショットガンなら狩猟用として扱えるものの、アサルトライフルをあんなにもっているのは異常です。
しかも、安価なため紛争地帯に出回っているAK-47ではなく、お高めのしっかりとした軍用アサルトライフルなのです。
バイオレンスあふれる映画によく出演するダニー・トレホが船長をしていることもあって、考えられる可能性は漁船の偽装をしつつ、軍事品の横流しをしているケース。
そうなると、ダニー・トレホを悪役にすえた、沿岸警備隊が主役のクライムアクション映画になってしまいます。
ダニー・トレホ=バイオレンス=物騒という図式に従い、特に考えもせずアサルトライフルを積んだのでしょうか?
いくらダニー・トレホが存在感抜群とはいえ、あくまで主役はサメですよ・・・。
科学の皮をかぶった何か
前作よりは科学的な説明はなされますが、あくまで前作と比べての話です。
ちゃんとした予算と真面目さをあわせもつ作品と比べたら、その粗末さは隠しようがありません。
なぜ陸地にのぼって活動できるかの説明はありませんし、いくら突然変異があったからといって、失われた頭が再生し、更に分裂するのは科学的なリアリティをぶん投げています。
「インパクトのあるサメがバーンと出て、水着のおねーちゃんをガーッと襲って、血がビュービュー出て、みんながワーッと逃げて、建物がドーンと爆発すればいいんだよ!」と制作陣が本気で思っていそうなのが、ヒャーッと怖いです。
いっそギャグにふりきって欲しい雑なつくり
映画に対してツッコミを全力でいれる人にとっては、体力の消耗が著しい作品です。
とにかく頭脳プレイが少なく、全体的に雑で頭が悪いです。
「自分が引きつけるからその間に移動して」と、まるで立派な作戦のように言って泳ぎ出す登場人物がいますが、正直ただの自殺です。
しかもこの人、頭脳ありきの職業である教授なんですよね。
この世界の教授ってのは、脳筋をさす言葉なのでしょうか?
トリプルヘッド・ジョーズの攻撃を受けたパーティー船、何度も傾いて沈没しかけているようなカットが挿入されますが、油断すると沈没しかかっていたはずの船が、まともに航行できそうなぐらいに復帰しています。
そんな状態で「沈没しちゃう!」と言われても、緊張感は一切出ません。
ゴミを一杯食わせれば、共食いを起こすに違いないという理論はガバガバすぎます。
その理論が通用するなら、今までに何度かトリプルヘッド・ジョーズが死んでいませんか?
せめて前半の研究施設でその実例を出していればまだリアリティがあったのですが・・・。
サメの体当たりを食らったパーティー船から、勢いよく一人ずつ船外へ飛び出していくのはわざとらしいので、やめてください。笑
黒ヒゲ危機一髪じゃないんですから・・・。笑
船外へ飛び出す時の勢いとサメ映画としての面白さは正比例しません。
片手をサメにもってかれたはずのスタンリー、泳いでいる時に手が生えていませんか?
まともに整合性がとれないのなら、いっそギャグに振り切って、手に大砲を生やしたスタンリーがトリプルヘッド・ジョーズ相手にぶっぱなす展開にして欲しかったです。
『トリプルヘッド・ジョーズ』はこんな方にオススメ
『トリプルヘッド・ジョーズ』は下記のような方にオススメできる映画です!
こんな方にオススメ
- サメ映画が好きな方
- 秘められた色気が好きな方
- ツッコミの練習をしたい方
- ダニー・トレホや『マチェーテ』のネタを知っている方
- リアリティよりインパクトを重視する方
『トリプルヘッド・ジョーズ』を視聴できるVOD
『トリプルヘッド・ジョーズ』が見放題対象となっているオススメVOD(ビデオ・オン・デマンド)は、U-NEXTです!
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『トリプルヘッド・ジョーズ』のまとめ
映画『トリプルヘッド・ジョーズ』について、ご紹介しました。
前作よりも科学的な説明がなされたものの、全体的に作りの粗さが見てとれるのが本作です。
B級映画でおなじみのダニー・トレホがマチェーテをふるうなど、映画ファンに対するサービス精神は旺盛で、作品にリアリティを求めるか否かで評価に揺らぎがうまれる作品でもあります。
真面目にきっちりと視聴すると頭が痛くなる恐れがあるので、ゆる~い気持ちでツッコミながら観たい作品ですね。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事の著者の執筆作品
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