「思いもよらない展開」を前面に押し出しているホラー映画が『サプライズ』です。
超自然的なものが登場するのか、それともリアリティ重視の作品なのか、タイトルとなっている『サプライズ』がどんなものなのか、視聴前から想像が膨らみますね。
それでは早速ネタバレ、評価を行っていきます。
あらすじ・作品情報
両親の結婚35周年をみんなで祝福するため、息子のクリスピアン(AJ・ボーウェン)と恋人エリン(シャーニ・ヴィンソン)をはじめ、久しぶりに家族が顔を合わせる。
だが、彼らの一家団らんの時間は、ヒツジやキツネやトラのマスクをかぶった集団が押し入ったことにより突如終わりを告げることになる。
いきなりの襲撃に誰もがパニック状態に陥るが……。
引用元:Yahoo!映画
アニマルマスク集団が襲撃を見せるホラー映画です。
本作品はR15指定となっています。
『サプライズ』の予告編
『サプライズ』の良かったところ
前半部の謎多き殺人ラッシュ
導入部でつかみとして殺人が行われる上に、前半部もいったん惨劇の幕が上がると立て続けに殺人が起きます。
そのペースは恐ろしく早く、結婚記念日に集まった面々がみるみるうちに減っていきます。
一家をつけ狙っているようなカメラワークはあるものの、理由が示されないまま一人、また一人と減っていく様子は殺戮の暴風雨といった様子。(嵐というほどではない)
うかうかと単独行動をした者、フラグを立てたものからさくさく殺されていきます。
ホラー映画の演出として一役かっているのがアニマルマスクです。
前半部では殺人者たちの正体や目的がわからぬまま進行し、その不気味さ冷酷さを、返り血を浴びて赤くなっていく白い仮面が引き立てます。
マスクは装着者の表情を隠し「もしかして超自然的な存在なのでは?」と襲われた人々や視聴者に想像させます。
効果抜群のホラーアイテムなのです。
後半部の女ランボー
親の教育によりサバイバルエリートとして育った事実が明かされた主人公のエリンが、後半は女ランボーと化して逆襲します。
「アメリカ人はゾンビが発生した時の対策を本気で考えている」みたいな話もあるので、サバイバルを考えて生活している人がいても、不自然な設定でもないんですね。
終盤のエリンはサバイバルや正当防衛という言葉ではおさまらない激しさの活躍をし、その鬼気迫る様子は「どっちが襲われている側だっけ?」とうっかりすると忘れてしまうほど。
それぐらいの表情、返り血、えげつない攻撃なのです。
特に、窓からダイブするシーンはアクションスター顔負けで、一番のダメージを襲撃ではなくダイブで負うというオマケつき。
ガラス窓からのダイブは筆者のイメージするサバイバル教育の範囲を超えているのですが・・・。
最近科目に加わった?笑
さらりと配置された伏線
殺人者たちの正体につながる伏線が、さらりと配置されております。
無理のない伏線のため話の流れはとてもスムーズに。
父は金持ちという設定、兄弟仲の悪さを感じさせる会話、場の雰囲気にそぐわない三男彼女ジーの存在や態度と、たびたび出て来る「家にいた方がいい」発言や導入部の殺人までしっかり伏線として組みこまれております。
カメラワークの使い分け
場面によってカメラワークを使い分け、ホラー映画としての演出を工夫しています。
基本的には主人公エリンの視点で話が進むのですが、リアリティを重視したい時はPOV(主観カメラ)風に画面を揺らし、臨場感を演出。
また、襲撃者側の外からのぞくような視点も用意されていて、主人公たちが「つけ狙われている」様子を表現しています。
冒頭から見せてくれるセクシーさと伏線
冒頭から二つの意味で始まっており、ホラー映画の大事な要素である「エロとグロ」、言い換えれば「生と死」が惜しげもなく登場します。
人類が生命を後世に伝えるためにはエロいことが必要ですし、その対比としてグロ(グロテスク=死)が存在します。
象徴的なホラー映画の要素を詰めこんだだけでなく、この襲撃自体が伏線なのも気が利いております。
そして最初はみなさんの前にこんにちはしていたものの、それ以降はシャツのすきまから見え隠れするセクシーさが、監督のチラリズムに関するこだわりを感じさせます。
『サプライズ』のイマイチなところ
後半の女ランボーパートがあまり怖くない
怖くないのはホラー映画として致命的です。
襲撃者の正体が明かされ、その目的があらわになった後半部はあまり怖くないです。
殺人の目的がありきたりな遺産相続による金銭トラブルという点も、俗っぽくてすごみを感じません。
せめてもっと冷酷で話が通じないような人間だったら、襲撃者の怖さがある程度キープできたと思うのですが・・・。
もちろん、後半部が怖くないのはエリンが強すぎるから。
一人で襲撃者たちを返り討ちにし、迫力や形相という意味においては襲撃者を上回るすごみをもっています。
ラスト近くで、ミキサーの機能を使って人を倒した時には、「そういうギミック使って殺すのって殺人鬼サイドの仕事では?」と思ってしまいました。
単独行動とりすぎでは?
