予知によって惨劇から間一髪のがれた人々が「死ぬべき運命」によって、一人また一人と特殊な死に方をしていくのが、ファイナル・デスティネーションシリーズです。
今作はその四作目にあたります。
舞台はサーキット場、いかにも危険そうなこの場所でどんな死の連鎖がスタートするのでしょうか?
あらすじ・作品情報
ガールフレンドのロリ(シャンテル・ヴァンサンテン)ら友人たちと訪れていたサーキット場で、レースカーがクラッシュして炎上し、会場が惨劇の舞台になるという予知夢を見たニック(ボビー・カンポ)。
周りにいた数名とともにサーキットを離れ、難を逃れたニックたちだったが、死の運命を免れることはできず……。
引用元:Yahoo!映画
2009年に公開された映画です。
なお、本作品はR15指定となっていますので、ご注意ください。
『ファイナル・デッドサーキット 3D』の予告編
『ファイナル・デッドサーキット 3D』の良かったところ
映画史上屈指の「痛そう」なオープニング
凝ったものや印象的なオープニングは数多あれど、「痛そう」と形容されるオープニングはそうありません。
今作では映画史上屈指の「痛そう」なオープニングが展開されます。
レントゲン写真的な骨格のみが見える表現で、過去作の死にざまを俳優や制作陣の紹介と共に流していきます。
過去作を知っている視聴者ほど楽しめるという、こだわりのオープニングなのです。
このオープニングを見ただけで、登場人物に尋常じゃない死にざまが待ち受けていることが分かるのです。
痛そうといってもレントゲン風なので、血がドバドバ出るわけではなく、色づかいも工夫されていてスタイリッシュな仕上がりなのもいいですね。
分かりやすいキャラの描き分け
通常のホラー映画以上に、ファイナル・デスティネーションシリーズは登場人物がコンスタントに死んでいきます。
退場のペースが早いため、ゆっくりと人物を描く時間はありません。
ステレオタイプと呼ばれても、外見を含めてきっちりキャラを描き分け、視聴者が人物と名前を把握する前に全滅なんて事態は避けたいところ。
今回の登場人物は主人公を含む大学生と、予知の騒動に巻きこまれた人なのですが、ちゃんとキャラの描き分けに成功しています。
主人公と恋人ローリの真面目コンビ、性欲ビーストの友人ハントに、女子力高そうな友人ジャネット、ナイスガイな警備員、繊細なところもある整備士、子供たちのマイペースな母親、逆恨みの人種差別男、みんな雰囲気が異なります。



シリーズ伝統、多種多様な死にざま
ファイナル・デスティネーションシリーズといえば、ありえないほどの偶然が積み重ねられた、個性的な死にざまが有名です。
私は偶然の連続による死亡の連鎖を、ピタゴラスイッチならぬピタコロすスイッチなんて呼んでいるのですが、今回もスイッチは絶好調、予知によって助かった人をどんどん毒牙にかけていきます。
まずはあいさつがわりのフライングタイヤ。
そのスピードとグロテスクさで、最初からとばしていきます。
逆恨みの差別主義者は、差別され迫害を受けた人々が見舞われていたように、鎖を足に巻かれて道路上を引きずられたり、火をかけられたりします。
危険が一杯にも見える美容院から脱出できたと思ったら、シンプルな石ハネにやられる、子供たちの母親。
友人ハントは、性欲炸裂キャラにふさわしい(?)内臓をお尻からすぱすぱ吸われるという珍妙かつベリーハードな死にざま。
整備士は、危険な整備工場から離れたものの、タンクがとんできて体がサイの目状に。



