予知の力で大惨事を回避できた人々が「死ぬべき運命」によって、次々と命を落としていくのがホラー映画ファイナル・デスティネーションシリーズです。
今作はその輝かしい一作目にあたります。
人気シリーズの発端となった今作の完成度は高いのでしょうか?
それとも荒削りな魅力があるのでしょうか?
早速確かめて参りましょう。
あらすじ・作品情報
クラスメートや教師たちとフランスへの修学旅行に心ときめかせていたアレックス。
そこは離陸寸前の飛行機の中。が、その瞬間、飛行機は大爆発……。
それは夢だったが、これから飛行機が実際に離陸する直前で、あまりの恐怖にアレックスは“この飛行機は爆発する!”と叫びパニックに。
結局、アレックスとその混乱に巻き込まれた6人を残して離陸した飛行機は実際に爆発してしまう……。
運良く生き残った7人だったが、やがて彼らは次々に怪死を遂げていく……。
引用元:Yahoo!映画
2000年に公開された映画です。
人気シリーズの第一作目です。
『ファイナル・デスティネーション』の予告編
『ファイナル・デスティネーション』の良かったところ
偶然が積み重なって完成する死への連鎖
ファイナル・デスティネーションシリーズといえば、「宝くじの高額当選をヒットさせるよりはるかに確率が低そうだが、決して不可能ではない」偶然の積み重ねによる事故死です。
第一作でもきっちり「あり得なさそうであり得る」クラスの偶然が連続するさまが描写され、作品のリアリティを高めております。
また、シリーズ共通の「凶風」とでも言うべき不吉な風がどこからともなく吹いてきます。
一作目の特徴は「凶風」だけではなく、死に神の影のようなものが犠牲者の視界にちらつくこと。
この死に神がにじり寄っているような影の表現は、シリーズの伝統として受け継がれることはありませんでした。
また、他のシリーズと比べBGMや雰囲気が静かなのも特徴的。
ホラー映画に見られる「何かがゆっくり迫っている」ような不吉さ、不気味さが表現されています。
キャラの描き分けもばっちり
ファイナル・デスティネーションシリーズはコンスタントに犠牲者が出る物語なので、主人公(とその周り)以外に焦点を当てる暇がありません。
似たような名前や性格、外見のキャラが多いと、視聴者が人物を把握する前に劇中から退場してしまいます。
それゆえ、このシリーズではキャラの描き分けが通常のホラー映画以上に重要となっています。
シリーズの原点であるこの作品は、その点ばっちりです。
多少似たような雰囲気をもつキャラはいるものの、外見や性格がきっちり描き分けられていて、視聴者の負担を軽くしてくれます。
繊細な主人公アレックス、ナイスガイな友人トッド、ケンカっぱやいカーター、大人な雰囲気のテリー、泣き虫先生、自立心の強いクレア、あわてんぼのビリーとわかりやすい味付けをされています。
外見もバラバラなので「外国人がみんな同じに見える!」とお嘆きの視聴者にも優しい構成なのです。
詳しく述べると、主人公アレックスは涙目が似合う繊細な少年。
予知の力を授かるのにぴったりの外見です。
友人トッドは自分も兄を失い傷つきながらもアレックスへの配慮もできる優しい少年です。
カーターはただ粗暴なだけでなく、恋人テリーを想う純粋さと優しさも実は備わっています。
テリーは恋人のカーターとイチャイチャしながらも、バランス感覚にすぐれ事態がうまくおさまるように努力をしています。
女教師は登場人物随一の精神的不安定さを見せつけ「この映画は大人が役に立たないタイプか」と視聴者にあらかじめ教えてくれます。
クレアは秘められた行動力を後半思う存分に発揮する上、動物好きというポイントの高いキャラです。
ビリーは「ザ・にぎやかし」といった物語の根幹には関わらない三枚目のキャラ。
その扱いはやっぱり軽めです。
ルール解説要員?怪しすぎる葬儀社の人
主人公が葬儀社に侵入した際、彼をとがめるでもなくいろいろ解説してくれた大柄な黒人男性が怪しすぎます。
この俳優さんは『キャンディマン』というホラー映画のシリーズで、都市伝説内に生きる悪霊的な存在キャンディマンを演じていたので、それを知っている人には辛抱たまらない怪しさです。
怪しすぎの存在ではありますが、これから続くファイナルデスティネーションシリーズのルールみたいなものを親切に教えてくれる人物でもあります。
ただの不気味な事情通にも見えますし、死に神の化身みたいな雰囲気もあります。
その不気味さで今作のホラー要素を高め、その解説でシリーズの方向性を教えてくれる怪しくも貴重な人物(?)なのです。
アクティブ女子クレアの活躍
他のキャラと比べて口数が少なかったことから、オカルト大好き少女と思いきや、予想よりもずっとアクティブなのが、ヒロイン的な役回りのクレアです。
主人公アレックスほどではないものの、危険を察知する能力があり、なおかつガレージで作業したり、知り合いの山小屋にアレックスを避難させるほどの行動力も持っております。