集団内に内通者がいて、それを促しているとはいえ、あまりにも単独行動しすぎチームワークなさすぎです。
特に家の中に殺人者がいるとわかってからも単独行動にいそしむのはどうも理解できません。
アメリカの個人主義が関係しているんでしょうか?
特に、一人走って助けを呼びにいくと言い出す無謀な長女エイミーをちゃんと止めようとせず、案の定彼女は出オチみたいな死に方をしてしまいます。
団体行動をしておけば色々と惨劇を防げたはずなのに、まんまと相手のペースに乗りすぎです。
「もし、みんな日本人で集団行動にいそしんでいたらどう展開するんだろう?」なんて視聴中考えてしまいました。
もちろん日本人は日本人で、「これからどうすべきかの会議が進まず物語が異様に長くなる」可能性もありますが・・・。
キャラクターに感情移入しづらい
一家のはずなのにチームワークがなく、登場人物が好き勝手にわめくのが多いこの映画だと、キャラクターに感情移入しづらいです。
感情移入できないと、主人公たちの安否がどうでもよくなるので、ホラー映画の醍醐味であるドキドキやハラハラに欠けてしまいます。
父ポールは影がうすく、母オーブリーは精神的に不安定、長男夫妻は性格が悪く、次男クリスピアンと三男フェリックスは酷薄。
唯一長女エイミーだけ明るくてまともそうですが、早々に退場してしまうんですね。
せめて長男の性格が鬼のように悪い様子をうまく描けていれば、次男三男にもいくらか同情できたのですが・・・。
一番感情移入しやすいキャラだったエリンも、後半は女ランボーと化し、殺人者サイドがひくほどの攻撃力を披露するため、応援する感じではなくなってきます。
心配が不要に思えるほど強く、そして殺人者サイドよりむごたらしい殺し方をするのです。
また、玄関にトラップを仕掛けた際、戻ってくると言ったクリスピアンのことを考えていたのが不明で「愛する人のために戦う」感じでもなく、感情移入しづらいという意味で主人公失格となっています。
『サプライズ』はこんな人にオススメ
『サプライズ』は下記のような人にオススメできる映画です!
こんな方にオススメ
- リアリティ重視の作品が好きな方
- 展開が早い話が好きな方
- 戦う女性が好きな方
- 感情移入しなくても物語を楽しめる方
- リベンジや逆襲といった展開が好きな方
- チームワークの大切さを学びたい方
- 怖すぎる作品が苦手な方
『サプライズ』の口コミ
#映画 『 #サプライズ 』鑑賞。出来以前の問題だということが判明した…やっぱ怖いの苦手なんだよ!!まぁ本作は超常的なホラーではないけれど、でもね。音楽のテイストが変わって以降は、『ホーム・アローン』で『ターミネーター』をやるって感じで楽しめた。
— やましなゆうすけ (@battamon_23) 2013年11月19日
『サプライズ』を視聴できるVOD
『サプライズ』が見放題対象となっているオススメVOD(ビデオ・オン・デマンド)は、下記の通りです。
オススメVOD
- Amazonプライム・ビデオ
- U-NEXT
Amazonプライム・ビデオ
Amazonプライム・ビデオは月額400円と非常に安価で、多くの映画やドラマ、アニメなどを視聴することができます。
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『サプライズ』のまとめ
前半部は謎の集団による殺人劇、後半部は女ランボーによる逆襲劇とはっきり分かれているのが『サプライズ』です。
リアリティ重視の作品で、導入部から伏線を用意している計算高さがあります。
とはいえ、後半部が感情移入しにくく主人公と一緒にハラハラドキドキできない大きな欠点があります。
視聴者の心理までは計算できなかった惜しい作品ですね。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事の著者の執筆作品
著書名:オブザデッドレビュー34発
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