まさかの二段がまえ!後半にもう一つの予知
惨劇を回避するための大きな予知は、いつも序盤の一回だけなのですが、今回はまさかの二段がまえ!
佳境に差しかかる時に、映画館での惨劇を予知します。
二回目の大きな予知となるとだれそうなものですが、思ったほどダラダラ感はなく、展開はスピーディーかつスリリング。
恋人のローリを助けるため、主人公のニックが奮闘します。
「死ぬべき運命」の妨害をかいくぐりながら、痛みに耐えて映画館の惨劇を食い止めようとするニックの姿には心うたれます。
『ファイナル・デッドサーキット 3D』のイマイチなところ
雑になってきた?フェイクからの単純キル
シリーズのマンネリ化を打破するため、一風変わった死にざまをチョイスする以外に、いかにも危険そうなピタコロすスイッチをフェイクとして利用し油断させたあと、死に神の鎌が一閃するパターンが存在します。
このフェイクを入れるパターン、アクセントとしては非常に優秀なのですが、今回はこれが多く、個性的な死にざまのバリエーションが減っている印象です。
最初は予想を裏切る形でやってくるので、制作陣の工夫を感じられるものの、そればかりだと食傷気味になってきます。
一回目の石ハネはともかく、二回目の交通事故は「またか」という感じ。
ラストを飾るトラック突入にいたっては、「やりすぎ、そして雑すぎでは?」とげんなりします。
伏兵的に生存していたカウボーイハットの男も、死の原因となったのは蛇口の閉め忘れという人為的なうっかりミスですし、全体的に雑な印象を受けるのです。
3Dのため?多用される一部の演出
今作は3Dに対応しているためか、物体が奥から目の前に迫ってくるような演出が多いです。
序盤にサーキット場からタイヤが猛烈な勢いでとんでくるシーンは、今作を象徴するつかみとして成功しています。
ガスボンベがとんできて、人がサイの目状になるシーンも、おかわりということで許容できます。
ただ、スクリーンの奥で爆発が起き、映画の観客目がけて色々とんでくる頃にはおなか一杯です。


ヒロイン力不足してない?
グロ系サービス(?)は充実しているものの、セクシー系のサービスは大人しめ。
そもそもヒロイン扱いのローリがいい子すぎて、刺激が少ないというか退屈な感じです。
お嫁さんにするとしたら抜群に魅力的ですが、ホラー映画の中では薄味の印象です。
真面目一筋のためか、サービスシーンもないです。
女友達のジャネットは、危機を迎えて泣き叫ぶという点ではホラー映画的なヒロイン力をもっているものの、一度助かってからはややワガママになり、視聴者にイライラを配布してくれます。
ヒロインとその友達がこの有様なので、一番視聴者にサービスしてくれたのが、性欲男子ハントの相手をしてくれた、見ず知らずのおねーさんという事態に。
サービスショットを拝ませてくれたものの、その後ストーリーに関わるわけでもなく、彼女をヒロイン扱いするのは乱暴すぎます。
ホラー映画の魅力を引き立てるヒロインの力という点において、シリーズ内でも控えめの印象です。
『ファイナル・デッドサーキット 3D』はこんな方にオススメ
『ファイナル・デッドサーキット 3D』は下記のような人にオススメできる映画です!
こんな方にオススメ
- ファイナル・デスティネーションシリーズが好きな方
- 死に神のフェイクを楽しみたい方
- 映画史上屈指の「痛そう」なオープニングを確かめたい方
- 珍妙な死にざまをチェックしたい方
- 3D機能を楽しめる方
『ファイナル・デッドサーキット 3D』を視聴できるVOD
『ファイナル・デッドサーキット 3D』が見放題対象となっているオススメVOD(ビデオ・オン・デマンド)は、下記の通りです。
オススメVOD
- Amazonプライム・ビデオ
- U-NEXT
Amazonプライム・ビデオ
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『ファイナル・デスティネーション』シリーズのご紹介
映画『ファイナル・デスティネーション』はシリーズ化されており、全5作からなっています。
シリーズ一覧
- ファイナル・デスティネーション
- デッドコースター
- ファイナル・デッドコースター
- ファイナル・デッドサーキット 3D
- ファイナル・デッドブリッジ
他の作品もレビューしていますので、是非ご覧になってみてくださいね。
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『ファイナル・デッドサーキット 3D』のまとめ
ファイナル・デスティネーションシリーズの四作目は、フェイク多めのサービス少なめの作品。
3D機能をあわせた演出もあり、いつもよりクセが強い内容です。
ホラー映画的なヒロイン力は足りないものの、恒例の個性的な死にざまやスピーディーな展開は健在で、シリーズ愛好家の期待を裏切らない出来となっています。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事の著者の執筆作品
著書名:オブザデッドレビュー34発
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紹介文:林立するゾンビ映画をひたすらレビュー!『○○オブザデッド』が多すぎて困っているホラー映画好きのあなたに送る一冊です。