一般のホラークィーンのように殺人鬼に追われて泣き叫んだり、サービスショットを拝ませてくれるわけではないものの、芯の強さがありながらも、不思議な雰囲気をあわせもつクレアの姿は魅力的です。
飼い犬を助けるため命を危険にさらす動物好きなところもいいですね。
ファイナルデスティネーションシリーズとしては珍しくバックストーリーが語られ、あの若さでいろいろ苦労していることが判明するので、思わず応援したくなる血の通ったキャラでもあります。
『ファイナル・デスティネーション』のイマイチなところ
大人たちが無能すぎる
メインの登場人物が高校生であり、彼らの活躍を描くため大人たちを理解のない、無能な存在として描くのはセオリーだと分かっているものの、無能ぶりが極端すぎます。
生徒を守り指導する立場の教師が、航空機の墜落事故で一番メンタルをやられるという有様。
あまりにも精神不安定すぎて、主人公の姿を見ておびえるレベル。
このメンタルでよく教師を続けられたなとある意味感心します。
息子の死を自殺と決めつけ、その責任を主人公に負わせるトッドの父親もダメな大人です。
息子を続けざまに亡くし、ショックなのは分かるのですが、主人公にその怒りをぶつけるのはお門違いです。
「彼が自殺するはずなんてない!」と言い切った主人公アレックスの方が、実の父親よりトッドのことを理解していたことになります。
FBI強引すぎない?
役に立たない大人を無視して主人公集団だけで問題解決を目指すためなのか、FBIが強引かつ無能。
とにかく主人公アレックスを犯人扱いし、彼に協力するどころか妨害までしてきます。
FBIは洋画や海外ドラマにおいて「FBI視点なら有能、それ以外の捜査チームの視点なら無能」という極端な描かれ方をしていますが、今作はもちろん無能コース。
しかも、主人公をテロリスト決めつけ追いかけ回す超絶無能なのです。
普通だったら警察なりFBIなりに助けを求めるシーンも、彼らの無能さによってアレックスが不信を抱き、ひたすら自力での解決を目指します。
まぁ、彼らが有能すぎてオカルトにも理解があり、どんどん問題を解決していったら主人公の出番はなくなってしまうので、物語的には有能すぎても困るのですが。
自立心の強い子供VS無理解な大人という構図はホラー映画でつきものですが、今作はこの構造が強めで、視聴者によってはイライラすると思います。
私はちょっとイラつきました。笑
『ファイナル・デスティネーション』はこんな人にオススメ
『ファイナル・デスティネーション』は下記のような人にオススメできる映画です!
こんな方にオススメ
- ファイナルデスティネーションシリーズが好きな方
- リアル寄りの作品が好きな方
- 無能な大人軍団を許せる方
- 電気(?)に追いかけ回される美少女を見たい方
- 不吉な演出が好きな方
『ファイナル・デスティネーション』を視聴できるVOD
『ファイナル・デスティネーション』が見放題対象となっているオススメVOD(ビデオ・オン・デマンド)は、下記の通りです。
オススメVOD
- U-NEXT
U-NEXT
U-NEXTの月額料金は少し高いですが、毎月1,200ポイントが付与され、さらに最新作品を他のVODよりいち早く視聴することができます。
※2019年2月時点の情報です。
こちらも、31日のお試し無料期間が付いているので、ぜひ体験してみてください。
『ファイナル・デスティネーション』シリーズのご紹介
映画『ファイナル・デスティネーション』はシリーズ化されており、全5作からなっています。
シリーズ一覧
- ファイナル・デスティネーション
- デッドコースター
- ファイナル・デッドコースター
- ファイナル・デッドサーキット 3D
- ファイナル・デッドブリッジ
他の作品もレビューしていますので、是非ご覧になってみてくださいね。
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『ファイナル・デスティネーション』のまとめ
ファイナルデスティネーションシリーズの一作目は、以降の続編にも適応されるルールをきっちり説明しながらも、ホラー映画としての静かな恐怖を視聴者に与えてくれる佳作です。
シリーズの一作目といっても荒削りなところはなく、続編にも踏襲されるキャラのしっかりした描き分けなど視聴者への配慮も欠かしていません。
コンスタントに犠牲者が出る展開はスピード感にすぐれており、娯楽作品として高水準を保っています。
この一作目を観て面白いと感じたら、続編も高確率で楽しめると思います。
総合評価
最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事の著者の執筆作品
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